第28回『死にかけ令嬢は人形王子の口付けに囚われる』(2026年8~2026年10月開催)反省会
第28回書き出し祭り、お疲れさまでした。
久しぶりに秋らしい涼しさを感じられる、シルバーウィークを挟んでの開催でした。その後雨がずっと続きましたが、お祭りの熱気はずっと伝わってきて楽しかったです。
会場は、初参加した時と同じ第二会場でした。
【回数・会場・番号、タイトル】
28-2-11 死にかけ令嬢は人形王子の口付けに囚われる
【あらすじ】
――子爵令嬢アデレードは、愛しい第二王子パトリックの代わりに毒を飲んで死んだらしい。
婚約式前日に目覚めた彼女を待っていたのは、身覚えのない自分の死の報せ。
彼の毒杯を奪った理由も記憶も曖昧だが、身を挺したわけがない。政略結婚の上、誰にでも冷ややかなはずの、彼の浮気を問い詰める予定だったから。
けれど命を繋ぎ止めたのは、不自然に優しい彼の口付け。
「キスさせてアディ。このままじゃ、君の体は数時間には崩れて消える」
「お断りします。犯人からさっさと解毒剤でも取り上げて、全て清算しましょう?」
雪に閉ざされていた教会。容疑者は若き王太子と妃、隣国に輿入れ予定の妹、未成年の弟。そしてパトリック。
推理はおろか記憶も事情聴取すらままならぬ中彼女は――、
「私を殺した犯人が分かりました。陛下の到着前に、全て明らかにいたしましょう」
犯人を釣り上げるための嘘をついた。
【本文】
別記事にて。
結果は、会場5位、総合18位。
一位票が10票、二位票5、三位票3……合計43ポイント、リアクションを7頂いていました。
ご投票いただいた皆様、ありがとうございます!
……1位票沢山いただいたということは、異世界恋愛自体が(特に「なろう」さんでは)強いジャンルということもあるとは思いますが、その方面が好きな方だったり、ミステリだったり、刺さる方には刺さった……でしょうか。
でしたら狙いはちゃんと達成できたのかなと思います……!
結果次第では、異世界恋愛×ミステリ、しばらく書くのをお休みしておこうかと思っていたのです……。
ちなみに結果発表前に皆様のご感想で感じた、一番の反省点は「分かりにくい」でしょうか。
そう、ここ一年ほどの作品について、テンポや雰囲気優先にしたり、文字数制限であれこれ削ってみたり、感覚に頼ってのあえての省略をしたり……といったことをしたところ、「分からない」というご感想をいただくことが多くなりました。
(しかもわりとわかりやすく書いたつもりのSFの話に、家族複数にさらっと言われたのが結構ショックで……)
今回も感想を拝見すると、要素を詰め込み過ぎたり、そのせいで文字数を割けなかったりと、見せる情報の取捨選択がまだ甘かったのかなと思います。
この辺りの説明との兼ね合い・調整の精度を上げていくことが、今後の課題かなと思っています。
書き出し祭りの参加者の皆さんは、ここがすごく上手なので毎回勉強になります。
■参加した目的:
・フィードバックが欲しい
・他の方の作品を読んで勉強する
・他の方の感想を読んで、自分が抱いた感想との比較。
(・自分の中の好き/苦手、書けそう/無理そう をより自覚してみる)
■今回の大まかな狙い幾つか:
〇ファースト10を書き慣れる(いつもの)
〇タイトル、あらすじを書き慣れる(いつもの)
今回はタイトルとあらすじに、ある種のミスマッチが起こるかもしれないことは想定していました。以下「ジャンルを意識」に書きます。
〇ジャンルを意識(前回から)
ミステリ(謎)×異世界恋愛の組み合わせについては、バランスと濃度を変えつつ主に短編で、今までも書いてきましたが……あまり刺さらなかった印象がありました。
ですので、今回は「異世界恋愛フォーマットに、印象強めのミステリを入れる」というコンセプトにしました。異世界恋愛の読者様に、ミステリをたくさん入れた場合の話は読んでもらえるかな? という実験です。
ただし、ジャンルは(ミステリメインなため)「推理」。
※アルファポリスさんの場合、異世界要素が入った場合は「ミステリー」はカテエラになるため、「恋愛」ジャンルになります。
「小説家になろう」さんで、このタイトルとジャンルが新着欄(もしくは短編の完結欄)に表示されたときを想定しています。
クリックされるか。あらすじを/冒頭を読まれた時にどんな反応になるか……、という点も知りたかったことです。
〇ジャンルとストーリー(メインプロットとサブプロット)
ミステリといえば殺人事件。雰囲気はダークからコメディ的な雰囲気まで色々あるかと思いますが、異世界恋愛で人気な復讐もの……っぽい雰囲気。
復讐ものを書くのは苦手なのですが、謎解きと正当な捌き/司法の場に(公に)引きずり出すような探偵・警察・司法的な役割であればあまり抵抗がなく。
そして異世界恋愛フォーマットなので、勿論恋愛要素も入れたい。
というわけで、「強い女が王子とさよならするため、王子と周囲に復讐するものっぽい……シチュエーションに、(恋愛と)ミステリ的フックを沢山突っ込」んだらどんな反応が頂けるか、という実験的書き出しでした。
普段は自分の好みもあって、メインプロットとサブプロットとして両者は別、かつ影響し合っている話にするのですが、今回はなるべく不可分になるよう自分なりに頑張ってみました。
(ちなみに、最近はライトノベルでは男性向けの方がミステリ強い印象があります。あとはライト文芸の日常もの。キャラ文芸。特に女性向けなら後宮。……それもあって、これでお祭りでいただく評価が駄目そうなら、「異世界恋愛×ミステリ」は挑む実力が不足していたのだと判断し、しばらく書かないでおこうと考えていました。)
*
ミステリの内容的には、自分がミステリを読みたい・ゲームでプレイしたいと思う時に、他ジャンルよりもあらすじ……特に「舞台(初期状態)のセッティングでわくわくした」を重視しているな、と気付いたので、自分が読みたくなりそうなセッティングを目指しました。
フックとして意識したものは、
・犯人は誰でどうやって犯行を行ったかの5W1H。
・二重っぽい密室(雪の教会クローズドサークル、ほぼ出入りがなかった現場の部屋……ここは冒頭では未確定情報ですが)に、二重っぽい時間制限(身体の個人的事情と、国王という社会的事情)。
・王族の身内だけの容疑者4兄妹弟(+王太子妃)。彼らにはどうも王位継承などなどでも不均衡が見え、大切なものも立場も違うようだし、ついでに母親も違うらしい。
要素は、ベン図でくくった時に共通項・対立項が沢山できるように意識しました。
・「浮気」と思われていたヒーローの女性への口付けは、愛なのかそれとも「命を分け与える」行為だったのか。後者だとしたら何故か。
・そしてヒロインはどうして毒を飲んだのか。本当に自分から飲んだのか? だとしたら、どうして本意に反する行動を「してしまった」のか。
・ヒロインを疎んじていたはずのヒーローが、秘術まで使って延命させた真意とは……? 何故態度が変わったのか?
……あたりです。
あとはヒロインの行動・婚約した理由まわりでしょうか。
犯行から解明までの時間と場所に制限があること、殺害手段が既に毒杯であると分かっていることは、考えるべき要素が少ないということでもあります。
推理ものを好んで読まない読者さんにも、話が短そう・分かりやすそう・読み切れそうな分量……といった印象付けに役立っていればいいなと思います。
或いは異世界恋愛として登場人物たちの利害・人間関係に着目するだけでもいいのかな? と思ってもらえれば……というのも、同様です。
〇キャラクター造形
上記を踏まえて「強い主人公」。ただこの強さというのは一面であり、もう一面の柔らかい部分は恋愛っぽい部分と絡めたいなと。
あとは、ただ単に婚約者に上から目線な感じだけにならないよう、ほんのちょっと可愛らしい・意地っ張り・野生味・態度が変わる余地がありそう・故郷を思う(情に厚い)、という片鱗が見せられればいいかな……と思いました。
ちなみに容疑者の兄弟は属性以外の深堀りがほぼ(字数制限と情報過多になるので)できないと思ったので、カジュアル感もあるかな? と、マダミスPCの第一印象的な軽さを目安に描写しています(とはいえ次につながるヒントもあり……)。
この辺りは依頼したご感想でもご指摘頂きましたが、記号的過ぎたかもしれません……。
実際に書き出すことがあれば二つのシーンの分量調整をした方がいいかもしれないです。もしくは5000字までにして描写を追加。
〇構成が苦手なのでもう少し頑張る。
そして、テンプレっぽい分かりやすい冒頭から、独自の(理解に時間がかかりそうな要素のある)世界へとスムーズに移行させられるようになりたい。
場面は二つ。ホットスタートの「分かってないけど謎解きしなければならない状況」、と、時系列戻って……の目覚めた瞬間。
後者はちょっと冗長かもなのですが(文字数を取りますし)、まずヒロインとヒーローの関係性を読者の中で作ってもらうために(恋愛のストーリーラインを見てもらうために)必要だと判断しました。が、繰り返しの情報もあって文章がスマートじゃないような気がしています。
〇文章は前回と違い、もう少しすっきり書く。
ミステリなので、描写含めて情報の出し方に気を遣うこと。
前回は雰囲気のための描写が許されるか? みたいなところもあって長くしたので逆に短めにしたい。描写と知識に頼る傾向があるのでそこの弱点も意識しながら。
結局(予想通り)入れたい情報で文字数がぎゅうぎゅうになり、文章と描写は必要そうな場所以外は普段より大分シンプルにしました。ただ削ぎすぎると雰囲気が減ってしまうと思い(女性向けでなくなる、小説より推理パズルのようになる)、そこも気にしました。
いただいた感想では、文章が分かりにくかったり描写が不自然・足りないところが多かったようなので、修正が必要です。
上にも書きましたが、入れる情報を減らすか、第一話のシーンを分けるか……細かい調整の精度を上げたいです。
■実際、タイあらのギャップと、本文の狙いはどうだったか?
・タイトル、女性向け恋愛と感じられた方が多かった気がします。
あらすじまで読むとミステリーだと分かりますが、このギャップで悪印象な「騙された」まではいかなかったような気がしますがどうでしょう……?
(とはいえ書き出し祭りの読者さんは、祭りということでとてもしっかり読んでくれますし、おそらく普段読まれているジャンルが幅広く、優しいです)
■本原稿の行方
・想定しているプロットでは、後半の展開について、別に書いている話の……普段のノリで書いた話の投稿サイトでの反応を見るに、おそらく好まれないのでは?(期待してもらった展開と違うのでは?) という予感がしています……。
この辺のギャップを埋められるのか、最初からヒロイン・ヒーローの性格を変えていくか、はここずっと頭を悩ませている課題でもあります(下記に絡みます)。
・ある程度構成を考えているのですが、このまま何とかWebっぽい引きを毎話ごとに作り続けた上でコンテスト向けにするか、普段通りの作り方で公募向けにするか……。
前者の場合、上記の展開のミスマッチが起こるかなと……私の筆力でどうにか巻き込んでいけるかと言えば(直近の投稿作への反応を見るに)難しいのでは? とも思います。
何にせよ、ご感想でいただいた「ハラハラ感」の仕掛けを考え、引きをこまめにつくるのはしたいと思います。
・今回の結果、そして応援を頂いたため、連載したいと思います。難しいと思いますがチャレンジです。その頃には平安風ミステリも書けていると思いますので(きっとたぶん)、少しは経験値もアップしていそうですし……。
・当初、連載した場合の想定サイズは3万文字程度でした。
ただ今の環境で数万字の推理は、中編コンテストがない限り(そして求められるものに合致しない限り)送り先がなかなかないかなと……。
長編化(10万文字~)の場合には今回の事件解決の前編、「事後処理」で後編といった二本立てになるかも、と思っています。
■次回への課題
・今までの課題を踏まえつつ、新しい課題を設定したいです。
次回の29回は、年末年始は忙しめになるので参加できるかな? というところです(そしてここ数年、この時期熱を出してる気もします!)。
次々回の30回は、記念回でもあり、何か企画とかあるかも……? で、是非参加したいです。
・書き出し祭りの会場で、ご感想いただきありがとうございました。




