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終焉の茶会は、今日も平和に大惨事  作者: ポン吉
第16章『終焉の茶会、三十通りの挑戦状』

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03.点を取れ、札を取れ

カラオケルームを模した空間の中で、一人の女子生徒がマイクを握っていた。

その表情は真剣そのもの。

息を整え、目の前のモニターを祈るように見つめる。


──ピロン、と電子音。


表示されたのは「95.6点」。


「あーーーー!!! くそ!! 自信あったのに!! これなら100点行けると思ったのに!!」


壁に頭をぶつける勢いで悔しさをあらわにする。


この生徒に与えられた試練は──カラオケで100点を取ること。

一見すれば単純明快。

初めは簡単に突破できると思っていた。


だが現実は甘くない。


「ていうか、超精密採点ってなんだよ! 音程のズレならまだしも、歌い出しのタイミングやハモリ部分を歌わせてそれすら測られるってなんなの?!」


表示される評価欄には「音程・リズム・表現力・抑揚・発声バランス・歌い出し正確度」などなど、見るだけでゲンナリする項目が並ぶ。


「……………次っ!!……絶対に手に入れてやる!!」


叫びながら、生徒は次の曲を選び始めた。



---


同じ頃──別の試練空間。


「はい!!」


軽快な声と共に、女子生徒の手が素早く伸びた。

飛ぶように跳ねる手。宙を切る勢いで札をさらう。


「っしゃあ! ゲット!」


試練の内容は、百人一首。

相手よりも早く、より多くの札を取ること。


最初はまったくの初心者だった。

「百人一首の“ひ”の字も知らなかった」というのは、まさに本人の弁。


だが、試練を繰り返すうちに自然と耳が慣れ、目が慣れ、指が動くようになった。


今では──


下の句が読まれる前、ほんの最初の一音で札を抜けるようにまでなった。


「このまま勝ちに行ってやる!!」


その目は真っすぐに、次の勝利を見据えていた。

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