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終焉の茶会は、今日も平和に大惨事  作者: ポン吉
第12章『終焉の茶会、暴食の魔王と最弱覚醒』

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08.暴食の魔王、覚醒……してました?

静まり返った深夜。

ふわふわとした夢の中、遠くから声が響いてきた。


「……もっと……いっぱい食べようよ……」


しかし、その声に応じる者はいない。

布団にくるまれたカノンは、気持ちよさそうに寝息を立てている。


「すやーーーー」


「え??? いや、起きて? 聞いてる? ねえ?……おーい?」


どこかで誰かが、必死に呼びかけている。

だがその声は、誰にも届かない。

――暴食の魔王の核が、必死にコンタクトを取ろうとしているとは、当の本人すら知らないままだった。


翌朝。

村の周辺に、微かな殺気が漂っていた。


「……魔物の気配がするのだ」


帝が空を仰ぎながら、低く呟く。

そのすぐ隣で、カノンは鼻をひくひくと動かしていた。


「うん。たぶん、こっちのほうからだと思う!」


二人が駆けつけた先では、村の近くに凶暴な魔物が出現していた。

牙を剥き、暴れるその姿に、近くの村人が悲鳴を上げる。


「っ、俺では間に合わぬのだ!」


帝がそう判断した、そのときだった。


「いっけーー!!」


カノンが勢いよく手を突き出す。

その掌から、風が巻き起こり、鋭い刃となって魔物を一閃する。


――ズバァン!


魔物は風の力に吹き飛ばされ、地面を転がったあと、動かなくなった。


「……ま、まさかお前が攻撃魔法を……?!」


帝が目を見開いてカノンを見つめる。

しかし、当の本人は満面の笑みを浮かべていた。


「やった!! 攻撃魔法使えるようになったんだ!! 僕ってば才能あるから!」


その笑顔に、どこか無邪気さと誇らしさが混ざっている。


――暗転。

舞台は、カノンの体内。


「な、なんで!? 暴食の魔王って覚醒したら暴走するって設定だったはずでしょ!? 嘘でしょ!? 暴走しないの!?」


絶叫するのは、カノンの中に取り込まれた“暴食の魔王の核”。


「てかよく見たらこいつ、魔力量めちゃくちゃあるのに、質がへなちょこすぎて全然出力出てないし!! え? ショボ!!」


あまりの理不尽に、核は悲鳴を上げる。


「お願いだから!! 気づいて!! ねえ!!! 誰か気づいてよおおおおおお!!」


その声は誰にも届かず、エコーのように虚しく響き渡っていた。


――カノンは今日も、平和で元気に過ごしている。

次章

第13章『終焉の茶会、魔王は微笑む』は、

9月10日 20時より投稿を開始します。


どうぞ、お楽しみに。

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