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終焉の茶会は、今日も平和に大惨事  作者: ポン吉
第17章 『終焉の茶会、繰り返す夏休み』

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02.ピリッと痺れる聖女の味

「毒って?? え?! 毒物食べるの?」

柊が青ざめた顔で声をあげた。


「あ〜……アルコール度数のめっちゃ高いお酒に浸けて、何十年とかけて毒抜きするんですよ。原理は知りませんけど……」

月はさらりと言いながら、机の上に瓶を並べていく。

「はい。そしてですね……毒抜きされたものがこちらです。左から二十年、五十年、百年ものでございます」


「…………………」

教師陣は声を失い、ただ唖然とする。


夜行がじっと月を見つめた。

「…………………何をした」


「えっと……まあ……その、チョチョイっと時間を弄りまして……」


「月…………」

低い声で名前を呼ばれ、月はにこっと笑ってごまかした。


「………………はい、夜行先生。あーんしてください!」


月は笑顔のまま、卵のひと欠片を差し出す。

夜行は無言でそれを食べた。


「えー。月ちゃん、俺にもあ〜んして〜」

鬼影がちゃらついた声を上げる。


「はいはい。あーん」

月に差し出された一口を、鬼影は嬉しそうに受け取った。

「ん〜〜美味だねぇ」


「お、珍しいもん食ってんじゃん」

そこに樹が顔を出す。


「え?! 樹先生、知ってるんですか!!」

橘が驚いて声を上げた。


「まあ、なかなか手に入らない代物だから数える程度だけどな。昔、リエちゃんやシキと食べたことあるわ。

百年も待ってらんねーって言って、シキがチョチョイっと時間を……」


「魔導士にとって時間を操るのはマストなのか!!」

柊が思わず突っ込む。


「?????」

樹は首をかしげるばかりだった。


ラットンが瓶を眺めながら尋ねる。

「月先生……この、十年というのは?」


「あ……それは……」

月がしどろもどろになった瞬間、樹が割り込む。

「その卵は最低でも二十年は漬けないと毒抜けねーぞ?」


「…………」

先生たちの視線が一斉に月へと向けられる。


「………その……食べた時にピリッと痺れる感じが…………」


「没収です!!」


「そんな!!! ひどい!!」

月が机にしがみついて抗議するも、容赦なく瓶は取り上げられた。


その様子を眺めていたエルフたちが、呆れたように吐き捨てる。

「毒を喰らう聖女なんて……聖教会が知ったら呆れるだろうな」

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