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第一話

洋輔、雅也、春香の三人は森の中で立ち尽くしていた。

涼しい風が吹いている。


「も、もしかして春香のパンチで時空が歪んだせいでワープしたのかな?」

場の困惑した空気を和らげようと雅也がいった。


「そんな訳ないでしょ!まじめに考えてよ」

あきれた様に春香が言い返した。


「じゃあこれって夢か?それか瞬間移動?まさか…異世界転移?」


「死後の世界の可能性もあるな」僕がぼそっと雅也の選択肢に付け足した。


「うそ!?私たち、死んじゃったの?」


「落ち着けよ、春香。冗談だよ。こういう時こそ冷静になって考えよう。‥‥そうだ!携帯!」


僕の言葉でそれぞれ携帯を取り出した。外部の誰かと連絡を取ろうと思ったのだ。


「だめだ、圏外だ」

「まじ!?俺もだ!」

「わたしも〜」


時間は12時を過ぎた頃だった。

GPSも反応がない。


「あ〜俺、腹減ったよ〜」

「私なんて朝も食べてないから、ペコペコだよ…」


二人の話を聞いて、何かを悟ったように頷いた後、ニコッと洋輔は笑って優しく囁くように言った。

「まずは水、そして食料と情報。僕達はこれらを手に入れないと大変な事になるね」


二人も大変な事の意図が伝わったようで、真剣な表情に変わっていた。


「とりあえず歩きながら、話そう」

そう提案して、三人は木々の隙間から光の差す森をまっすぐ歩き始めた。


先頭を歩いてる雅也が突然立ち止まり

前方、100m程先を横切る影を指差した。

「おい、アレってもしかして…」と言いかけると、それはこちらに気がつき、慌てて逃げ去って言った。


「ねぇ!今のって女の子じゃない?!」

さっきまで落ち込んでいた春香が驚いた。


「追いかけようぜ!きっと近くに村があるんだよ!助けてもらおう!!」

そう言うと雅也は一人、飛び出していった。


「私達も早く追いかけなきゃ!」走り出そうとする春香の腕を洋輔は掴んで、問いかけた。


「なんで僕達を見て、逃げた去ったんだろう。それに何か落としていったのが気になる、僕達はそれを見てから追いかけよう」


「わかった!」と春香が短く返事をしたのち、二人は少女が最初にいたポイントで、薬草のような物が散らばっているのを見つけた。


「春香、それ持って行こう」

「うん!」春香はそれを手早く掻き集めて、右手に持ち、遠くの方で周りをキョロキョロしている雅也を追いかけた。


雅也は少女を見つけた瞬間から全力疾走した。一人で全力で走ればあれぐらいの女の子を捕まえるなど、容易いと考えていた。

だが、それは大きな誤算だった。小さな体で木の陰を巧みに利用し走り去る事で、追いかけるものの死角を作り、逃げ去ろうとしていたのだ。その策にまんまとハマり、結果見失ってしまったのである。


そこに遅れてきた僕らと合流した。

「逃げられたか」

「雅也から逃げ切るんなて凄い子だね!」


「ありゃ森の妖精か。あんな身のこなしするとは予想外だったよ」

「方角的にはあっちの方だと思う。とりあえずそっちへ向かって歩こう」と言った雅也の顔の目の前に突如、手のひら程の大きさの蜘蛛が降りてきた。


雅也が「うわあぁっ!!」と素っ頓狂な声をあげ、手で追い払おうとした。

その時、彼の手から無数に青い稲妻が飛び出しバチバチッと嫌な音と共に、蜘蛛を吹き飛ばしたのだった。

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