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同窓会は秘密への扉  作者: 井嶋一人
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Episode 7  南部唯理子

Episode 7  南部唯理子


 実父の手掛かりを探すべく、奈美子は再び大阪の実家に来た。引き出しやタンスの中など一通り見たが、実父の手掛かりになるようなものは見当たらなかった。そこで、母親の死後、まだ一度も開けていなかった金庫を開けてみることにした。暗証番号は以前聞いていたので知っている。

 金庫を開けてみて、まず驚いたのが、現金が多くあることだ。一億円は下らないかもしれない。

「これって、やっぱり申告しないといけないのかしら…」

せっかく相続税がかからないと思って安心していたのに、面倒が増えたなあという気がしていた。いや、お金自体はうれしいけど。

現金の上に、一枚の封筒があった。中を見ると、写真が一枚入っていた。裏には誰かの電話番号。写っているのは、母親と、同い年くらいの見知らぬ女性。そして―三田隆治。あともう一人の男性は、同じく国会議員であった高島善之。三田の方は今も現役だが、高島の方は二、三年前に亡くなっている。これだけで三田が奈美子の実父だという判断はできない。だが、少なくとも母親と三田に交流があったことは事実だということがはっきりした。あと写っているのは、二人の若い女性だが、そのうちの一人が奈美子の知っている人物だった。

「唯理子…?」

中学時代の同級生で、高校時代にアイドル歌手として活動していた南部唯理子だった。この前の同窓会にも来ていた。

「何で唯理子が…?」

いても立ってもいられず、奈美子は唯理子に電話を入れた。すると、翌日会ってくれるという返事をもらった。


唯理子に会うのは同窓会以来だ。中学時代は三年生の時しか同じクラスになったことはないが、真理の計らいで一応同じグループにいたし、それなりに親しくしていた。真理と沙織、そして唯理子が「二中八十四年度入学生三大美少女」とされていたことも何となく知っていたし、のちに唯理子がアイドル歌手としてデビューした時も、高校のクラスメイトに自慢していた。


 唯理子は奈美子を自宅に招いた。午前中から昼にかけてなら子供達も学校に行っていて、家にはいない。

 唯理子の家は綺麗に片づけられていた。家具やインテリアも洗練されていて、いかにも「できる主婦」という感じであった。元アイドルという肩書もあれば、きっと読者も食いつくだろう。奈美子が、うちの雑誌に出ないか、と勧めたが、唯理子はもうメディアはたくさん、と拒否した。無理強いはできないので、その話はそこで切り上げた。


 「で、これなんだけど」

奈美子が、唯理子と章江、さらに知らない女性と国会議員二人が一緒に写っている例の写真を見せた。

「これか…。写したのは肥後橋のイタリアンレストラン。今から二十三、四年前になるかな…。私が大学二年の頃やわ」

奈美子は唯理子が大学に行っていたことを知らなかった。そこで改めて進路について尋ねると、このような答えが返ってきた。

「うん。アイドル三年目、高校卒業一年目の頃は、もうあんまり仕事なかってん。そやから受験勉強ばっかりしてた。で、K外語大学に受かって、それで引退した。珠恵おるやろ?門倉珠恵。二年の時から同じクラスで仲良かってん。珠恵も一緒やったし、さくら…宮前さくらな、あの子は私の幼馴染で、彼女が現役で一年上におったから、何かと心強かった」

「やっぱり元アイドルともなれば、普通に大学生活を送ることは難しかったの?」

「まあ、学校生活はそこそこ…。でも、バイトがなかなか見つからなくてな。事務仕事とかはまず面接すらしてもらえんとこも多かったし、本屋とかもあかんかった…。喫茶店のウエイトレスなんかは採用はされたけど、ファンの子達が店を占領して、半月くらいで申し訳なくなってやめたわ。いっそのこと、近所なら何とかなるかなと思って探したけど、なかなか空きがなくて」

「そうなんだ…。でも、バイトする必要あったの?」

「うん…。実家暮らしやったから、生活費は問題なかったけど。芸能界入ったことで、親に随分迷惑かけたしな。最初の一年は仕送りもしてもらってたし、学費は自分で何とかしたいなって。あと、何ていうか、普通にバイトできなかったら、これから就職とかどうするんやろ、って思ってた」

 アイドル、いや芸能人が普通の人に戻るというのは、思いのほか大変なことらしい。全く売れなかったというならまだ良かったのだろうが、唯理子の場合、新人時代は結構売れていたし、新人賞もいくつか獲った。トップアイドルにはなれなかったが、名前も顔もそれなりに知られている。そういう人が一番難しいのかもしれない。

「あとは恋愛やな。男の子達も、飲み会とか、皆と一緒の時はいいけど、二人っきりになると、なんか腫物を触るみたいに扱うんよ。そういうのが続いて、ちょっと参ってた」

奈美子はただうなずくしかなかった。奈美子も高校、大学時代とモデルをしていたので、気持ちはわからなくもないが、知名度がまるで違う。窮屈さは奈美子の比ではないだろう。

「そんな時かな…。奈美子のお母さんに声を掛けられた。『唯理子ちゃん、どないしたん、元気ないで』って凄く心配されて…。参ってたんやろな。つい愚痴ってしまったんよ。中三の時、遊びに行ったことあったやん?ふっと気持ちが戻ったというか、ゆるんでもうてな」

意外とそんなもんなのだろう。身近に人間には、なかなか本心は話せない。昔遊びに行ったことがあるとはいえ、その時はほぼ顔見知り程度でしかなかった人間にやさしく声を掛けられると、今まで抑えていた思いがわっと湧き出てきたということか。

「そしたらおばさんが、『いいところ知ってるから紹介する』って言ってくれて。『ちょっと覚悟がいるで』みたいなこと言われたから、どんなとこか何となく察しはついたけど…。で、おばさん、知ってるとこどころか、そこ仕切ってたんよ」

 唯理子が章江の会社で働いていたのかとも思ったが、「覚悟」の意味がよく分からない。あるいは「正社員と同じ扱い」という意味だったのだろうか。

「で、お母さんは、唯理子をどこに連れてったの?」

「うん…。内外のVIP専用の高級クラブ」

奈美子は目が点になった。まさかそこでそんなものの名前を聞くとは思わなかったのだ。というより、本当にそんなものがあるのかと。都市伝説のようなものだと思っていた。

「あるのよ。でも、店の名前もないし、場所も決まってなかった。だいたい一軒家を借りきったり、高級マンションの一室って感じだった」

「高級クラブって、まさか、コールガール斡旋?」

奈美子が気になったのはそこである。売春は一応犯罪だ。自分の母親が犯罪に関わっていたとなると、捕まらなかったとはいえいい気はしない。

「ううん。ただお酒を飲んだりするだけ。紹介されたのはホステスの仕事」

それを聞いてちょっと胸を撫で下ろした。

「でも、お客さんが凄かった…政治家、芸能人、文化人、一流企業の取締役、実業家…それはもう、錚々たるメンツばっかり。確かにあれは覚悟が要ったわ」

「…知らなかった。お母さんがそんなことしてたなんて」

「奈美子には言ってなかったみたいね。おばさんにもそこは釘を刺されてた。でも、もう亡くなったし、写真まで持ってたら、隠してるわけにもいかんやろ」

確かにショックは受けたが、よくよく考えたら、そんな錚々たるメンツを相手にしていたというのは、なかなか誇らしいことかもしれない。

「でもホンマ、そのクラブで働いたおかげで、色々吹っ切れたわ。それまでは元アイドルやってこと消し去って、普通の女の子になることばっかり考えてたけど、色んな今で普通には戻れんなって。それなら過去に誇りを持とうって気になった。そしたら不思議とうまく回り出して。結局、クラブのお客さんだったある企業の役員さんのコネで一般企業に就職もできたしな。もうその頃には私がアイドルやったこと忘れてる人のが多かった。それで、その就職した会社で主人と知り合って、今じゃすっかり普通の主婦だわ」

「そっか。お母さん、唯理子の幸せに貢献したのね。でも、なんでそんな仕事してたんだろ?」

「さあ…そのいきさつは分からんなあ。あ、でも、その一緒に写ってる女の人、玲子さんっていうんやけど、彼女なら知ってるかもな。古い知り合いって言ってたし」

奈美子は写真を裏返し、書かれてある電話番号を見せた。

「この写真の裏の電話番号って、その玲子さんのかな?」

「うーん…。私ももう玲子さんとも何年も会ってないから連絡先とかは知らんねん。でも、可能性はあると思うわ」

おそらく、そうなのだろう。章江があえてこうして残したのか、それともたまたま偶然メモを取ったのが写真の裏だったのかは分からない。いや、古い知り合いというなら、実の父親に繋がる情報を何か持っていてもおかしくはないから、やはりあえて残したという可能性の方が高そうだ。

「ダメ元で電話してみたら?あ、そうそう。奈美子が東京の高校へ行くことになったのも、おばさんのその仕事が関係してたんよ。その高級クラブ、東京や名古屋なんかにもあって、私も何度か出張したわ」

 本当のところは確かめようがない。ただ、そういう話を聞くとそうかもしれないと思えてきた。

 唯理子と母親の意外な関係。そんなことを全く知らずに生活していた自分。いったい、家族って何だろう、人生って何だろう。まあ、興味深い話ではあった。もう少し早く聞きたかったような、出来れば一生知りたくなかったような…。

 奈美子の困惑をよそに、唯理子はアイドル時代の思い出、引退後の生活、章江との出会いから現在に至るまでの経緯を語り始めた。


*     *


「御疲れ様でしたー」


監督、スタッフ、そして私の声が響く。「ゆりちゃん、いい女になってきたなあ」という監督の本音だか社交辞令だかよく分からない言葉に、「ありがとうございます。これからも頑張ります」とマニュアル通りの笑顔と言葉で返す。私だって、本当は頑張る気はあまりない。

アイドルとしてデビューして三年目、テレビの仕事は久しぶりだった。最近はもうほとんど週末の営業くらいしか仕事がない。それも毎週ではなく、隔週くらいになってきている。この日の仕事は二時間サスペンスドラマの撮影だったが、被害者の恋人役という微妙な役どころだ。それでも、セリフがそこそこあっただけでもまだ良かったのか。これからセリフも減っていき、やがて通行人とほとんど変わらないような役しかこなくなるのだろうか。

  

高校一年生になってすぐの時、同級生と半分冗談で菓子メーカーのCMヒロインコンテストに応募、友達は書類審査すら通らなかったのに、私は二次審査、地区大会決勝、そして全国大会に駒を進め、ついにはグランプリまで獲得。友達は皆「おめでとう」と言ってくれたけど、本心はどうやら。そして親はまさかグランプリなど獲るとも思わず、驚き、当然のように反対した。ただ、グランプリまで獲ってしまった以上、後には引けない、半ば仕方なく許してもらった。正直、歌ったりすることは好きだったし、友達や親がどう思おうが、トップアイドルになってしまえばこっちのもん、というくらいの気持ちはあった。


夏休み前には上京し、いわゆる芸能人御用達の高校に転校した。高校の同級生は何だかんだ言って誰も見送りに来なかった。見送りに来てくれたのは、中学時代の同級生だった。幼馴染で、小、中で何度か同じクラスにもなった宮前さくらに、中二、三の時同じクラスになった門倉珠恵、そして中三で同じグループだった桧山真弓と大迫秋穂。ほかに寄書き、みんな中学時代の同級生が書いてくれたものだ。この寄書きはその後、嫁入道具の一つになるということを、この時はまだ知る由もない。

東京での生活は規則的だった。事務所社長の家に下宿し、学校、レッスンの繰り返し。学校には既にデビューしている子と、私のような予備軍の子、それに子役上がりの子や歌舞伎など伝統芸能系の子、下町の大衆劇場の子もいた。みんなライバル同士でギスギスしているかと思ったがそうでもない。実のところ、遊びに行くのも制限があったから、学校が唯一息抜きできる場だったといっても言い過ぎではない。なので、そこでギスギスしていたらおそらく精神を壊してしまうだろう。

レッスンは歌、ダンス、芝居、ウォーキング、その他体力づくりなどもあって、決して楽ではなかった。でも、部活でも全国大会を目指すような強豪校ならこんなもんだろうと思っていたから、不満はなかった。アイドルは全国で勝負する、同じようなものだと。むしろ、微々たるものではあるが給料ももらっていたので、お金をもらってこうしたレッスンを受けられるのは有り難いとさえ思っていた。ただ、仕送りは受けていた。給料だけでは厳しいだろうということで、親が少額ではあるが、毎月送ってくれていた。実際にはそれほど使う暇もなかったが、確かにないよりはあった方が心強い。だが、反対されていた芸能界に入って上に仕送りまでもらうということには罪悪感がなかったわけではない。いつか売れて高収入が得られるようになったら返そう、そう心に決めていた。


 秋頃になって、いよいよ本格的に活動開始といった感じになってきた。挨拶回りに写真撮影、デビュー曲の選定などが始まった。芸名は、本名から「子」を取り、下の名前をひらがなに変えた「南部ゆり」に決まった。変な芸名を付けられたらどうしようかと思ったが、本名とあまり変わらず、ひらがなにしたので、なかなか可愛らしい。デビュー曲は『春休みが来る前に』という曲。二月二十一日デビューなので、時期的にもいいだろうということのようだ。曲はというと、正直、ちょっとブリブリすぎるかなと思ったが、嫌いではない。歌っているうちに気持ち良くなってきたのを覚えている。それが影響したのか、この曲はヒットチャートで十二位まで上昇し、当時流行していたランキング番組にも「期待曲」ということで出演できた。二枚目のシングルは『ミントブルーの風』というタイトルで、夏らしいさわやかな曲だった。これは今でも大好きな曲だ。チャート最高位は十四位と前より落ちたが、総売り上げは増加、周りも期待していたし、私も「これはいけるかも」なんて思っていた。

しかし、三枚目のシングルがいけなかった。『coolな反抗期』という、いわゆるツッパリ路線の曲で、初めて聞いた時も、ちょっと時代遅れな感じがした。カップリング曲のしっとりした『落葉の街で』の方が気に入っていたが、「バーンと行くには大胆な路線変更が必要」とスタッフに言われ、仕方なく承諾した。だが、最高位二十六位と大幅に下げてしまった。前の二曲のおかげで、年末のレコード大賞の新人賞には入れたが、二年目からは売上、順位ともに右肩下がりで、三年目の一月に出した、結果的に最後のシングルになった曲はギリギリ九十八位という成績に終わった。私自身も「これで終わったかも…」と内心思っていた。タイトルも『ラストラブ』なんて、いかにも最後を暗示するような曲だったし。


先のサスペンスドラマの収録の時は既にあまり仕事もなく、事務所もその年デビューした新人の子に肩入れしていて、私はほぼ放置状態だった。社長の自宅の下宿も出て、事務所が借りているマンションで一人暮らしをしていた。高校も卒業していたし、かといって、人気が落ちたとはいえまだカメラ小僧がうろうろしていて、私の姿を撮ろうとしていたので、迂闊に外出もできない。結局、家に籠るしかなく、先行きも見えなくなってきていたので、大学に進学しようと受験勉強ばかりしていた。親にそのことを話すと、何となく「それ見たことか」と言いたそうな雰囲気は伝わってきたが、それでも娘が普通の女の子に戻るのは嬉しかったようだ。大学受験については止めなかった。仕送りはデビュー以後はもらってなかったけど、引退して東京の大学に進学するとなれば、また仕送りを再開しないといけない。それは申し訳なかったので、地元の大学を受験することにした。


結局、K外語大学スペイン語学科に合格した。幼馴染の宮前さくらが現役合格してそこに通っていたし、英語学科だけど中学時代の同級生の門倉珠恵も一浪で合格したので、とりあえず寂しい思いをすることはなさそうだ。それに、スペイン語を習得して中南米やスペインに移住しようか、なんてことも考えていた。当時は自分のことを知っている人も多かったように思えたし、日本人の少ない所へ行きたい、という気持も少なからずあった。

事務所に大学に合格したことや引退したいということを告げると。あっさり承諾された。もう私には用はないということか。だが、こちらも未練はなかったので、お互い様だ。いい思い出ができてよかったというくらいにとどめておこう。


 大学の入学式には珠恵と参加した。大学の最寄駅から学校に向かい、講堂に入るまでの間、何度か視線を感じたり、こちらを見て何かひそひそ話していたりするような場面に出くわしたが、これといって問題は起きなかった。ほっとしたような気もしたが、少し寂しいようなと感じてしまうのは芸能人の性だろうか。

入学式が終わり、学内を歩いていると、サークルの勧誘やら何やらがたくさんいて、私達にも声を掛けてきた。基本的にはチラシを渡して終わりだったが、三組目くらいの時に、声を掛けてきた男子学生が「あれっ?」というような顔をし、小さな声で、「もしかして、南部ゆりさんですか?」と聞いてきた。横にいた珠恵は行こう、と私の袖を引っ張ったが、私は逃げずに、ただこくりと頷いた。するとその男子学生は

「ホンマに?俺、ファンやったんですよ」と驚いた様子で、しかし周りに気を遣いながら話した。

「うちの大学来てたんや。よかったら、うちのサークル来てください。楽しいですよ。お友達もぜひ」

と二人にチラシを渡し、

「じゃ、よろしく」

とだけ言って去っていった。

 それから何人かには気付かれたものの、同じような対応で、決して騒ぎになることはなかった。

「さすが有名私大や。皆紳士的やな」

珠恵はそう言って笑った。


数日後、さくらとも会って、授業のことなどについて色々教えてもらった。サークルもさくらが入っていた国際交流会に入ることにした。留学生を迎えたり、世話したりする半分大学の機関のようなちょっと堅いサークルだったせいか、私の過去について触れられることはおおっぴらにはなかった。なので、ごく自然になじむことはできた。ただ、何人かは知っていたようで、「南部さんって、あの『南部ゆり』?」と聞かれることはあった。もちろん否定はしなかった。中にはファンだった人もいて、CDに「サインして」などと頼まれることもあった。気軽にサインできたのは、自分の中で既にアイドルが過去のものとして消化されていたからなのだろう。


 このように、学校生活そのものは順調だったが、困ったのはアルバイトである。最初は旅行代理店の事務補助のバイトに応募しようとしたが、名前を言っただけで「申し訳ありませんが、うちではちょっと…」と面接すら受けさせてもらえなかった。それから何社か事務仕事のバイトに応募したが、大体名前を言うと終わり。次に本屋に応募したが、こちらも門前払いだった。接客業なら大丈夫かも、と思い、喫茶店のウエイトレス募集に応募した。こちらは名前を言うと結構歓迎してくれて、何とか採用までこぎつけたが、働き始めてしばらくして、ファンの子達が押しかけて席を占領するようになったため、申し訳なくなりこちらから辞めた。最後は、地元なら何とかしてくれるんじゃないかと期待して当たってみた。感触は良かったが、地元の店などは高校生や主婦パートが長期で働くという感じになっており、なかなか空きがない。「空きができたら声掛けるわ」と言ってくれたが、様子を見る限りではそれも期待できない。

それまでアイドルとして活動したことを後悔したことはなかったが、思わぬ壁にぶち当たった。実家暮らしだったので、バイトしないと生活できないということはない。だが、アイドルになったことで親に迷惑をかけたという思いもあり、小遣いはもちろん、出来れば学費も自分で稼ぎたかった。親は「別に気にしなくていい」と言ってくれたが、こちらは気になる。不安はそれだけではなかった。バイトですらままならないのに、果たして就職はできるのだろうかということもあった。このままではいずれ芸能界に戻るしかないかもしれない。それはそれで仕方ないが、なら何も引退することはなかったのに、という気になる。


あと、うまくいかなかったのは恋愛だった。飲み会や合コンといったものに何度か参加した。それ自体は楽しかったし、男の子とも話が弾んだ。しかし、いざ一対一であうとなると、男の子の方が委縮してしまうようだ。「元アイドルなんて高嶺の花と、どんなデートをしたらいいのか…」というのが男の子達の本音のようだった。私としては、普通に街をぶらぶらして、映画を観たり遊園地とか公園とかに行ったりして、夜は適当に食事して、夜景を見て…みたいなごくありきたりのデートでいいのだけど、それではだめだと思われていた。初めて二人きりで会った男の子の時は、いきなり高級なフレンチの店に連れて行かれて、男の子の方もメニューやらマナーやらまるで分かってないし、私の方がどうしたらいいか分からなかったくらいだ。好きな人となら牛丼屋でもいい。さすがに毎回では飽きるかもしれないが、大学生同士のデートだし、そこまで頑張らなくてもいいのに、と思ったものだ。

同じようなことが何度か続き、すっかりデートにも疲れていた。バイトも恋愛もだめ。普通の女の子に戻るのがこんなに大変とは。昔、「普通の女の子に戻りたい」といって引退したアイドルグループ三人組がいたが、程なくして三人とも復帰したのも気持ちは分かる。彼女らも、同じような壁にぶつかったのだろうか。

授業が終わって帰ると、近所の公園のベンチでぼーっとすることが増えた。その日も公園のベンチに座って、一人で本を読んでいた。

「唯理子ちゃん…?」

不意に名前を呼ばれて顔を上げると、どこかで見覚えのあるおばさんがいた。

「何してるの、こんなところで?私のこと、覚えてる?ほら、西村奈美子の母親よ」

「あ…」

西村奈美子というのは中三の時同じクラスだった女子だ。同じグループにいて、結構親しくしていた。クリスマスパーティーか何かで、家にも遊びに行ったことがある。奈美子とは親しかったが、彼女は常にクールで、あまり自分のことを話さない子だった。なので、家に行ったことがなぜか不思議だった。母親は会社を経営しており、彼女に似たしっかり者という感じの人だった。彼女の家に行き、父親がいないことを初めて知った。祖父母がいたので、いわゆる完全な母子家庭というわけではなく、家はそれなりに明るく、裕福であったようだ。    

彼女は高校進学と同時に東京に引っ越してしまったが、実は一度だけ、彼女を見たことがある。アイドル二年目で、一年目の勢いがなくなっていた頃だ。CDジャケットの撮影をあるスタジオで行っていた時、隣のスタジオでファッション誌の撮影を行っているのがちらりと見えた。その時のモデルの中の一人がどう見ても彼女だった。生き生きとポーズをとる彼女。ひきかえ自分は落ち目のアイドル。声をかけたかったが、当時の自分の姿をあまり見られたくなかったのもあって、そのまま立ち去ってしまったのだった。

でも、母親がここにいるということは、彼女も戻ってきたのだろうか。

「覚えてますよ…でも、確か東京に引っ越したのでは…」

「ええ。でも、もう東京での仕事が一段落したから、こっちに戻って来たわ。奈美子は東京の大学通てるけどな」

「そうなんですか」

心ここにあらずだったのが伝わってしまったのか、少し心配そうに続けた。

「唯理子ちゃん、どしたん?元気ないな。悩み事でもあるん?」

その時、これまで抑えてきたものがなぜか一気に吹き出してきて、それまでの出来事や思いを一気にぶつけてしまった。自分でもなぜそうなったのか分からないが、今にして思えば、「赤の他人」に近かったからだろう。親しい人にほど、自分の本心が話せないということもある。心配をかけたくないとか、本当のことを話したら嫌われてしまうかもしれないとか、そういった思いが去来するからだろう。

 一通り思いの丈を話すと、奈美子の母親が諭すように言った。

「大変やねんな…。そやけど、それも受け入れなあかんで。なんやかんや言うてあんたの選んだ人生や。一生普通には戻れん、その覚悟はいるやろな」

それは私も実感していた。いっそのこと、元アイドルを売りにライブでもしたほうがいいのかもしれないと。

「あんた、私の知ってる店で働けへんか」

奈美子の母親が急にそう言ったもので驚いた。そこまで期待していたわけではないし。

「まあ、ちょっと覚悟が要るけど、ええか?」

「覚悟…」

それを聞いて嫌な予感がした。何となく怪しい商売のような気がしたからだ。元アイドルの経歴を生かして、風俗店ででも働けというのだろうか。実際、そういう噂は聞いたことがある。人気が落ちて仕事がなくなったり、またデビュー前で収入がなかったりとか言った子が働く風俗店があると。一応高級店扱いで、お客もVIPクラスだそうだが。ただ、実際にそこで働いてるとか、誘われたとかという話は聞いたことがない。もっとも、黙ってただけかもしれない。

 唯理子の不安を読み取ったように奈美子の母親は続けた。

「大丈夫。風俗とかとちゃうから。ホステスやけどな、そういうサービスは一切なしや。お客さんもな、VIPばっかりや。そやから、あほじゃ困るんよ。K外大生なら問題ないわ。時給も五千円やで」

時給を聞いて心が動かなかったといえば嘘になる。風俗は困るが、ホステスならやってみる価値はありそうだ。

「もし興味あるんやったら、おばちゃんに電話ちょうだい。うちの番号、昔とおんなじやけど、一応教えるわ」

そう言ってメモを取ろうとした時、思い切って私は言った。今言わないと、迷ってずっと言わないような気がしたからだ。

「あの…今晩だめですか?」

「今晩?またいきなりやな。ええよ。思い立った日が吉日や。ほな、七時にここで待ち合わせしよ」

「ここって、公園ですか?」

「そや。何か問題ある?」

「いえ…ただ意外だなと思って。普通駅とかじゃ…」

「いや、こっからタクシー呼ぶわ。駅とかに私ら二人一緒におったら変やろ?誰に見られるか分からんしな。お家の人にもこの件は内緒やで」

「あ…はい」

秘密クラブか。響きは嫌じゃない。ただ、売春みたいなことをさせられるのなら迷っただろう。実際、アイドル時代、いわゆる枕営業というものに誘われたことはある。三枚目、四枚目のシングルが思うように売れず、下降線を辿っていた頃だ。平たく言うと、「ドラマの主役をあげるから俺と寝ろ」みたいなことをプロデューサーに言われたのだ。一瞬心が動いたが、そこまでして芸能界にしがみつく気にもなれず、結局断った。その後、おそらくプロデューサーが言っていたであろうドラマの主演に決まった同期のアイドルを見て、「あのプロデューサーと寝たのかなあ」と邪推してしまった。彼女もまた、低迷していたが、ドラマ主演をきっかけに波に乗り、今も女優として活躍している。そんな彼女を見ても、別に後悔はない。だが、本当にこれでよかったのかと、たまに思い返すことがあった。実際に体を差し出すことにアイドル時代は、というより引退後も抵抗はあったが、それでことがうまく運ぶならありなのかもしれない、と今は思う。

 ただ、当時のことを思い出すと、もし売春とかそれまがいのことをやるとしたら、何のために芸能界を引退したのか分からないとは思った。それなら枕でも何でもして、しがみついていた方がよかったのではないかと。まあ、奈美子母曰く、そうしたものはないと言いつつ、実際にはあるのかもしれないが、その時はその時だ。今度は以前取らなかった選択肢を取ってみるのも悪くないと。どのみち、「元アイドル」という肩書とは嫌でも一生付き合わないといけない。腹を括って、女を武器にすることも必要かもしれない。

  

 夜七時、言われた通り公園に来たら、奈美子母は既にいた。そのまま二人でタクシーに乗り込み、南堀江の公園に到着した。ここから先は歩きだという。三分ほど歩くと、ある一軒家に着いた。表札も何もない。

「ここや」

大きな家であったが、それ以外はごく普通の一軒家だった。奈美子母は家の鍵を開け、

「さ、早よ」

と言って、私を中に導いた。玄関には既に靴が何足か並んでいた。女性ものと男性もの。まずは奥の部屋に通された。洋服ダンスがあり、荷物がいっぱい置いてある。今でいうところのをウオークインクローゼットだ。奈美子母は洋服ダンスを開け、一着の水色のスーツを私に渡した。

「これに着替え」

言われるがままに着替えると、奈美子母は満足そうに

「よう似合うわ」

と言って、

「さ、こっちに」

と、私を引っ張っていた。次に通されたのは、大きなリビングダイニングで、ソファーにテーブルがあり、ラウンジのようになっていた。部屋の左側の奥の方にカウンターがあり、そのさらに奥がキッチンになっていた。ラウンジの方には実際既に客がいて、女性が相手をしている。ふと客の顔が目に入り、「あ…」と思った。大物俳優がいたのだ。奈美子母の話は本当だというのをここで確信した。

 私が茫然としていると、ある女性が近付いてきた。

「章江さん、この子?」

その時奈美子母の名前が章江だということを初めて知った。

「そう。見たことあるやろ?」

「ああ、あの南部ゆりちゃん。へえ。この子、娘さんの同級生なんだ」

こういう反応はある程度予測していたので、私もニコリと頭を下げ、

「はい。よろしくお願いします」

「よろしく。私は玲子。章江さんと共同でママやってます」

そう言うと、その玲子さんという女性は、私をキッチンの方に連れて行って、

「日曜以外で、週何回、何曜日に来れる?」

と聞いてきたので「水曜はスペイン語学校に通っているので、それ以外なら。明日は来れます」と言うと、

「じゃあ、明日の五時に来れる?しばらく研修期間ってことで、時給は三千円しか出せないけど」

 三千円「しか」か…。何か恐縮してしまった。私が面接を受けた所なんて、ほとんどが千円前後で、喫茶店なんかはもっと安かった。

 わかりました、と答えると、玲子さんは

「真由美ちゃん。ちょっと来て」

と、ある女性を呼んだ。その真由美という女性を見て驚いた。彼女もまた、沢村真由美という元アイドルだった。私がデビューした頃にはもうほとんど活動していなかったので、仕事で会ったことはない。それにやはり言っては申し訳ないが、あまりパッとしなかった。ただ、美形で歌唱力もあったので、好きだという男子もいたし、女子にもそこそこ評判は良かった。だが、それだけで、大ファンというのは聞いたことがない。

「明日から私が色々教えるわ。よろしくね」

真由美さんにそう言われ、はい、とうなずくと、玲子さんが

「じゃあ、今日はもう帰りなさい。明日から忙しくなるから、今日はゆっくりして。章江さん。送ってあげて」

 玲子さんがそう言うと、奈美子母、もとい章江さんはうなずき、私を外に導き、タクシーを捕まえ、地元の公園までまた届けてくれた。


 店の営業はだいたい午後七時から十一時くらいまで。「だいたい」というのは、はっきり決まっているわけではなく、客の需要に合わせてということらしい。ただ、店で働く女性は昼間は別の仕事をしたり、私のように学生だったりで、あまりに早い時間は無理だとのこと。一見さんお断り―というより、一見普通の一軒家でしかないので、一見さんはまず来られないだろう―で、完全予約制。たとえどんな有名人であっても、客の紹介なしには入れない。場所は二階建ての一軒家で、一階はラウンジと、ウオークインクローゼットに、休憩室がある。二階は個室になっていたので、そういこともするのかと思ったが、扉もベッドもなく、純粋に一人のホステスとお酒を楽しむだけということらしい。ラウンジ内では指名というのはなく、指名を受けた場合、個室で飲むということだ。ホステスは、十九歳から二十七歳まで、私を含めて六人。決して多くはないが、皆超絶美人か可愛いかで、しかも話題豊富で気遣いも抜群。こんなところに私が入っていいのかと、申し訳なく思ったくらいだ。

 

 次の日から、お酒の名前から作り方、サービスのイロハ、話題の運び方などについて色々なことを真由美さんから教わった。真由美さんは私より四歳上で、私より四年早くアイドルとしてデビューしていたが、私がデビューの頃には既に開店休業状態で、その後すぐに引退し、故郷の神戸に帰ったそうだ。東京の短大を卒業しており、地元で就職しようとしたが、やはりうまく行かず、親のコネでなんとか滑り込んだ職場では元アイドルということでいじめに遭い、半年ほどで辞めてしまった。それで、梅田の街をぶらぶらしている時に、玲子さんに声を掛けられ、この仕事を始めたのだそう。後に、出版社という昼間の勤務先も手に入れ、二足のわらじで頑張っていた。

 

一週間の研修が終わり、本格的に店に出るようになってから、店について色んなことも分かるようになった。まず、店名がない。電話に出るのは、だいたいメインで現場を仕切っている玲子さんか、たまに姿を見せる章江さんだったが、二人とも自分のではないが、毎回同じ苗字を名乗っていた。これはホステスが電話に出る時も同じで、それぞれ仮の苗字を持つことになっており、私は「北村」と名乗っていた。また、店の場所も一定ではなかった。不定期に居場所を転々としていた。その時やっていた一軒家は、私が入った時点で三か月目だった。その前は北浜辺りの高級マンションだったそうだ。物件はお客の紹介で決まるらしい。私は大学卒業まで結局働いていたが、その間二回、店の移動があった。こんなスタイルの店だが、実は当時で四十年ほど続いており、しかも、東京や名古屋などにも同じスタイルの店があるという。事実、その後夏休みなどには私も東京や名古屋に出張したことがある。ちなみに、章江さんが奈美子とともに東京に行ったのも、実はその東京の店の仕切りが目的だったことも聞いた。

 さて、給料の方だが、最初時給三千円で、研修終了後は五千円になった。さらに指名があれば指名料、さらにチップなども入る。秘密クラブというせいか、支払いは全てその場で現金で行われ、給料もその日のうちに日給で払われる。「証拠はあとに残さない」ということだった。私も一カ月ほどで指名が入るようになったため、収入ははっきり言って凄いものになった。副業前提なので、基本同伴もアフターもなし。希望があればもちろん自由に同伴もアフターもできるが、ノルマもないし、その分手当などもない。

 お客はものの見事に一流どころばかりであった。芸能人、政治家、実業家、芸術家…まさに大物の隠れ家という感じであったが、飲み方はいたって普通、というより上品だった。酔いつぶれたり、セクハラまがいのことをされることもなく、大物の方からの面白い話がたくさん聞けて、非常にためになった。「英雄色を好む」とは言うが、女を抱くことにそれほど執着しない方もいるのだなと思ったものだ。

 

そんな居心地の良い職場であったので、女の子が辞めるのも、結婚とか、卒業とか、節目となる時だった。真由美さんは私が入って一年ほどして結婚することになり退職した。その後程なくして新しい子が入って来た。私と同い年の女子大生で、モデル経験のある長身でスタイルの良い美人だった。もう分かってると思うが、ここの店は一人辞めると一人、スカウトで補充するという形を取っていた。私が入った時も、誰かが辞めた直後だったらしい。ただ、前にどんな子がいたのかについては全く教えてはくれない。そこら辺の秘密ぶりは徹底しており、私も真由美さんのことは一切話さなかった。

 

先に述べたように、私は大学卒業までここで働いていた。働いているうちに、それまで元アイドルという肩書きを何とか払拭しようとしていたが、そんなことはもうどうでもよくなってしまっていた。完全に「普通の女の子」には戻れないのだ。直接元アイドルという肩書を利用していたわけではないが、こうした普通では絶対働けないような場所で働けたことに、自信と誇りを感じていた。厭らしい言い方かもしれないし、決して本心からそう思っていたわけでもないけど、「私は他の女とは違うのよ」という気持ちが、自分を気丈に支えてきたような気がする。

 結局、お客さんで来ていた某大手旅行会社の役員の口利きでそこに就職が決まった。その頃には、もう私が元アイドルということを忘れている人も多く、初めて「普通の女の子」になれた気がした。一旦捨てることで、忘れた頃に手に入るというのは何とも皮肉な感じだが、世の中そういうものなのかもしれない。その後、同じ会社に勤める男性と結婚、二人の子供にも恵まれ、今では完全に「普通の主婦・母親」だ。


デビューして二十年以上経ち、八十年代アイドルがブームだそうだ。いつの間にか私の「ベストCD」が出ていたらしい。シングル七枚、アルバム二枚を出したので、ベスト盤を作るには十分曲がある。CDショップで、私のベストCDを見掛け、手に取ってみた。CDを見ながら、「これがもし売れたら、私も印税とかもらえるのかしら」などと考えてみたりする。まあ、入ってきても微々たるものだろうから、別に構わないけど。

 

 

                  *


 同窓会をきっかけに、奈美子は同級生から色々な話を聞いたが、まさか母親が出てくるとは思っていなかった。聞きたいことはたくさんあったが、まずは聞いた話を整理しようと思っていると、唯理子が、あんたの聞きたいことはこれでしょ、とばかりに次のように言った。

「でもな、奈美子のお母さんがなんでそういうことをしてたのかまでは分からんわ。やっぱり、肝心のことは玲子さんに聞くしかないんちゃうかな」

「そうか…」

もちろん聞きたかったことはこれだけではない。しかし、そのことを知らないのであれば、三田の父親や、高島との関係まで探るのは難しいだろう。

「今日は本当にありがとう。また大阪に来たら連絡するね」

奈美子がそう言うと、いえいえ、御役に立てたかどうか、と唯理子が返す。お決まりのやり取りだが、奈美子はなぜか心が和んだ。


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