表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終焉の茶会は、今日も平和に大惨事  作者: ポン吉
第14章『終焉の茶会、魔力の予鈴が鳴る』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

129/162

07.武器と覚悟と、命の証明

初夏の教室には、淡い日差しと共に緊張感が漂っていた。

黒板の前に立つシルフは、昨日に引き続き「魔力石」についての授業を進めていた。


「昨日話した通り、魔力石を取得するだけでは不十分だ。今日はその後について話す」


そう言ってチョークを走らせるシルフの横で、万里が手を挙げた。


「いい? 魔力石を見つけて、武器に加工して終わりじゃないの。ちゃんと“使える”ようになって初めて、一人前の魔術師として認められるのよ」


万里の補足に、生徒たちは一斉にノートを取る。

シルフは軽く頷いて続けた。


「その通り。魔力石武器の扱いが、高等部に進学するための条件だ」

「中等部4年になるまでに、しっかりと使えるようになっておけ。じゃないと、進級できないからな〜」


「え!? 嘘でしょ!? そんなの聞いてない!」


新入生たちが悲鳴を上げる。


その横で、留年組がゆるく手を挙げてのんびりと口を開いた。


「知ってる〜、でもまだ扱えな〜い」


「魔力コントロールもできないくせに!? ずるい!!」


怒りの声に、留年生が冷静なトーンで返す。


「プールサイドに沈めるぞ?」


教室はざわつき、シルフが手を叩いて制した。


「静かに。──いいか、これから話すことは冗談じゃない」


シルフは表情を引き締め、生徒たちを見渡した。


「この“魔力石の取得実習”だが、冗談抜きで“命を落とす危険”がある」

「去年、中等部2年に進級した生徒も、留年組も、全員無事に戻ってこれた。それは本当に幸運だっただけだ」

「だが、今年も同じとは限らない。それだけは覚悟しておけ」


空気が一変し、誰もがごくりと息を呑む。


「だからこの実習には“保護者の許可証”が必要だ」

「いいか? 命を落とすかもしれない。そのリスクを保護者に理解してもらい、署名をもらってこい」


「えぇぇぇえええええ!?!?!?」


驚愕の声が教室に響く。


「この許可証がない者は、実習に参加できない」

「提出期限は1週間後。忘れずに」


シルフはそう締めくくると、黒板に大きくこう書いた。


──命を守る覚悟──


チャイムが鳴り、授業は静かに終わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ