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ボクと幼女とおっさんと

ある所に、リンタロウという男の子がおりました。

とても優しくて穏やかな、隠れオタクを貫き通す、そんな子です。


「あの・・・この”道”ってどこまで続くんですか?もう歩きっぱなしですよ・・・」

「んぁ?ふむ・・・あっちから来たもんはすぐバテるって聞いてたけど、もうなのか?」

「ただでさえ・・・運動が・・・苦手なのに・・・酷いですよぉ」


中学生になった頃、彼は一人の女の子に恋をしました。

成績優秀、容姿端麗。言うこと無しの完璧な美少女でした。


「まあ、そういいなさんな。これから行く場所は、選ばれし者しか行けない場所なんだぜ?」

「選ばれし者・・・良い響き・・・ですね・・・ふぅ」

「だろ?」


ある時、彼は勇気を出して告白をしました。

”ボクと付き合ってください!”  ”・・・私のこと、心の底から好き?”  ”も、もちろん!”


「ほら坊主、見えてきたぜ。あの光だ」

「やっと・・・ですか・・・って、え?」

「うしっ!もうちょっとだ!あ、そうだ坊主」

「な、なんでしょう・・・か・・・」


”ありがとう・・・じゃあさ、一つお願い聞いてくれる?”  ”うん!”

彼女は言いました。

”死んで?”  ”・・・え?”

彼は、彼女が言った言葉に脳が追いつく前に突き落とされ・・・



「ようこそ!転生争奪戦リバイブ・サバイバルへ!」



この世を去りました。






壱戦目 ―ボクと幼女とおっさんと―


「ここ・・・どこだろう」

ボクは暗闇の中を、ただ当ても無く歩き続けていた。

「たしかボクは殺されたはずで・・・とすると、ここは死後の世界かな」

歩き続けないと、止まってしまうと、何かに捕まりそうな気がして。

「ははっ・・・あっけないなぁ・・・女の子に殺されるなんてね」

そんな独り言さえも、暗闇に消えていってしまいそうで。

「まぁ、ヘタレだし・・・仕方ない、かなぁ」

そして、闇を受け入れ始めたとき、

「っ!?」

光に包まれた。



「いんやぁ~!ゴメンね~!神様ったらドジっ子で~!キミを奈落に落としちゃってたわ!テヘッ☆」

そんな声で目が覚めた。チャラい男の声だ。随分とテンションが高い。

立っている場所は建物の中のようで、周りには柱とそれに絡まるツタ。その外には青空が見える。

「ここは・・・神殿ですかね?ギリシャのを模してるみたいですけど・・・」

「おお!一発で分かる人がいるとは!神様カンゲキッ!」

「いやぁ、それほどでも・・・ん?」

今なんと?神様?聞き間違いでなく?

「そう!私が神様。名前はまだ無いけど・・・」

頭の中を読めるのか・・・いかん、また悪い癖が出てる。

「癖?あぁ!すぐ周囲の状況を整理しちゃうソレね」

話さなくてもいいのか。便利ですね神様。なら神様、少し聞きたいことがあります。

「ん?なんでも聞いて良いよ?神様に分からないことなんか無いからね。」

・・・ここは死後の世界で、ボクは死んだんですか?なぜココに連れてこられたんですか?

「最初の二つについては、イエスだよ。キミの記憶通り、告白した女の子に殺されたんだ。

 彼女は今頃地獄さ。なにしろ人を殺めたんだからね」

そっか・・・まぁ、今は好きというより無関心かな。殺されたわけだし。

「キミ、やっぱり優しいね。嫌いにはならないんだ?」

恨んでも仕方ないですしね。現実を受け止めますよ。

「神様が言うのもなんだけど、今の状況を現実として受け止めていいのかな・・・?」

ボクがいってるんだからいいんですよ。それより二つ目を教えて下さい。

「あぁ、そうだったね。じゃあ二つ目。簡単にいうと、迷惑かけたお詫びをあげようと思ってね」

お詫び?えっと・・・内容は?


「キミ、転生する気は無いかい?」


・・・転生?こりゃまた面倒臭そうなのが来たな。

「この場合、人間にって意味だけど。ちなみに拒否してもいいけど輪廻の順番的にミジンコになるよ?」

ぜひとも受けさせて頂きます神様!いや、受けさせてください!

「うんうん♪その意気だよ。じゃあ手続きはこっちで済ませるから・・・」

すると、神様の後ろから重そうな鎧を纏った男?が出てきた。

ラノベとかだと、中身はじつは女でした~とかがあるんだろうけど・・・

「この案内人兼キミのパーティーメンバーをあげるから。頑張って転生してきてね。

 あと、彼は男だから。」

「よろしくたのむぜ!」

あ、ダメだわ。ラブコメ展開を想像したボクが馬鹿だった。そんなド低音聞かされたら心折れちゃう。

「あとは・・・これをこうして・・・よし。今からキミは神様の加護(物理)を受けられるようになったから、助けが必要になったら神様を呼んでね!」

ちょ、神様なんですか物理って。そんな物騒なことになるなんて聞いてな・・・

「よしっ!じゃあ、あとはその案内人のガズルが教えてくれるからね!いってらっしゃい!良い転生を!」

 か、神様!ボクまだ聞きたいことが・・・!


考え終わる前に、ボクは来る時と同じに飲み込まれた。




そして、話は現在に戻る。

光に飲み込まれてから、体感時間で3日ブッ通しで”道”を歩き続けた。

”道”は薄いガラスのようなもので、暗闇の中それだけが薄く発光していた。しかし、なぜか非常に歩きにくかった。それでも、不思議と眠くならなかったし空腹も喉の渇きも無かった。あるのは肉体の疲労だけ。それも休めばすぐに治った。

練習も兼ねて神様に聞いたところ、これが神様の加護(物理)らしい。原理は特に無いとも言っていた。本来ならば霊体でも生体と同じことをしないといけないらしい。なんて面倒臭いんだ、霊体。

「よし!じゃあ坊主。ルールの説明だ。」

案内人のガズルさんは話を進める。話してみて分かったが、彼も一応霊体らしい。一度転生するチャンスがあったがそれを断り、新入りが転生出来るまで世話をする仕事を神様に与えられたという。良い人過ぎて泣ける。

「ココ、転生争奪戦はおおまかに言うとダンジョンだ。フロアの真ん中に大きな塔が建っていて、そこから上に行ける。今からその塔を目指す。大体1週間ぐらいで着くはずだ」

結構遠いな、おい。また歩かなきゃいけないのか・・・

「それで、これがお前専用のステータスダイヤだ。転生争奪戦での身分証明書みたいなもんだ。

 お前じゃないと起動しないから盗まれたりはしないさ。価値がないからな。」

「綺麗ですね、コレ。」

渡されたのは、透き通った蒼い宝石だった。

握ると、ホログラムのように文字が浮かび上がった。

「んで、起動した時に数字が出るだろ?それが、今のお前のレベルだ。

 ココじゃ上に行くほど必要になるレベルが増える。上げるにはモンスターを狩るしかないぜ。」

そう言った所でガズルさんは遠くを指差した。

その先には、こっちに向かってくる大量のトカゲが・・・トカゲ・・・が・・・

「う、うわああああああああぁぁぁぁぁぁ!ちょ、ガズルさん!助けてください!」

なぜかトカゲ達はボクに向かってくる!意味が分からないよ!

「ちょいと細工させてもらったぜ~。ほい、この剣でリザード共を一掃するか退却させられたら合格だ。

 お前に同行する。まぁ、こっちの世界じゃ雑魚中の雑魚だから一振りで倒せるぜ。頑張れよ!」

鉄の剣を渡されたら、ドンッと背中を押されて前に出てしまった。

トカゲ達も一時停止してこちらの様子を伺っている。

(くっ!?数が多すぎますよガズルさん!一体どうすれば・・・)

ガズルさんに目を向けると、最高の笑顔で親指を立てた。ぐっ・・・堪えろボク!

その時、隙を狙って1匹のトカゲが飛び掛ってきた。

「クソォ!やってやりますよ!やればいいんでしょぉ!?」

ヤケクソになって、ボクは1匹目を薙ぎ払うと群れに突っ込んでいった・・・



1時間後、そこには倒れ伏す僕と、トカゲから出て来た経験値?の宝石とそれを集めるガズルさんしか居なかった。

「うぅ・・・ぐふぁ・・・」

「お、坊主。目が覚めたか?お疲れさん」

「疲れたどころじゃないんですけど・・・」

結局、1時間の間ボク一人で戦い続けた。神様は、

『戦闘のチュートリアルだから、神様は手を出せないんだ~。ゴメンね☆』

といって、助けに来てくれなかった。今度戦う時に酷使してやろうか・・・!

そして、なんとかトカゲを一掃した。全然退却してくれる気配が無く、全て倒すしかなかったのだ。

「じゃあ坊主、コレをステータスダイヤに近付けるんだ。これでレベルが上がるぞ」

「あ・・・ありがとうございます」

さっき、トカゲから出て来た宝石がいっぱい入ったおおきな皮袋をガズルさんが渡してきた。

やはり、あれは経験値の宝石だったようだ。こっちは、赤くて丸い宝石だった。

「そうだ。なら、コレを・・・」

ボクはそう言うと、ステータスダイヤを袋に突っ込んだ。みるみる袋が軽くなる。

「おお!いいな今のやり方。今度オレもやろう」

「どうぞご自由に・・・うおっ!?」

言いながら取り出したダイヤを起動させると、二桁の数字が浮かび上がった。

「ほぉ・・・もうレベル12か。いいスタートだな」

「結構倒してたんですね・・・」

ついさっきまで1レベルだったとは思えない増え方だった。

「ん?あれ・・・傷が無くなってる?」

気付くと、体のあちこちに付いていた傷が何事も無かったかのように消えていた。

「ああ、言い忘れてたな。レベルが上がると体力と状態異常とかは回復して、ステータスは強化されるんだ。」

「なんだかゲームみたいですね・・・」

まさに、生きていたときにあったドラ〇エや〇FとかのRPGの仕様だ。

「もう1つあるぞ。レベルが5、10、15、と上がるたびにスキルが手に入る。」

「スキル・・・?これですか?」

「ああ。スキルはランダムだから、強いのが当たるといい・・・は?」

よく見ると、浮かび上がっている数字の横にスキル名が書いてあった。


絶対守護神オールガーディアン:召喚獣。1方向の全ての攻撃を無効化。常時発動型。

○万物錬金:生成系。魔力量に関係無く思い浮かべた物を練成する。

    発動させたい方向、距離を思い浮かべるとそこに発現。


「ぼ・・・」

ボクTUEEEEEEEEEEEEE!?

ナニコレ!?強すぎじゃないですか!?錬金とかもうチートじゃないですか!

「坊主・・・お前、マジで転生出来るかもな・・・」

「は・・・はい。っていうかガズルさん後ろ!」

「え?うおぉ!?」

さっきまでいなかったはずの少女がそこに立っていた。

白いワンピースに、綺麗なブロンズの長い髪。ステータスダイヤと同じ、吸い込まれそうな蒼い瞳・・・

「もしかして・・・キミが絶対守護神?」

「はい、マスター。私が絶対守護神、オールガーディアンでございます。どうぞご命令を」

お嬢様然としたお辞儀をし、自己紹介してくれた。か、可愛い・・・!

「こりゃたまげた・・・ぼ、坊主?」

「・・・キミを守るよ!絶対に!」

「マスター。苦しいです」

「あ、ごめん」

おもわず抱き締めてしまった。しかし、苦しいと言っただけで嫌がらない。感情がほとんど無いのかな?

「はぁ・・・ほら坊主、もう1つのスキルも確認しとけよ?終わったら先に進むんだから」

「は、はいガズルさん。ん~と・・・こうかな?」

すぐに立ち上がって、近くの岩を見つめた。


瞬きのあと、岩の上にはオールガーディアンの絵が描かれた旗がはためいていた。


「・・・坊主。そんなに気に入ったのか?」

「マスターに気に入って頂けたなら、私は満足です」

「は、ははは・・・」

仕方ないじゃないですか!だって天使なんですもん!

「は、早く行きますよ!せっかく仲間とスキルが増えたんですから!」

「はぁ・・・落ち着け坊主。まだ先は長いんだから」

「マスターは私が守るので大丈夫です」

くっ!やっぱり天使じゃないか!でも、能力は使わせたくないから守ってあげなきゃね。

「よし!錬金でミスリルの剣も作ったし行きましょう!」

「やる気出して何作ってんだよ坊主・・・」

「頑張ってくださいマスター」

そんなこんなで、騒がしいボク達のパーティーは転生するために塔へと歩き出した。





そんなリンタロウ達のパーティーの様子を、神殿にある高画質液晶テレビから神は1人で見ていた。

「いやぁ~!やっぱキミの見込んだ通りだね、彼。」

神は誰も居ないはずの場所に話しかける。

いや、神にはそこに居る何者かが視えているのかもしれない。

「体力は低いけど、すばやさ、器用さ、運がカンスト・・・しかも例の能力も本当に持ってるなんてね」

神は話し続ける。しかし、何者かは一切反応しない。

「ま・・・今後はキミにもっと期待するよ。信頼してるからね。あと、いつかの約束を果たせそうだって伝 えてくれないか。今から寝るから、返事はいつでもいいよ」

神がそう言うと何者かの気配は消え、今度こそ神殿には神1人になった。

「さて・・・今はまだ神様は見守るだけさ・・・」


「せいぜい足掻き切れ。転生神さんよぉ?」


神は誰にも見せたことの無い笑い方をし、眠りについた。

どうもお初にお目にかかります。蜜柑と申します。

初投稿です!ただ自分の中に溜まっていた厨二病を吐き出しているだけですが、見てくれる人が居てくれたら十二分に嬉しいです。

至らない点がありましたら遠慮なくどうぞ。参考にさせていただきます。

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