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終焉の茶会は、今日も平和に大惨事  作者: ポン吉
第3章『終焉の茶会、日々是再建のこと』

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08. 食糧供給ダンジョン、始動!

早朝。

月はギルド裏で、一体の魔物と向き合っていた。



「君、ダンジョンを発生させる能力があるんだよね?」


「そ、そうですけど……! 戦う系じゃなくて、環境構築専門の――」


「うん、それで充分」



にこりと微笑む月の背後には、静かな威圧感が漂っていた。


魔物は一歩引き、視線を泳がせる。



「……なんで俺が……」


「だって、君の力が最適なんだもん」



返答の余地も与えず、月は断言した。


観念したように、魔物は小さくうなずいた。


 


数時間後、ギルド裏には重厚な石造りの入口が出現していた。


「……また何か始めたのだ……」

帝が遠巻きに呟く。


「姉さん……ノリノリだね……」

カノンも眉をひそめる。


その視線の先では、月が魔力を注ぎながら嬉しそうに笑っていた。


 


新設されたダンジョンは、全六層構成。


【1層目:野菜ゾーン】

→ 根菜・葉野菜が繁茂。ぷるんとした弱々しいスライムが徘徊している。

 スライムを軽く叩くと、キャベツやにんじんが飛び出す。


【2層目:穀物ゾーン】

→ 転がる小麦玉や、跳ねるライススライムから穀物類が採取可能。


【3層目:加工品ゾーン】

→ スライム型のパン生地を捕まえると、パンがドロップ。チーズスライムも登場。


【4層目:魚介ゾーン】

→ 水生スライムや魚型魔物。安全設計の小川で釣りが可能。


【5層目:果物ゾーン】

→ 木の上をぷるぷる跳ねるフルーツスライムから果物入手。


【6層目:肉ゾーン】

→ もっとも奥に位置し、低確率で高級肉スライムが出現するエリア。


 


後日、月は教会を訪れ、シスターと子どもたちに告げた。



「というわけで、今日からみんなでダンジョンに行きます!」


「えぇぇ!?」「こわくないの!?」「モンスターいるんでしょ!?」


「大丈夫。ぷるんってしたのが跳ねてるだけだから」



子どもたちがざわめく中、月はにこやかに説明を続けた。



「ただし、お肉にたどり着くには――ぜんぶの階層をクリアしないとダメですよ?」


「まずは野菜、そして穀物、加工品、魚と果物。そのあとに、ようやくお肉です」


「……やっぱりお姉ちゃん、容赦ないのだ……」

帝がこっそりつぶやいた。


「でも、これって……運動にもなるし、自立支援にもなるかもね」

カノンが肩をすくめる。



笑顔のまま、月はさらりと宣言した。



「狩りと採集を学べば、みんな強くなるんです。ねっ♪」


 

こうして、終焉の茶会ギルド裏の『食育型ダンジョン』が、本格的に運用を開始したのだった。

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