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終焉の茶会は、今日も平和に大惨事  作者: ポン吉
第13章『終焉の茶会、魔王は微笑む』

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04.笑顔の聖女と制圧劇

陽光が高く昇り、春の空気が暖かく包み込む中――


エルミナ学園、体育館横の闘技場。


観覧席には、初等部2年から中等部2年までの在校生と、新入生15名のうち従順な5名が着席していた。

教員席には、樹を除く全教員が揃っている。


そして闘技場の中心には、たった一人。


月が立っていた。


銀の髪が微かに風に揺れ、聖衣の裾が舞う。

だがその表情は、いつもの柔らかい微笑を浮かべたままだ。


「え〜、今年はですね〜……エルフの皆さんもいらっしゃいますので、三分待つのはやめますね〜」


さらりとした口調で、開口一番、月は爆弾を落とした。


「こちらも全力で行きま〜す。……もちろん、手加減無しでね」


にっこり。


観覧席の隅にいたカノンが、ぽつりと呟く。


「帝……今の姉さんの発言、聞いた?」


「聞いたのだ……アイツラ終わったのだ……」


帝は静かに首を横に振る。まるで哀れむような視線を、月の前に立つ新任エルフ教師たちへ向けた。


教員席にも動揺が走る。


「まさかまた、“滅帝惡”を使う気じゃ……!?」


「いや、あれ使ったらまた倒れるでしょ!?」


帝が軽く手を上げ、制止する。


「大丈夫なのだ。滅帝惡はお姉ちゃんの最終技なのだ。今日はたぶん、そこまでは行かないのだ」


「じゃあ何を使うんだよ……」


「銀の鞭、なのだ」


その言葉に、数名の教師が顔色を変える。


「ああ……それか……」


「確かに、あれなら命までは取られないけど……」


「生徒たちには……?」


「たぶん、ちょっと加減するのだ」


「ちょっと?」


「でも、手加減苦手な人だから」


その一言に、観覧席のあちこちで呻き声が上がった。


カノンが立ち上がり、真剣な表情で手を掲げる。


「いちおう、この観覧席に結界張るけど……ビビ入ったらどうしよ……」


「張れ!!」


「お願い!!」


「今すぐ!!」


教師たちの切実な叫びが飛ぶ中、カノンは素早く結界を展開していく。


闘技場では、月がゆったりと片手を上げ、構えを取っていた。


「それでは〜、始めますね〜」


その瞬間、観覧席は全員、無意識に息を呑む。


静寂。


次の瞬間には、全てが動き出す。

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