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終焉の茶会は、今日も平和に大惨事  作者: ポン吉
第15章『終焉の茶会、双つの魂と試練の扉』

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03.この試練、無理じゃね?

──静寂だった森が、静かに息づき始める。


生徒たちは、それぞれの“魂に導かれる道”をたどって歩き出した。


「え………。そっちなの??」


途中まで一緒に歩いていた二人組の生徒の一人が、突然進路を変えた相手を見て呆然と立ち尽くす。


「いや、いやいやいや! 分かれ道あったっけ!? そっち崖だよ!?」


「……分かっちゃったんだ。行ってくる!」


「うそでしょ!? どんだけ感覚鋭いの!?」


その“崖”の上では、別の生徒が両手両足を必死に使って岩を登っていた。


「は、はあああっ……! 落ちたら……死ぬ!! 普通に死ぬ!!」


足元を見てしまい、さらに恐怖が増す。


「無理無理無理!! 命綱とか無いの!?」


それでも、彼の手は止まらなかった。


一方で──森の奥、一面に広がる巨大な花畑。


「………………え?」


小柄な少女が、そこに立ち尽くしていた。


「うわ~~~ん!! ここにあるのは分かるのに!! どれえええええええ!!!」


どこを見ても同じような花、同じような色、同じような香り。


「これ……運ゲーじゃん!!」


花びらが宙を舞う中で、絶望と根気の勝負が続く。


──さらに別の場所。


「100点連続10回って……嘘やろ……」


広い空間の中で、筆記試験のような紙とペンを手に、少年が絶望していた。


「こちとら最高点60やぞ……平均40やぞ……」


目の前の問題用紙が無慈悲にまた一枚、ぴらりと降りてくる。


「ていうか、これって何科目あるん!?」


──そして、森の奥深く。


「ぐるるるるるるるる……」


獣の唸り声が響いた。


「うあああああああ!!?!? あの角!! あの角が魔力石だということは分かるのにぃぃぃ!!」


そう叫ぶ少年の目には、見慣れぬ巨大な魔物の姿が映っていた。


「行けない……でも欲しい……でも行けない……いやだあああああ!!」


声が森にこだまする。魔物は首を傾げた。


──また、ある少女は洞窟の入り口で立ち止まっていた。


「ぴえん……暗いの無理……マジで無理……」


中からは冷たい風が吹き出している。


「こんなところにあるとか誰得なの……! 無理だってば……!」


けれど、その瞳は泣きそうでも、奥に光る決意が宿っていた。


それぞれの場所に、それぞれの“試練”。


苦しさと恐怖と困難と、でもそこには、ほんの少しの興奮と希望。


──それでも。


「負けない……!」

「絶対に、見つけるんだから!」

「僕にだって、やれる……!」


それぞれの生徒たちは、己の力と信じる心だけを頼りに、ひとつひとつ──目の前の壁に挑んでいく。


魔力石は、魂に応える形でそこにある。

ただし、“手に入れる資格”を持つ者だけが、それを掴むことができる。


この試練は、命を削る試練。

だが、同時に“生きている”ことを証明する、戦いでもあった。

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