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終焉の茶会は、今日も平和に大惨事  作者: ポン吉
第7章『終焉の茶会、笑顔の裏の断罪記録』

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03.鉄壁の聖女、闘技場にて

エルミナ学園の一角、闘技場。


 


見学席には、初等部二年生、中等部一年生、そして反発していない初等部一年生たちが並ぶ。


 


その中央、何の装備も持たず、普段着のまま立つ月。

対するのは、反発の声を上げた初等部一年生たちだった。


 


控え席では、教師たちが顔を見合わせていた。


 


「ねえ……月ちゃんって攻撃技、持ってるの?」


 


カグラが不安げに口を開く。


 


「持ってないよ」


 


カノンが即答する。


 


「お姉ちゃんは攻撃技は持ってないのだ……

いや、厳密にはあるのだが……あれは……そういうのじゃないのだ」


 


帝も続けたが、語尾は曖昧になっていた。


 


教師たちの表情が険しくなる。


 


「いくらなんでも危険すぎる!」


 


会話を聞いていた生徒たちの間にも、ざわつきが広がった。


 


「まあ、でも。大丈夫でしょ」


 


カノンが肩をすくめる。


 


「あいつらの攻撃がお姉ちゃんに届くことは一切ないのだ」


 


帝は自信たっぷりに断言する。


 


闘技場の中央で、月が軽く微笑みながら声を上げる。


 


「わたしに攻撃できたら、いいですよ? 制限時間は……三分です」


 


合図もないまま、初等部一年生たちは一斉に動いた。


 


魔法、体術、飛び道具。

ありとあらゆる手段が、月を目がけて放たれる。


 


だが。


 


すべての攻撃が、月に届く前に弾かれ、霧散した。


 


衝撃波は空間のどこかで遮られ、

火球は壁に当たったように砕け、

打撃は届く前に止まっていた。


 


観覧席から、どよめきが起きる。


 


「……あれは……………結界か……??」


 


夜行が低く呟く。


 


「そうだよ! 姉さんの結界はね、ピカイチなんだ!!」


 


カノンが誇らしげに言い放つ。


 


「どんな攻撃も、物理攻撃も通さない。

まさに鉄壁の守り。

聖教会時代はそれでよく外の脅威から街を守ってきたのだ」


 


帝も、真剣な表情で続ける。


 


「まあ、本気出せばアルセディアの国全土に同じ強度の結界を張れるし、張り続けられるけど……」


 


カノンのさらなる説明に、教師も生徒も、ただ絶句するばかりだった。


 


闘技場の中心で、月はただ静かに立っていた。


 


初等部一年生たちの攻撃は、誰一人として月に届くことなく、三分が経過する。

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