10.勝利の翌日に待つもの
「おはようございま〜す!」
「おはようございます!」
夏休みが明け、校門には元気な声が響き渡った。
笑顔で登校してくる生徒たちを、先生たちが「おはよう」と穏やかに迎える。
緊張と期待が入り混じった、久しぶりの学校生活の始まりだ。
*
「さて、学校生活スタートですね」
放送室に立つ月は、軽やかな声でマイクに向かった。
「皆さん、夏休みは楽しく過ごしましたか? 宿題もちゃんとできましたか?
さて、今日から授業スタートします。――と、言うわけで。夏休み明け一発目の授業ですが……今からテストをします」
ピンポンパンポーン。
軽快なチャイムが校内に流れる。
「……………………え???」
生徒たちが凍り付いた。
「毎年やってるだろ」
先生たちは淡々と返す。
「うわあああああああ!!!! 鬼ーーー!!! 悪魔ーーー!!! 蛮族ーーー!!!」
廊下や教室に、絶叫がこだました。
*
「あーーーん(泣) 帝、カンニングさせて!」
「させないのだ!」
机に突っ伏すカノンの悲鳴に、帝が冷たく突っぱねる。
「終わった……」
ゴローが天を仰いでぼやいた。
「何年学生してるんだよ」
クロマが呆れたように突っ込む。
「分かってたでしょ」
万里が肩をすくめる。
「バカだ」
ラミリスが冷静に切り捨てた。
悲鳴と嘆き、そして諦めと皮肉が入り乱れる中、夏休み明け恒例の“試練”が、今年も幕を開けた。
次章
第18章 『終焉の茶会、魂に刻まれた力』は、
11月17日(月) 20時より投稿を開始します。
どうぞ、お楽しみに。




