157/162
04.男子会議は即終了
「魔力石を死ぬ気で取りに行ったというのに……なんで夏休みの宿題があるんだよ」
部屋の主のぼやきに、他の仲間たちも大きくうなずいた。
「自由研究どうする?」
「何でもいいんだろ?」
「共同作業でもいいって言うしな」
机を囲んだ数人の男子が、真剣とも不真面目とも言えない会議を続ける。
「…………………………聖女先生の観察日記とかは?」
一瞬の沈黙のあと――。
「ああ!! ありだな」
全員の声が揃った。
その時、突然電話のベルが鳴り響く。
「……あんたに電話よ。カノンくんって子からだって〜」
母の声に、部屋が一気に凍りついた。
「え???」
恐る恐る受話器を取る。
他の仲間たちは息を殺し、受話器に群がった。
『あのことなんだけどさ……バラされたくないよね?』
電話口から聞こえたカノンの声に、全員の顔色が変わる。
「……みんな。違うことやろう」
「おう!」
男子会議は、それ以上の議論もなく即終了した。




