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終焉の茶会は、今日も平和に大惨事  作者: ポン吉
第17章 『終焉の茶会、繰り返す夏休み』

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01.それは、わたしですから

夏休みの職員室。

生徒たちが戻ってきて、ようやく日常の空気が戻りつつあるはずの場所に、ひょいと月が顔を出した。


「生徒たちの魔力石を加工してもらうために、鍛冶職人捕まえてきました」


「え?! もう?! 生徒たちが戻ってきてから、まだ一週間しか経ってませんよ!!」


先生たちが一斉に驚きの声をあげる。

そんな反応などお構いなしに、月はにっこりと笑って言った。


「わたしですから!」


「…………また、何か無茶したのか?」

夜行が眉をひそめる。


「いいえ? ん~~……わたしですから」


「…………………」

夜行は深くため息をつき、他の先生たちも顔を見合わせた。


「それは……うん。そう」

結局、誰も否定できなかった。


「鍛冶職人の方に、めっちゃ舌打ちされましたけどね〜」

月が楽しそうに笑うと、ラットンが肩をすくめる。


「まあ……一人しかいないから仕方ないことではあるが……」


セレナがふと思い出したように口を開いた。

「それよりも……月先生? カノン君が連れて帰ってきた神亀の具合は……?」


「……………………あーーー……うん。あれねぇ……。なんとか一命取り留めましたよ」

遠い目をする月に、セレナは首をかしげる。


「????」


「今は、カノンがお世話してます。帝にいろいろと教えてもらいながら……」


シルフが腕を組んで首をかしげた。

「あの神亀……いったい何があったんだ?」


月は少し言いにくそうに視線を落とす。

「……うーん……まあ、端的に説明するなら、体内に魔物の卵を産み付けられてて……それに抵抗するために弱ってたみたいです」


「え???」

橘が絶句する。


「たまにいるんですよ。弱い魔物は、強い魔物に殺される時、最後の抵抗として……その魔物に傷をつけながら卵を産み付けて亡くなる。

卵が孵化するその時まで、その魔物の力を吸い続けて、内からじわじわと……ね」


「うっ……」

柊が顔をしかめ、思わず胃を押さえる。


しかし月は、けろりとした笑顔で付け加えた。

「でも……その卵の。美味なんですよねぇ〜。毒あるけど」


月の言葉に職員室の時が止まった。

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