06.先生たちの武器事情
「あと一週間で夏休み終わりか」
柊がぽつりとつぶやいた。
「長いような短いような……今年も怒涛の夏休みだったにゃ」
ミミが机に突っ伏しながら返す。
「我輩としては、もう少しゆったり過ごしたい」
ラットンが肩を落とす。
「うふふ。夏休み明けの魔力石武器の授業、楽しみですね〜」
セレナは穏やかに微笑む。
「どうせどの生徒もろくに扱えないだろうからな」
夜行が腕を組み、冷静に言い放った。
「ま、最初はそんなもんじゃない?」
鬼影が軽口をたたく。
「最初から問題なく扱えるやつがいたら、そいつは天才だな」
樹も頷く。
「生徒たちには、私たちの武器を教えるって約束もしてますね」
月が穏やかに告げると、橘が首をかしげた。
「そういえば……皆さんの武器ってなんですか?」
「見たことないな」
柊も興味深そうに続ける。
「月先生は鞭じゃろ?」
神崎が当然のように言った。
「あーー………はい。まあ、一応」
月は曖昧に笑う。
「違うのか?」
夜行が目を細める。
「月の武器って…………確か……」
樹が言いかけた瞬間。
「樹さん?? 何を言うつもりですか?」
月がにっこりと笑顔を向けた。
「………まあ、月は可愛いってこったな」
樹は苦笑いで誤魔化す。
「まったく………」
月は呆れたように小さくため息をついた。
「????」
先生たちの頭には疑問符が浮かぶばかりだった。
(……気に食わない)
夜行は黙ったまま、内心でだけ不満を抱え込んでいた。




