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臨死記録

 夢の中。

(夢だな)

とは分かった。

 布団にいる私。隣にも布団。女が何かをずっと寝床で話している。掛布団は別のはずなのに、ちょいと曲げてみた私のかかとが彼女のふくらはぎを滑った。足がつるつる。昔の母みたいで大変忌々しい。

 目を閉じてしばらく待ってみたが、他の気配もあり、何しろ明かりがついていて眠れない。

 起きる。女は消えた。幼児がいる。5歳になるかならないかくらい。袖部分が白い、緑のスタジアムジャンパーを着ていた。

 左を見ると、業務用シャッターがあった。黒いブラインドみたいな内枠だけが下がっており、少しも安全そうに見えない。持ってみると簡単に上がってしまう。さっき見知らぬ男が外側の物を上げて出て行ったから、外側のシャッターがある事は分かる。何故かその場面を見ていた。

 防犯の為に閉めたい。困った。おろおろしつつ待っていると、逝去されたZABA○AKの吉良○彦さん、登場。人生初、生(?)吉○さんである。

「おい!」

と、少し強く言われただけで、外のシャッターを閉める棒のありかが何故か分かった。彼が中へ入れる様に肩でシャッターを支える。入ったのを確認してから、外のそれをぴっちり下げた。




 私の布団も消えていた。私が寝ていた部屋はそれほど広くなかったが、そこに出現していた机の前の事務椅子に腰かけた彼は気難しそうである。正直剣呑。しかし、訊ねる。

「ここはどこですか?」

 ぼやかす様な返事だった事しか思い出せない。推測を述べる。

「私はもしかしてもう死んでいて、今、霊柩車の中にいる?」

「よく分かったな」

 大当たりらしい。少し愉快そうな雰囲気。爽やかな微笑を浮かべていた気がする。

(そうか、死んだか)

とは思ったが、何故か動揺とかは生まれなかった。亡くなるとこんな感じなのだろうか。

(なら、思ったより精神的に疲れなくていいな)

と感じた。

 リノリウムっぽいのに畳の感覚を伝える床に、家のゴミ(主に長い髪の毛)が落ちていて気になるので、ガムテープを借りて掃除。幼児はうろうろしているが、邪魔はしない。いい子だ。

 吉○さん(と呼ぶ事にしておこう)はいつの間にか消えていた。気配だけはある。




 トイレを借りる事にした。床から天井までタイル張りで、広い空間に洋式トイレだけがあるが、周囲がとっちらかっているのでそこも整頓する事にした。

 そこに幼児登場。見れば坊主頭で、見た目と不相応に頭の骨が仕上がっていてごつい。彼が使うというので先に使わせた。

 水は流したらしいが、給油ポンプの持ち手側が便器に浸かっていた。彼の仕業ではなさそうだ。透明なパイプ部分をつまんで取り上げ、横のプラスチックのバケツに放り込んだ、と思う。

 手を洗っているらしい彼に、訊ねてみた。

「君もここにいるの? 名前は?」

 かな○みかさん風のボイスで、幼児は言った。

「スーパーこんどうドラ○ンボールが始まります!」

「長い名前だな」

 どういう字を当てるのか想像もつかなかったが、変だとは思わなかった。何せキラキラネーム大全盛なのだ。




 という所で、目が醒めた。

『左を向いて寝る事は心臓を圧迫し、悪夢を見やすくする』

とかかりつけの先生から注意されていたのだが、そちらを向いて寝ていた。

 生還か起床か。過去の経験からすると、生還なら、荒く呼吸をしているはずだ。

 いや、寝た気がしない起床かもしれない。空腹が勝っていた。




 吉良○彦さん、そして、実在したなら、スーパーこんどうドラ○ンボールが始まります!くん、どうか安らかに。

書こうとした時、やはりPCの動作が重くなったので、部屋のお札と祖母の写真に、作中に登場する方々の事でお願いとして手を合わせました。特に、あるお二方は失礼のない様に記述させて頂きましたが、至らぬ点がありましたら、それは全て筆者の責任です。

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