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終焉の茶会は、今日も平和に大惨事  作者: ポン吉
第13章『終焉の茶会、魔王は微笑む』

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07.教師会議、責任の所在と全力の反省会

焦げた闘技場の余韻を引きずりながら、教師たちは職員室へと戻っていた。

扉が閉まると、空気が一変する。


「……誰も止めなかったな」


柊がソファに背を預け、ぽつりと呟いた。


「止められなかった、が正しいかと」


シルフが淡々と返す。


「無理だよ。あの子、途中から神様じゃなくて魔王だったってば」


鬼影が肩をすくめ、口元に薄い笑みを浮かべる。


「……それでも、私たちが何もしなかった事実は変わりません」


橘が腕を組み、厳しい視線を落とした。理知的な声音に冷えた鋭さが混じる。


「まさか……あれが“セレス”とやら、だったとはな」


夜行が低く呟き、椅子の背に深くもたれかかる。

「俺たちは……彼女の中に、最初からあれがいたってのに、気づかなかった」


「ずっと、見てた……なんて……こわいにゃ……」


ミミが尻尾を揺らしながら、机に顔を伏せて震えるように言った。


「月先生の中っていうなら、隠れてたのも納得だけどさ〜……」


ラットンが小さく息を吐く。


「……彼女を、守れなかった。それが今の私たちの立場……ということですね」


セレナが静かに言うと、一同は再び言葉を失う。


その重苦しい空気を破るように、ドアが静かに開いた。


「おつかれさまでーす。……あれ? なんか会議してました?」


月がふわりとした笑顔で顔を覗かせる。

どこか抜けたような声とともに、事務仕事帰りの姿で現れた。


「ゆ、月……」


柊が立ち上がりかけて口をつぐむ。


「……ああ、闘技場の件ですね? 前半はなんとなく覚えてるんですけど……途中からちょっと、記憶が曖昧で……」


月が小首をかしげて言う。どこまで自覚しているのかは定かではない。


その一言で、教師たちは一斉に頭を下げた。


「どうかご慈悲をーーーー!!!」


土下座の波が広がる。床に頭を擦りつける勢いで、全員が頭を垂れる。


「えっ……え? なんですかこれ? え? わたし、何かしましたっけ?」


戸惑う月を見送りながら、職員室の空気は一層重く沈んだ。


「……俺たち、ほんと修行が足りねぇな」


柊が静かに吐き出した言葉に、誰も反論できなかった。

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