07.空から落ちてきた贈り物
「みっかどーーーー!!! あと少しで着くからキャッチしないと怒るからね〜〜〜!!」
空から響く声に、帝は反射的に空を見上げた。
「出来るかアアア!! スピードを考えろ!! いま、そもそもなんで飛び降りてるのだあああ!!!」
風を切りながら、ものすごい勢いでカノンが落ちてくる。
足をバタつかせながらも、なぜか満面の笑みだ。
「もーーワガママだなぁ〜」
「なぜオレが悪い風なのだ!!」
「はいはい、わかったわかった。いいから黙ってキャッチして? ちゃんと緩めるから……スピード」
「のだぁぁぁーーーーーーーー!!!」
ぶうん、と風をまとった光が帝の前に降りてくる。
落下速度が一気に緩まり、ふわりと降り立つ直前でぴたりと制御されていた。
(相っ変わらずのコントロール力なのだ。ウザ)
そう毒づきながらも、帝は両手を広げる。
それを見たカノンは──にっ、と笑った。
(ま、帝が僕をキャッチするためにオロオロ歩くなんて思ってないし〜。
帝のあそこにめがけて僕が落ちたほうが楽〜♪)
軌道を軽く調整しながら、カノンはふわりと帝の腕の中へと飛び込んでくる。
「ただいまー」
「……はぁ……」
帝はため息をつきながらも、しっかりとその体を受け止めた。
すると、カノンはにこりと笑って、何かを取り出す。
「はい。これ、帝の石だよ」
掌に乗ったのは、淡く光る小さな魔力石。
「…………なぜ?」
「ん~~……帝じゃ手に入らないってこの空間が思ったんじゃな〜い?」
「…………………」
しばしの沈黙のあと、帝は無言で──
「ペイッ」
カノンを投げた。
「ひどっ!? 投げた!? 帝、今、僕のこと投げた!?」
「ふん。……話すのだ。……何があったのか」
「わかったよ〜〜……ちゃんと説明するから……」
ふんわりと地面に着地したカノンが、笑いながら帝の隣へと歩み寄る。
試練は、まだ続く。
けれど今だけは──
空から落ちてきた贈り物に、少しだけ気が緩んだ。




