表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終焉の茶会は、今日も平和に大惨事  作者: ポン吉
第13章『終焉の茶会、魔王は微笑む』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/162

05.蛮族聖女、躍動す

陽光が燦々と降り注ぐ昼下がり、エルミナ学園の闘技場。


場内には緊張感が満ちていた。

観覧席には初等部2年〜中等部2年までの在校生が、そして教員席には樹を除く全教員が陣取っていた。


闘技場の中央には月が立っている。

その正面には、新任のエルフ教師3名と、担任を拒否した初等部1年生のうち反抗的な10名が整列していた。


「はじめま〜す」


その一言と共に、戦いが始まった。


――ただし、生徒たちには手加減する。と、宣言はしたものの。


「……え? ちょっ、うわあああ!?」

「ぎゃっ!?」

「せ、先生ぇ!? あああっ!!」


月の銀の鞭が舞い、反抗的な生徒たちを軽々と絡め取っては、


ドゴォン!!

バゴォン!!

ベシィン!!


……次々と闘技場の壁へと丁寧に叩きつけていった。


教員席がざわつく。


「月先生!! 手加減どこ行ったんですか!?」


「いやこれ、ほんとに手加減してます!?!?」


「なんで壁に穴空いてるんだよ……」


そんな悲鳴が飛び交う中、月は壁に突き刺さって動けなくなった生徒たちをチラリと見やる。


「さて……邪魔な存在は、いなくなったので(物理的に)……続きと行きましょか」


にっこり笑って、今度はエルフたちの方へ向き直る。


エルフ側も構える。杖を掲げ、魔力を集中させていく。


高位の精霊魔法がいくつも起動していくなか、月は微動だにしない。


そして――


「いっけ〜〜〜!!」


月の鞭が弧を描き、術式の隙間を縫ってエルフたちへと襲いかかる。


エルフたちも即座に防御展開。

結界が展開されるが、それをもろともせずに鞭がねじ伏せ、地面にめり込ませる。


観覧席、騒然。


「だれかーーーとめてええええ!!」


橘の声が響く。


「まさか……ここまでの実力とは」夜行が呟けば、


「すごいね……月ちゃん」鬼影が感心気味に囁く。


「感心してないで!!」橘がツッコむ。


「止めてください!!」柊が訴える。


「無理」夜行。


「無理だね」鬼影。


「……無理です」セレナ。


「無理っすぅ」シルフ。


「うにゃーーー!!」ミミ。


グレンは静かに立ち上がると、自分の担当する初等部2年生の前に立ちふさがった。


「グレン先生……!」

「先生、かっこいい!」


好感度が急上昇していた。


そんな中、バトルは佳境へ。


月の鞭に対し、エルフたちは三人連携の魔法陣を展開。


「くそ……こうなったら……!」


高位術式が同時発動され、爆発的な魔力が闘技場を走る。


――ズガァンッ!!


月の身体が一瞬ぶれ、頬に一筋の血が流れ落ちる。


観覧席。


「姉さんに傷を……?」カノンの目が見開かれる。


「さすがはエルフなのだ……」帝も真剣な表情に変わる。


「…………??? あれ? 姉さんの雰囲気が……?」


カノンの疑問が、場内に不穏な空気を呼び込む。


月は、血を拭わずにただ静かに笑っていた。

その微笑が、いつもより少しだけ、冷たく見えた――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ