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終焉の茶会は、今日も平和に大惨事  作者: ポン吉
第16章『終焉の茶会、三十通りの挑戦状』

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06.帰還、そして次の約束

学園の校庭に、今日も扉が開いた。

魔力石の空間から、生徒たちが次々と帰還してくる。


土を踏みしめる足取りは、どの顔にも疲労が見える。

けれど、その表情はみな晴れやかだった。


教員たちは、生徒たちの姿を見つけると駆け寄り、ひとりひとりを迎え抱きしめる。


「よく帰ってきた!」


交わされる言葉に、思わず涙ぐむ生徒の姿もあった。


月は、教員たちの背後でひとりずつから魔力石を受け取っていく。


「ふふ……立派な石ですね。」


掌に受けた石は、それぞれが持ち主の個性をそのまま映し出すように、微かに輝いていた。


帰還した生徒たちは次第に輪になり、笑い声を交わし始める。

けれど、全員が揃ったわけではない。


残る生徒は、あと八人。

扉が閉じるまで、残された時間はあと二日だった。


「もう、5日たってたんですね……。まだ3日やそこらだと思ってました」


ぽつりと呟いた生徒に、シルフが軽く笑って返す。


「授業で言ったろ? あの空間は時間の流れ含めて特殊だって」


「はい………。あ、先生たちも魔力石武器あるんですよね? どんなのですか??」


好奇心に満ちた目が、一斉に教員たちに向けられる。


「見たいみたーい!!」


「夏休み明け、お前たちの武器が完成した時に見せてやるよ」


シルフの言葉に、周囲がぱっと明るくなる。


「はーい。約束だよ!」


そうして、歓談の時間がひと段落すると、月が優しく声をかけた。


「さあ、保護者が待ってますよ。今日はもうお家に帰りなさい。」


「私は??」


不安げな声を上げたのは、どこかふくよかな少女──コハルだった。


月は一瞬だけ言葉を探し、それから穏やかに微笑む。


「コハルさんは……あともう少しですね」


「……あ~~ん(泣)」


情け容赦ない宣告に、コハルはその場に泣き崩れる。


「え?! あれコハルなの!!? 気にはなってたけど………。え??! あのほっそいコハル??? え? なにがあったの?!」


生徒たちの間から驚きと困惑の声が上がる。


そんな中、グレンが無言でコハルを抱え上げ、体育館の方へと歩き出す。

その様子を、皆は遠巻きに見送ることしかできなかった。


「まあ……人生色々だよ」


ラットンがポツリと呟いたその言葉に、誰も返すことはなかった。

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