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第一話:召喚されしバスト

世界は滅びかけていた。

風は逆巻き、水は溢れ、氷は大地を覆い、雷が空を裂く。

闇が森を喰らい、人々の希望は薄れつつあった。


そんな中、ただ一人。

異世界の女神が召喚したのは、筋トレ中の青年だった。


彼の名は――神焔真紅しんえん・まく

武器も魔法も持たぬ彼が唯一持っていたのは、

日々の鍛錬で鍛え上げた、“炎の胸板”。


これは、胸板一つで魔物を焼き払い、属性を超え、

世界を救い、そして……愛を掴んだ男の、

筋肉と情熱の異世界英雄譚である。

第一話:召喚されしバスト


「ベンチプレス一〇〇キロ、三セット目!」

汗が滝のように流れる中、俺は唸り声を上げながらバーを持ち上げる。


「フゥッ! この燃える胸板……やっぱり俺、今日も最強じゃね?」


鏡の前でポージングを決めていると、

突如、背後に異様な気配が走る。


眩しい光。天井が裂けるような轟音。

――気がつくと俺は、真っ白な空間に立っていた。


【神秘的な美女】「貴殿こそ、選ばれし“炎の胸板”の継承者……」


ある日、俺――神焔真紅しんえん まくは、日課のベンチプレス中に異世界へと召喚されたらしい。


現れたのは、神秘的な美女。

名はアリエル。自らを“女神”と名乗った。


【アリエル】「世界は今、崩壊の危機にある。

六大属性のうち、炎の継承者だけが現れなかった……

だが、ついに貴方が目覚めたのです」


俺は、筋トレ中に異世界召喚されてしまったらしい。


【真紅】「ちょ、ちょっと待て。俺の胸が……そんなに特別だってのか?」


【アリエル】「貴方は選ばれし者。炎の加護を受けし“真の胸板”を持つ男よ」


【真紅】「は?」


混乱する俺に、彼女は続けた。


【アリエル】「この世界は“属性の均衡”が乱れ、滅びの危機にあります。貴方の胸板は、その炎で世界を救う力を秘めています」


胸板で世界を救えと……? 正気か?


【真紅】「ふざけんな! 俺の筋肉は、ただの努力の結晶だぞ! 勝手に異世界連れてくんな!」


だが女神は意に介さず、強制的に俺を転移させた。


転移先は、崩れかけた神殿跡のような場所。


そこには、兜をかぶった騎士たちが数名倒れていた。


【真紅】「お、おい大丈夫か!」


彼らは異形の魔物に襲われていた。歯をむき出した獣のような魔物が、俺の目の前に立ちはだかる。


【真紅】「っち……状況がわからねぇが……やるしかねぇ!」


ベンチプレスと筋トレで鍛えたこの身体。武器はない、だが胸板がある!


【真紅】「くらえ……! フレイム・バスト・スマッシュ!!」


俺の胸板が赤く光り、炎の波動が魔物を吹き飛ばした。


【真紅】「な、なんだこの感覚……熱が、胸から……!」


倒れていた騎士たちが驚愕の目でこちらを見る。


【騎士団長】「お主は……伝説の“炎の器”か……!?」


【真紅】「いや、俺はただの筋トレ好きだ」


その日から俺は、この世界で“神焔のバスト”と呼ばれることになる。


街に戻った俺は、騎士団に同行し、世界の現状を聞かされた。


・各地で属性のバランスが崩れ、災害と魔物が激化 ・五つの属性“風・水・氷・雷・闇”が暴走 ・それぞれに対応する聖なる器が必要


【騎士団長】「……だが、炎の器は伝説とされていた。まさか、実在したとは」


俺は自分の胸板が世界を救うとか、正直信じられなかった。 だが、嫁からもらった筋トレグローブを見ると、ふと思う。


――筋肉が、誰かの役に立つなら。


【真紅】「わかった。やってやるよ。この胸板で、全部止めてやる」


次の日、俺は早速訓練を始めた。 この世界の魔力と、筋力の融合。それが“炎術・バスト系”の魔法だった。


【真紅】「フレイム・チェスト・インパクト!」「ファイア・バーニング・バスト!」


街の子供たちがマネをしてはしゃいでる。ちょっと恥ずかしい。


そんな中、街の外れで再び魔物が出現。 今度は、巨大な三つ首のサーベルタイガー。


【真紅】「今の俺の力で、どこまで通じる……!?」


真紅は全力で駆け出し、拳を構える。


【真紅】「フレイム・バスト・インフェルノォォォ!!!」


その瞬間、巨大な火柱が天へと舞い上がり、魔物を飲み込んだ。


【子供たち】「すごーい!! 胸板のお兄ちゃんカッコイイー!!」


【真紅|照れながら】「胸板って呼ぶな!」


街の人々は、俺を「筋肉の英雄」として認めてくれた。


夜、宿で風呂に入っていると、通信魔法が鳴る。


【嫁(日本)】「ねぇ、変な世界行ってない? 筋肉無事? 胸板燃やしてない?」


【真紅】「安心しろ。俺の筋肉は……今、世界を支えてる」


【嫁】「……あんたバカじゃないの。でも、ちょっとカッコいいかも」


【真紅】「……ありがとな」


胸板の熱は、まだ収まりそうにない。


(第二話「風の肩と、騎士団の誇り」へつづく)


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

本作は、ふざけてるようで真面目に筋肉の可能性を信じた異世界バトルファンタジーです!


主人公・真紅の“胸板”は単なるネタではなく、

彼の努力と誠実さ、そして人を守りたいという熱い想いの象徴。

だからこそ、属性の壁を越えて、彼は胸を張って世界と戦います。


読んで笑って、ちょっと胸が熱くなってもらえたら、これ以上の幸せはありません。

次回も、愛と筋肉で世界を救う真紅の物語を、どうぞお楽しみに!

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