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終焉の茶会は、今日も平和に大惨事  作者: ポン吉
第13章『終焉の茶会、魔王は微笑む』

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08.中等部、強制転入決定!

ギルド《終焉の茶会》──その応接室の空気は、どこか重苦しいものが漂っていた。


「……で、つまり?」


テーブルの向こうから、万里が目を細めて尋ねる。


「キミたち三人──中等部に、明日から強制転入ねっ☆」


マスターことクロウが、にっこりと宣言した。


「………………」


応接室に、静寂が落ちた。


「言い訳の……しようがないんだよ……」


クロマがため息混じりに呟く。視線はテーブルの上、映し出された《証拠映像》に釘付けだ。

そこには、魔力暴発によって派手に吹き飛んだ机や壁、天井が映っていた。


「いや、でもギルドでのんびり過ごしてただけだし!……なあ、ラミリス!」


万里が必死に視線を送るが、ラミリスはぐったりとソファに沈み込み、ぼそっと答えた。


「毎日が休日だったのに……まさか……義務教育を食らうなんて……」


クロウは手を叩いて笑った。


「いや〜、でもさすがに放っておけないでしょ。特にクロマ、最後のやつなんて照準逸れてたら厨房ごと吹き飛ばしてたよ?」


「………………あれは、手元がすべっただけで……」


「それを“コントロールができてない”って言うんだよ〜?」


言葉の合間に、クロウは手元の魔術端末を操作する。

ピピッと軽快な音とともに、証拠映像のリストが次々と再生された。


「見て見て、これ万里のやつ。魔力注入しすぎて椅子ごと爆発!」


「だから! あれは椅子が悪かっただけで!」


「で、ラミリスの……これは何? 《魔力発酵》?」


「いやなんで!? 魔力でパン発酵させただけなのに……厨房中に膨張したパン生地が……!」


三人の言い訳もむなしく、クロウは満面の笑みで言い切った。


「安心して! 出席登録はもう済ませたから!」


「「「勝手にいいいい!!!」」」


万里が頭を抱え、クロマは机に突っ伏し、ラミリスは絶望のあまりひとりで遠い空を見上げた。


「……月のバトルの方が、まだマシだったかも……」


誰ともなく呟いたその一言に、残る二人もうなずいた。


「「「ああ……」」」


応接室の窓から見える空は、今日も快晴だった。

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