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終焉の茶会は、今日も平和に大惨事  作者: ポン吉
第16章『終焉の茶会、三十通りの挑戦状』

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07.燃え尽きるまで

──灼熱。


魔力石の空間の中、男子生徒は全力で叫んだ。


「はああああ!!!! これが! 俺の全力だぁぁ!!!」


握った両拳の中から、巨大な火球が生まれる。

全身の魔力を炎に変え、最後の一撃として魔物に向かって放った。


轟音と爆風。

光と熱が空間を満たし──


やがて、静寂が訪れる。


炎が消えた先に立つ魔物は、確かにその場で立ち尽くしていた。

だが──


「にや……っ」


笑った。


生徒は膝を突く。

両手もつけず、顔を上げることさえままならない。


「…………はあ……はあ……ぜん……ぜんじゃん………。魔力切れ……………もう無理……指一本動かねぇ………」


その時だった。


「よくやった。お前の全力の力、見せてもらった。」


低く、重く、どこか満ち足りたような声が響く。


「へ?」


顔を上げると、魔物はもうそこにはいなかった。

代わりに、目の前の地面に──


「ほら、お前の石だ」


転がっていたのは、淡く光る魔力石。


思わず手を伸ばし、握った瞬間。


(……えっ)


空っぽだった身体に、魔力が戻ってくる感覚。

芯から満たされていく。


「さあ、帰ってお前の魂を形にしてもらえ!」


「…………あざっす!!」


震える足に力を込め、ふらつきながらも立ち上がる。


「マジで……ギリギリだった……」


苦笑いを浮かべながら、少年はゆっくりと帰還の扉へと歩き出した。



---


夜の学園。

校庭に設置された扉が、静かに開いた。


「……戻ってきた……」


その声に、最初に反応したのはカグラだった。


「よく戻ってきたわね」


鬼影が近づいてくる。


「偉い偉い」


ぽんぽんと、生徒の頭を撫でた。


「おかえりなさい。疲れたでしょう??」


月が歩み寄る。


「体力回復の香草スープを作ってあるから、これを飲んで落ち着いたら家に帰りなさい」


「はい!!!」


元気に応えるその声に、安心した表情が浮かぶ。


「あ、石は預かります」


「はい!!」


生徒が差し出した石を受け取りながら、月は笑みを見せた。


その様子を見ていたエルフの一人が、空を見上げながら小さく呟く。


(あと……2人……か……気が休まらないな)

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