05.嫌な予感しかしない夏休み
「宿題は終わったのに、ギルドの依頼がなくならないんだよ」
クロマが机に突っ伏す。
「夏休みなのに休みがない」
万里がため息をつく。
「ボクたち学生なのに」
ラミリスまでぼやいた。
「さあ、愚痴っても依頼は減らないよ。千年ほど眠らせてる依頼もあるから行ってきて!」
マスターがにっこりと笑う。
「くっそーーーーー!!!!」
三人は同時に叫んだ。
「俺も夏休みの宿題終わったら依頼するから!」
ゴローが胸を張る。
「いつ終わるの?」
三人の視線が集中する。
「一か月後!」
「夏休み終わってんじゃん!!」
「ほらほら、早く行った逝った!」
マスターの軽口が追い打ちをかける。
「九曜たち、早く帰ってきてほしいんだよ!」
クロマが悔しそうに叫ぶ。
「長期の依頼って言うけど、あの人たちの実力ならもう終わってるでしょ!」
万里が腕を組んで不満を漏らす。
「ぜってー観光かなんかしてるんだぞ」
ラミリスが鼻を鳴らした。
――その一方で。
(早く……魔術師を増やさなければ。そのために、生徒たちを立派な魔術師に育てなければ)
月は心の中でそう呟いた。
(あ、先生たちを魔術師登録しようかな)
「!?!!!?! 物凄く嫌な予感がする!!」
職員室の先生たちに戦慄が走った。




