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転生機ゼフィルカイザー ~チートロボで異世界転生~  作者: 九垓数
第二十四話 皇帝機リオ・ドラグニクス
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024-003

『それで、ジャッカル氏は』


「フローネイルだっけか、その人についてこうとして不潔だからって引きはがされてた。悪いけど仕方ないな。

 でもジャッカルのおっさん、あの女にはリベンジするって言ってたのに、どういうことなんだろうな?」


「男と女の仲というのは計り知れぬものがあるのでござる。アウェル殿なら、なんとなくはわかるのではござらんかな」


『そういうお前の脇腹の傷はどれだけ増えればいいんだろうな』


「クエックエックエッ、男の勲章でござるよ」


「正直、よく羽毛が維持できてるよな」


 はっはっは、と笑いあったところで――


『で、どうしようあの化け物』


 体操座りのロボットは中枢回路を抱えた。この台詞を吐くのは大会始まって二度目だ。渡九郎とは化け物のベクトルが違う。


「霊鎧装を纏う魔動機、か。ねーさまに聞いとっただけやけど、ホンマに実在しとったとはな」


「とは言っても私たち、そういうもの自体は既に見てますからねえ」


「え、あんなの見たことあったっけ?」


「あれだよあれ、ヴォルガルーパー。トメルギアで見たすげえでかい奴」


 そう。霊鎧装を纏う魔動機というもの自体は既に見てはいるのだ。そのサイズが桁違いだったというだけで。

 大魔動機ヴォルガルーパー。あの機体も、魔動機でありながら霊鎧装を纏っていた。


『……ヴォルガルーパーのみならず、四大大公家の大魔動機はすべてが霊鎧装展開能力を有していますの。

 厳密に言えば魂ある者のみが顕現できる霊鎧装ではなく、魔力を魂に近しい状態へ還元し直して展開する、擬似霊鎧装プレ・エレメイルなのですが。

 本来の霊鎧装に比べれば単調ですが、防御力は遜色なし。なにより、要する魔力の質は真正の精霊機ほど問わないはずですの』


 それまで大人しくしていたクオルが口を開く。普段の調子からすると、本当に同じ剣、いや精霊機かと疑いたくなる真面目っぷりだ。

 そしてヴォルガルーパーを思い出す。砲撃機能時に霊鎧装を解除していたが、逆を言うと霊鎧装を砲撃手段として用いることはできなかった、ということになる。ヴォルガルーパーの霊鎧装を用いた攻撃というと、格闘攻撃と攻性防壁による無差別攻撃だけだ。


『……リオ・ドラグニクスは、魔力弾を発射していた。ということは、リオ・ドラグニクスは大魔動機よりも後に作られた機体なのか?』


『流石ゼフ様、一を聞いて十を知るその知性、見惚れてしまいますの――ごほん。

 クオルは、シルマリオンが生んだ最強最後の精霊機ですの。ですけど魔動機の技術者たちも負けてはいなかったんですの。

 魔動技師たちは、それまでの魔動機や大魔動機といった機体で培われた数々の技術、さらにクオルに至るまでの精霊機技術、それを結集してクオルとソーラーレイに対抗しうる機体を造ろうとしたんですの。

 そして、二体の魔動機が造られることになったんですの』


「二体って?」


『おそらく、方向性の違いだろう。遠距離特化と近距離特化のような。

 そうした技術の集大成のようなものを作るとき考えられるパターンは……皇帝機を見るに、基本に忠実なスタンダードな機体と、機能をとにかく詰め込んだ贅沢な多機能機、皇帝機は後者か?』


 ゼフィルカイザーの脳裏をよぎるのは、かの有名なロボットアニメシリーズ。その初代の主人公とライバルだ。三部作を経て劇場版で最後の決戦となった二人のパイロットの最後の機体だ。

 とはいえそれはしいて言うなら、という程度だ。皇帝機はむしろ過剰すぎる印象がある。



『流石ゼフ様、御慧眼ですの』


 当たっていたことは驚くに値しない。問題なのは、この場面でクオルがいつものようにはしゃがないことだ。皆一様に訝しがっている。


『ゼフ様のおっしゃったように、シルマリオンの魔動技師たちはコンセプトを二分したんですの。

 一つが、魔動機技術でも基本であるフレームやミュースリル駆動の技術の粋を極めた究極の基本機。

 そしてもう一つが、基本の枠を逸脱した、歪といってもいい多機能特化機。

 前者が、極魔動機パーフェクト・マジカライザーデュラスティンゼイ。

 そして後者が、超魔動機オーバード・マジカライザーリオ・ドラグニクスですの。

 デュラスティンゼイが最高の魔動機であることを目指したのに対し、リオ・ドラグニクスは、あらゆる魔動機、精霊機、大魔動機をも超える最強の兵器を目指したものですの。

 まさか魔動機でありながら擬似霊鎧装まで搭載していたとは思ってなかったですけど』


「――つ。珍しく饒舌かと思ったら、結局いつもの記憶喪失ですか?」


 頭を押さえながらパトラネリゼが毒を吐く。だが、クオルは柄をふるふると振った。


『クオルがあの機体を知らないのは当然ですの。

 だって、あの二機はクオルより後に建造されはじめ、そして邪神族との決戦に間に合わなかったんですの』


『となると、皇帝機の性能も知らないと?』


『実際の能力までは。申し訳ないですの。でも、あの機体のコンセプトは覚えてますの。

 操者以外の動力源として神剣アースティアを用いる決戦兵器。その力は四体の大魔動機はおろか、クオルをも凌駕すると』


(――む? となると、アースティアが無い状態のあの機体は不完全ということに――いや、いやいやいや。ちょっと待て)


 大急ぎで皇帝機の記録映像を持ち出す。その形状でどうやってあの馬鹿でかい神剣を振り回すというのか。ゼフィルカイザーの思考回路が導き出した解答は単純明快だった。だが、それを口にする前に、


「いや、あんたごときより強い程度大したことないでしょ」


 クオルの言をセルシアが鼻で笑った。お前が乗り回してるからだ、という特大のブーメランが待ち構えているのだが気づいているのかどうか。

 だがクオルは諦めたようにため息をついた。つくづくどこから息を吐いているのか。


『まったくヘボマスターはこれだから。

 あの機体が目指したのは、完全な状態でソーラーレイを振るうクオルを超えることですの。もしその通りに完成していたというならば――たとえクオルが全ての力を取り戻したとしても、あの機体には勝てませんの』


 告げるクオルは毅然としているようだが、声色には悔しさのようなものがにじみ出ている。それでもリオ・ドラグニクスの性能に確信を持っているのは――


『シルマリオンの技術というのは、それほどまでに凄まじいものだったのだな』


『ゼフ様……そのとおりですの』


 己を生み出した魔法文明をそれだけ誇りに思っているということなのだろう。


「――で、相手が化け物ってのだけはわかったけど」


「霊鎧装相手ではツトリン殿の石火矢も通じんでござろうし、あの攻防一体の力の前では……」


 ハッスル丸の危惧も当然だろう。当のツトリンも渋い顔をしている。内心一番渋い顔をしているのはゼフィルカイザーなのだが。


(銃火器に気を取られ過ぎた……!!)


 皆の、特にツトリンの前では口が裂けても言えないことだ。実際役に立っているし有用性も高い。ヴァイタルブレードがオシャカになった代用としては十分すぎる。それは確かだ。


(次にドラゴンとか見たらウサ晴らしに蜂の巣にしてやる……!! 世に平穏のあらんことを……!!)


 だが――ただの弾丸を用いた兵器である以上、霊鎧装相手には無力。それも確かな事実なのだ。


(やっぱりアウェルにO-エンジン発動のための修行とかやらせるべきだったのか――いやいや何を考えているゼフィルカイザー。あんな命に関わりそうなもんの特訓やらせるとか正気か。

 いやしかし、他に俺に試せる手段があるか……!?)


 現時点で判明している事実は二つ。

 リオ・ドラグニクスは霊鎧装という絶対装甲を纏っている。

 そしてそれは使用者の莫大な魔力ゆえに、防御どころか触れた物体を問答無用で砕く攻性防壁と化している。

 対抗できるのは魔力のみ。恐らくO-エンジンの出力を受けた金色のフェノメナ粒子なら対抗できるとは思うが、あくまで仮定だし、逆を言えばそれしか手段がない。


(ぐ……どうする。銃弾は効かず、殴ればこっちが粉砕される。このクソゲーどうしろと!?)


 死ぬ前に見た新しいロボットアニメの最初の敵を思い出す。皇帝機以上にヤバい、触れたものを全消滅させるチート装甲を持った機体だった。

 それに限らず古今東西、あの手の全身バリア系の機体はなんらかの弱点を抱えているのがセオリーだが、それはあくまでお話の上のセオリーだ。現実問題、魔力切れ以外に弱点らしい弱点があるかどうかは不明だ。

 互いに見えているから光は通しそうだが、光学兵器などゼフィルカイザーには搭載されていない。

 それにこっちの敵は魔法だ。害のあるものだけを遮断、というくらいはやってのけるだろう。霊鎧装を展開して立っていても地面が抉れないのも、足の裏に展開していないとかではなく破壊力が生じる面を任意で指定できると見たほうがいいだろう。つまり、地雷でズドンといった手段も不可能だ。


(くっ、なんだこのクソゲー。何か通じる武器、武器は……いやちょっと待て)


 そしてそもそもの前提を思い出した。甦った皇帝機。即ちあの皇帝機は一度既に撃破されている。


『"皇帝殺し"はどうやってあの霊鎧装を攻略したのだ』


 そう。皇帝機がパイルバンカーで仕留められたという事実が存在しているのだ。


「あー……たぶんやけど、あの杭は魔剣かそれに近いもんでできとる。金属については一家言あるでな、間違いないで。ただ、当時も同じもん使っとったかはわからへん」


「しかしその手があったでござるか。皇帝機の霊鎧装の攻撃力も魔力によるものには違いござらん。

 魔力に対して強力な耐性を持つ魔剣なれば、皇帝機と格闘することも可能にござる」


(ということは、魔剣を手に入れんでも魔力耐性をゲットできれば――)


「ゼフさんをコア並みに頑丈にするとか無理ですからね。お金も時間も足りません」


『ぐっ……! お前まで私の考えを読むな……!

 しかしそうなると、魔剣と同じ素材で弾丸を造れば霊鎧装を貫いてダメージを与えられるということになるのか?』


「理屈の上で言えばそうやな。魔剣の実態ないものを切る、いうんは、言い換えれば魔力や魂やらに干渉できるいうこっちゃし。

 けど、そこまで質の高い魔剣なんてそうそう都合よく――」


 ツトリンが視線を向けた先には、陽だまりの温かさを放つ聖剣が。


「――クオルってゼフさんのこと好きなんですよね」


『当然ですの!』


 そう真っ向から言い切られるとゼフィルカイザーとしても恥ずかしいというか。


「ならゼフさんのためならなんでもできますよね?」


『それこそ当然ですの――あの、小娘?』


「ツトリン、こいつすり潰して弾丸にしましょう」


「オッケーやでぇ、クケケケケケ。ひとまず邪魔者が一本減るで、パトやんもワルやなあ」


「なんのことかわかりませんけど、このナマクラもゼフさんの役に立つなら本望でしょう」


『ぴいいいいっ!? お、お助けくださいですのゼフ様ぁ!』


『はぁ……冗談もそこまでにしておけよ、二人とも』


 少し低めの声で言うと、幼女とグレムリンはそろって「「はーい」」などと言って大人しくなる。茶番もいいところだ。


『はーっ、はーっ、め、目覚めてよりこの方、一番恐ろしい気分でしたの。

 ど、どうせ矢じりにするなら、マスターの持っている魔剣にするですの!』


「はて、魔剣……あ、そういやこれそうだったわね。アウェル、白いの、これ要る?」


「ちょっと待てセルシア。その剣、シングのアニキにもらったもんじゃんか」


 アウェルが冷静に突っ込む。シングからセルシアへのプレゼントだけに複雑な心境なのだろうが。


「でもさ。なんていうかその……あの機体、あれはヤバいわよ。なんかこう、今までにない感じで」


 告げるセルシアには、リオ・ドラグニクスへの危機感が漂っている。考えてみればセルシアも今や精霊機使いだし、ヴォルガルーパーに囚われたこともある。それ故に、リオ・ドラグニクスの力がいかに危険か感じ取っているのだろう。

 そうして心配されているとわかったアウェルは――


「あー……ひょっとして、お節介だった?」


「いや、ありがとな、セルシア」


 むしろほっとした様子で笑った。以前であれば憮然とした態度を取っただろうが、それを思えば成長したものだとゼフィルカイザーは頷き――


「じゃ、潰していいか許可取りに行こうぜ、アニキんとこに」


(鬼畜ゥー!?)


 なんかえらいことを言い出した。プレゼントをくれた相手に、そのプレゼントを素材にしていいか聞きに行くとか。どうやら落ち着いているようでかなり機嫌が悪いらしい。


『ちょ、アウェル、そこまでせんでもいい……!!』


「いや、冗談のつもりだったんだけど」


『冗談に聞こえなかったぞ。一体、何をそんなに怒っているのだ』


 ゼフィルカイザーの指摘に、アウェルは驚いたようにゼフィルカイザーを見上げた。


「なんでわかったのさ」


『わからいでか。少なくとも今のお前は私よりわかりやすいと思うぞ』


 いつもいつも思考を読まれているので、その反撃ができたと思っておく。


「……まあ、機体を大切にしない奴なのはわかってたんだけどさ。

 なんか、こう。あいつ見てるとみぞおちらへんがムカムカするんだよ」


「つまり胸が苦しいんですか?」


「それとはちょっと違う気もするけど、近いというか」


 アウェルの答えに、パトラネリゼはにんまりと笑みを浮かべた。


「……どうしたんだよパティ?」


「いえいえ。ゼフさん、シア姉、その皇女さんっていうのは美人だったりしました?」


「え? どうだろ?」


『こんな奴だった』


 記録映像を投射する。工廠の壁面に映し出されたのは、蛍色の髪の愛らしい顔立ちと、傲岸不遜な爬虫類系の瞳がミスマッチな少女だ。とはいえ、美少女といえばまあ美少女だろう。

 その姿にパトラネリゼはうんうん、と頷き、


「エル兄、簡単なことです。それは――恋の病ですね!」


「ねぇよ。お前の等身大の彫刻作ってエロい店に売るぞ」


「かつてなく冷酷な声色で恐ろしい提案を……!?」


 パトラネリゼ、本気でビビる。それもそうだろう。今のアウェルからは、黒騎士に向ける敵意とは明らかに別種のものがにじみ出ていた。

 セルシアもそうした様子は初めて見るのだろう。心配そうに、アウェルに尋ねる。


「……アウェル、どうしたの?」


「いや、なんだろうな。初対面から腹立ってたんだけど、今日の試合で我慢できなくなったっつーか。

 あ、大丈夫だぞ? ムーとやったときみたいな醜態は見せない」


「ならいいんだけど……それで、勝算はあるんでしょうね? ムキになって意地になって、それで痛い目見たらそりゃバカよ。

 ……まあ、あたしのことだけどさ」


 経験者は語る。意地でドラゴンにリベンジをかまして死にかけたことを思えば、随分と丸くなったものだ。

 それに首を振るアウェルは、こちらは大分尖ってきた印象がある。


「オレの意地で痛い目みるのはオレだけじゃないからな。

 ゼフィルカイザー、予定を崩していいか?」


 予定、とは、決勝までの武装の温存ならびに隠蔽だ。決勝の相手が誰になるかはわからないが、隠せる手は隠しておきたいところだった。

 だが、相手は霊鎧装。通じる手段はただ一つだ。


『――行けるのか?』


 その行けるのか、にはいろんなものが籠っていた。

 果たしてゼフィルカイザーの力で本当に皇帝機を倒せるか。

 決勝前に己の全性能を見せても大丈夫なのか。

 セミドライブで倒せればいいが、フルドライブまで使用してしまったとして、その反動が決勝に響かないか。

 ゼフィルカイザーの思考回路を膨大なシミュレートが駆け抜けたが――


(……いい目をするようになったなぁ) 


 真っ直ぐにゼフィルカイザーを見上げる少年を疑う気持ちだけは、一切なかった。

 むしろ気持ちの上では見上げているのは自分のほうだ。


『よし、ならばプランBで行く』


「プランB? なんだそりゃ?」


『ねえよんなもん、というのがお約束――というのは置いておいてだ。

 武装を隠しておけんなら、いっそ使えるだけ使ってやる、ということだ。私の全力を見せれば、相手も警戒するだろう』


「せ、せやけど相手は皇帝機やで。本当に大丈夫なん?

 それにゼッフィーもねーさまなら対策する可能性がある言うとったやんか」


 ゼフィルカイザーの真の力をまだ見ておらず、一方でキティ・グリーニンの能力を知るツトリンは不安げだ。しかしそのツトリンに、ゼフィルカイザーは諭すように言う。


『そのためのプランC――お前の作り上げている武器だ』


 ツトリンが連日かかりきりの武器。シキシマル工廠に残されていた図面のなかで、おそらくもっとも強力な武器だ。

 しかし銃火器である以上、皇帝機相手には役には立たない。一方で霊鎧装を持たない魔動機――そして、あのモーターライザー相手には切り札たりえるものだ。


「……よーするに、ねーさまに勝てるかはウチ次第いうことやな」


『モーターライザーが勝ち上がって来るとも限らんが、そういうことだ』


「オーケーや。ねーさまイワしたるんはウチの言い出したことやしな。そしたらウチもキバるで、ゼッフィーもエルやんもキバったってや」


「『おう」』


 二人の答えに、ツトリンも、それにセルシアも満足げにうなずいた。

 残るのは、賢者の少女と、少女が抱いた聖剣だ。


『ゼフ様』


『クオル。悪いがあの機体、倒すぞ』


『どうかご随意に、クオルの騎士様』


『んなもんになった覚えはない……!! で、パティ、どうしたのだ、顔をしかめて。また頭痛か』


「あ、いえ」


 どこか曇った顔のパトラネリゼに、ゼフィルカイザーは訝しむ。

 前にコックピット内のメディカルチェック機能を使ってみたが、若干神経の反応に乱れがあると出たくらいだった。


(まあ機能するのが確認できただけよかったか――遊んでみたらいろいろ怖いことになったが)


 他のメンツのチェックもついでにしたが、セルシアの筋密度や骨密度があきらかに人類じゃなかったり。どこぞのペンギンに人類判定が出たり。


(機体の元々のプリセットどおりなのか、それとも元の認識データが、俺の認識で書き換わってるとか。ツトリン乗せたらどうなるのやら)


 コックピットが壊れるから絶対やらないが。


「なんていいますか……ゼフさんのほうは勝算はあるんですよね?」


 その表情はかつてなく不安そうだ。だが、ゼフィルカイザーはその不安を笑い飛ばすように言う。


『考えてみたらあれだ、ヴォルガルーパーが魔動機サイズまで縮んだようなものだろう。

 闘技場ごと消し飛ばしていいなら倒すことなど容易い』


「また暴論を……私らも見に行くんですから加減はしてくださいよ」


 ゼフィルカイザーのぶっ飛んだ発言に、苦笑いとともに顔を青くするパトラネリゼ達。だが、事実だ。ゼフィルカイザーの性能をアウェルが使いこなしたのなら、倒せない相手などそうはいないのだ。

 かくして。準々決勝の残る二戦、その後の休みを置いて、四日後。

 そこで、反則チートと最強がぶつかり合う。


「ちなみにプランCがあるということは、プランDは?」


『いわゆるピンチだ』

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