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終焉の茶会は、今日も平和に大惨事  作者: ポン吉
第3章『終焉の茶会、日々是再建のこと』

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09. いないなら、育てればいい

昼下がりのギルド応接間。

月はため息をつきながら、目の前の段ボール箱をじっと見つめていた。


依頼書がぎっしり詰まった箱が、机の上に三つ。

中身はすべて高難度案件――どう考えても、今の人手ではさばききれない。



「食料の供給は整った……でも、ギルドとしての“機能”がまだ足りない」



受付には誰もいない。

依頼を受け付ける人間も、管理する人間もいない。

このままでは、運営自体が立ち行かなくなる。



(教会の子どもたち……中には文字も読めない子もいた)



数日前の記憶がよみがえる。

紙を手に取りながら、ひらがなさえ読めずに首をかしげていた、あの小さな手。


――いないなら、育てればいいじゃない。


月は椅子から立ち上がり、白紙の紙を取り出すと、ペンを走らせはじめた。


線が交差し、枠が生まれ、言葉が並び……

“ギルド付属教育施設”の設計図が、少しずつ形を成していく。


 


その様子を横目で見ながら、マスターはのんびり湯のみを傾けていた。



「いやぁ……勝手に考えて、勝手に動いてくれる人って……ほんっと便利だよねぇ」



湯のみを置いて、にこっと笑う。



「マスタだよ☆」


 


月の背中。

その向こうには、山のような依頼書と、白紙だったはずの設計図面が広がっていた。


ギルドは今、戦うだけの場所から――

人を育てる場所へと、静かに進化しようとしていた。

次章・第4章『終焉の茶会、黒板と木槌とDIY』は、

7月13日 朝8時より投稿を開始します。


どうぞ、お楽しみに。

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