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終焉の茶会は、今日も平和に大惨事  作者: ポン吉
第3章『終焉の茶会、日々是再建のこと』

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06. まずは、住むところから

ギルドの宿泊室で、月はふと目を覚ました。

隣では帝が寝息を立てており、カノンは壁にもたれたまま本を読んでいる。

朝の光が差し込む中、月は小さく伸びをした。



「……あの子たち、元気にしてるかな」



数日前に訪れた教会で出会った孤児たちのことが、胸に残っていた。

笑顔の奥にある空腹や不安、そして小さな手の温もり。



「まだまだ、やるべきことは多いな」



月はそうつぶやき、ギルドの外へ出る。


復興途中の街並み。

崩れた壁のそばでは職人が作業を続け、子どもたちの笑い声が遠くで響く。

少しずつ立ち直る気配のなかで、月は希望と責任の重みを感じていた。


 


その日の昼過ぎ、仮設の食堂スペースで。

帝がふと問いかける。



「お姉ちゃん、ところで……俺たちは、いつまでギルドの宿スペースで寝泊まりすることになるのだ?」



カノンも身体を軽く伸ばしながら続ける。



「正直、布団がちょっと固い」



その言葉に、月はぴたりと硬直した。



「……………あ……」


「……しまった。わたしたちの家、まだだった……」


 


そのままマスターのもとへ相談に向かうと、あっけらかんとした返事が返ってきた。



「この街の土地? 自由だよ。好きな場所に建てていいよ」



帝が小声で呟く。



「それで成り立っているのが不思議なのだ……」


 


月は場所を探し、ギルドから少し離れた静かな丘のふもとにある空き地を選んだ。



「この辺、眺めもいいし、音も静かだね」

カノンが言い、帝も満足げにうなずく。


 


そこからの三日間、月は魔力と技術を駆使して作業を続けた。

現地で調達した素材に魔法強化処理を施し、完成させたのは――庭付きの平屋だった。



「予想以上の完成度なのだ」

帝が感嘆し、


「姉さん、やっぱりすごいよ」

カノンも素直に賞賛する。


月は小さく微笑んだ。



「うん、これでようやく……拠点ができたね」

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