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第24回『凍土図書館の蒐集日記(ヴンダーカンマー)』(2025年4月~5月開催)反省会

 第24回書き出し祭りに提出した「書き出し」は、『凍土図書館の蒐集日記(ヴンダーカンマー)』でした。


 全会場順位は63位でした。

 7名もの方に票を入れて頂いている……。一票でも入ったらいいなあ、でもゼロかもなぁと思っていたのでとっても嬉しいです。

 票を入れてくださった方、そしてお読み頂いた方、大変ありがとうございました。


 そして、この書き出しに感想をくださった皆様、本当にありがとうございました。


 また、感想を書かせてくださった皆様、ありがとうございました。

 私もタイトル・あらすじや、本文の全感想(参加会場以外)を書いて勉強させていただきました。

 自分のことは棚に上げての感想で、「こんなのしか書けないのに偉そうに」と思われた方もいらっしゃるのではないかと思います。

 また、無遠慮・無理解、読み解けていないところもあったかと思います。

 仰っていただければ削除などいたします(記事に直接コメントでも、プロフィールのXアカウントにリプライ頂いたりでも、DMを開放いたします)。

 また単に書いただけの発見だけでなく、他の方が書かれた感想も拝見し、読み取り方も学ばせていただきました。


 書き出し祭りで得られた学びや反省点、沢山ありましたので、次回も参加したいですし、今後の話作りに生かしたいと思います。





【回数・会場・番号、タイトル】

24-2-6 凍土図書館の蒐集日記(ヴンダーカンマー)


【あらすじ】

全人類に豊かさを――国際同盟の計画が破綻して数年。

無節操な開発と資源争いに地上が荒廃しつつある現状に背中を押され、科学は遂に人類の月への移住、いや逃亡を果たしつつあった。

しかし計画は地球外生命体の侵攻により頓挫。人類を菓子に変える兵器を持つ彼らに、瞬く間に劣勢に追い込まれる。

日本政府は、各自治体による籠城戦及び敵に渡らぬよう記録の破棄を命じた。


ある日、国軍の通称・焚書部隊員クズハラは、任務で命令無視の図書館を接収するべく極地の通称・凍土図書館を訪れる。

しかし返り討ちにあい囚われ、知る物語の提出を強要されてしまう。

「君もここの素晴らしいコレクションの一部になるんだよ」

図書館の住民は様子がおかしい女性司書ユズリハと、喋る白クマ、ペンギン、ホッキョクウサギたち。

蒐集されていたのはあらゆる生物の「だいじ」。


変人司書と、お人好し兵士ともふもふたちの、極地蒐集スローライフ。




【その他、作成に関するメモ】 

・コンセプト:近未来ディストピア×ファンタジー×極地ゆるサバイバル×蒐集スローライフ。

 要素が多いのですが、一応自分の中で世界の空気感というかイメージがあります。



・想定ジャンル:SF

 ゆるサバイバルしながら、ヒロイン? ともふもふたちと、道具やどんぐり、知識知恵、それにまつわる物語を蒐集保存する物語がメイン。

 ……に時々シリアスなイベントと背景に見えるひとさじ……二匙くらいの毒、っぽいイメージ。いつもより毒少し多めです。



・想定キャッチコピー:凍土に物語の種を埋め、白の大地に火を灯す


 ヴィクトリア朝時代に流行したという驚異の部屋・ヴンダーカンマーは、歴史的に価値のある、研究対象である蒐集物で満たされてはいるけれど、部屋の主に直接的な恩恵をもたらすためにつくられた施設ではないはずです(収集家が研究者だったり、精神的な満足、貴族の交流などには役だったでしょうが……)。

 でも、集められたものがそれをも目的とした、危機備えるための、いつか芽吹く「種」(「だいじな物語」)なら。


 ……ということで、これは現実に永久凍土に造られた「スヴァールバル世界種子貯蔵庫」、世界が(環境破壊や戦争で)危機に瀕したときのために、農作物の原種などの種子を貯蔵している施設がモチーフです。以前から興味があったのです……。


 ただこの施設の外、島の環境については(現時点で)再現したわけではなく、一般的な凍土をイメージしていました。

 凍土に図書館が実際につくられていたのは、原稿提出後に知りました……すごい。



・第1話の初期想定タイトル:図書館の破壊に関する宣言

 ※「図書館の自由に関する宣言」の対になるため

 >凍土図書館へようこそ、など導入っぽい方がいいかも



【あらすじについて】

 あらすじの構成は、

 前半は世界説明、後半は人物と物語の紹介。

 そして今回はSFで設定の文章量が多いため、最後の一文で作品の基本のテイストを提示しました。


 SFやファンタジーなどで独自ルールがありそうな世界の場合。

 世界の状況説明マクロと主人公の周囲ミクロとともに「自分がここに入ったらどうするか」を想像できそうなもの、読者さんが想像してくれそうなものが好みです。(ドラクエなら自分はどの職業、ハリー・ポッターなら自分ならどの寮に入りたいか、みたいな)


 また、主人公の知識はなるべく読者と近くしよう。狭い図書館から世界全体、そして真相へと順に理解していけるような話にした方がいいと思いました。

 そのスタンスが分かるような、読者から何もかも分からない状況で読まなければならない、と思われにくいあらすじにした……つもりです。

 この目的のために書き出しの始まりはクズハラの寝起きスタートになり、三人称のカメラが当初の想定よりずっとずっとクズハラに近くなっています。そして実力不足でカメラの視点移動がぎこちないなと思っています。



【本文について】

 今回は、欲しいフィードバックはふたつでした。


1)ほぼ初のSF小説執筆でした(PBWなどライター方面ではSF要素あるものも書いてましたが)ので、SFとして違和感がない、書いても大丈夫かな……というもの。


2)もうひとつは、普段のノリと状況説明、そして情報の出し方が好まれるかどうかです。あっちこっちに登場人物の性格と伏線をばらまく形にしてみました。


 性格と価値観ならパンケーキと遺族年金のくだり、ユズリハが面倒見のいいホッキョクグマと平和的に同居したり、人間が変化した可能性がある「飴の個包装」を奪わなかったことなど。

 クズハラについては最後まで読んで理解できる一文もあります(「クッキーも団子も無理に食べなくていい」とか。戻って読むか覚えているか、忘れられるかは読者さんに任せる感じで)。


 普通の伏線もあり(世界観と展開への重要度大:「物語の種」、個人的価値観で重要度も小:「飴の個包装」)、引きになっているといいな(宇宙人、菓子、焚書、凍土、話すクマなど)の伏線もあり、という感じです。


 また書いてある情報については、上記の伏線のこともあって、割とPBWのGMをしていたクセが出ていると思います。

 推理してもらうヒントを出すのと同時に、誤読させてしまうとアクション機会とお金を無駄遣いさせてしまうと思ってるので、色々書きがちかなと思います。 

 それに、テキストを読んでいく推理ゲーム・アドベンチャーが好きなので……。


 そのぶん、比喩とか情緒は減っているように思います。ただ冒頭はクズハラの性格と彼の「だいじ」、全体のテイストを表したかったので、のんびりふわふわな雰囲気を入れている感じです。



【書き出しの文章の意図】

・SFということもあり舞台を何とか説明しようとしています。基本的には言語を介して読者さんにどの順番でイメージさせるかにはいつも気を付けているつもりではありますが……。


・同時に、また主人公たちについて知らせるため、だいたい以下の【】内のようなことを考えて執筆していました。

 ジャンルと文字数制限の関係で、普段より意図が多く入っています。



 これは前項の情報の出し方、なのですが。

 実は全部にすぐ気付いてもらう必要はあまりなく、ぼんやりとイメージを読者さんに持ってもらうためのものです。

 後々、同じような描写を重ねていって徐々に理解してもらうと共に、何か出てきたときの唐突さを減らすためでもあります。


 これが単なる自己満足か。キャラクターの動きなどに文字数を割くべきか知りたかったのです。



     ---------------------------本文冒頭より引用---------------------------


 脳裏に浮かんだのは【さっきまで気を失っていた】、存在しないはずの【存在しないのは、今ここにと、彼の普段の生活の周囲に。厳しい状況である予感と、パンケーキが簡単に手に入るものではないこと】パンケーキ。【食欲という引き。メルヘン。美味しい。材料も作り方も、読者がほぼ全員知っているだろう。書いた後に気付いたが、ホッキョクグマが焼いているのは、絵本『しろくまちゃんのホットケーキ』は好きだったので無意識だったかも。ホットケーキの表記にしようかは悩んだ】

 茫漠とした【SFだし、茫漠の漢字は使っても良しとする】意識の暗闇に突如降ってきた、ふんわり丸い三段重ね。【三段重ねであることによってより絵本ぽくメルヘンぽく。非現実さが増すのは、三段重ねはそこに「遊び」なり「余裕」があり、わざわざ作る人が少ないから】追加で転がった【転がったのは、これは想像なので非現実っぽくするため】四角いバターが溶けるより先に、鼻は動いていた。【嗅覚は記憶と深く結びつき、クズハラの子供時代の幸せの象徴。彼の「だいじ」の価値観に関わる。また、瞼を閉じて現実の視覚も今は閉ざされている】


 熱した金属の上でぴちぴち跳ねる油の音がした。【聴覚。すぐ側にあるのが日常生活らしいこと】卵と小麦粉とバニラが混ざった湯気を吸い込めば子供の頃食べたきりの、懐かしい味に喉が鳴る。【思い出。そしてしばらく食べられない状況にあった】

 国軍【自衛隊ではない、リアル日本世界ではないと示す】の支給品レーション【レーションの単語を知っている確率は不明だが、ルビなので伝わらなくとも良いくらいの気持ち。戦闘糧食のことで、以前読んだものの本の時点では自衛隊は缶詰が多いようだった】の空き缶で焼く【空き缶は本来調理器具ではない。生活をしている感じ。いかにもな規律の下に彼の部隊はなく、またクズハラは軍規に真に従順な性格でもない】、古い小麦粉と代用油【国軍の物資はそこまで潤沢ではない。各国対宇宙人の戦いで輸入があまり容易でないため、食材が手に入りにくい】でできたそれっぽい何かではない【クズハラは自分のパンケーキ(現状)に満足していない】、本物だ。【後に出てくるホットケーキが手に入るほどには、凍土図書館は食料物資に困窮していない。ついでにホッキョクグマが敵対する国軍の軍人に対しても(ベッドに寝かせてもいるし)親切であることを示すし、ユズリハは彼をそれなりに扱うつもりでもある】


(なら、きっとここは天国だ。出来損ないの軍人【性格と能力が軍隊に向いてない。実際、焚書部隊という国内の対市民の部隊に配属されている理由でもある】にしては、まあ悪くない最期だな……)【軍人として栄達する気はあまりない。生への執着が薄い、諦めているところがある。また与えられていた装備が貧弱で同部隊に死者を出し、自分たちへの軍の扱いに揺れるところもあり】


 思考を裏付けるかのように背中は柔らかいマットレスの上で、毛皮【子白熊のルイス】までかけられているようだ。【ここで触覚。嗅覚と味覚は兼ねるとして、この後、目を開けることで最後の五感である視覚が解放される】一年の殆どを雪と氷に覆われた永久凍土ツンドラなら背中は凍っているはず。【気を失った地点の情報。舞台となる地域の提示。後で書かれるが、ツンドラに「国軍」が出現できるほど領土が広いので、これはIF日本舞台でもあると重ねて知らせる】

 だからきっとパンケーキ食べ放題だ。【ささやかな望み】クッキーも団子も無理に食べなくていい。【このクッキーと団子は、人が変えられたものを想定(どうしてもこの文章を読んだときに覚えていて欲しいほどの強度ではない)。確定した書き方ではないが、彼は菓子に変わった人間を食べざるを得ない状況でも、可能な限り拒否する価値観であると示す。これは後の菓子に変わった人の(クズハラ視点の)状況描写、「飴の個包装」にもかかる】


     ------------------------------------------------------




・そのほか:

 ホッキョクグマ、妊娠中だけは冬眠するようです。


 完結を目指す必要はなく、ただし長編前提のため、大まかな起承転結は考えています。

 ただ話を作るとき、大抵は起を考えた時点で結もすぐに呼応することが多いので、結を作ってから、エピソードや伏線を起に持っていきながら書きます。

 今回は結が固まってくるのが遅めで、結の解像度も低め。

 また現時点では、10万字書くには細かいエピソードが全く足りていないです。



【反省点】


 もともと、タイトルも親切ではないですし、SFなのもあり、あらすじの設定のどこかに引っかかる読者でなければ、読まれないだろうと思っていました(あとは、「小説家になろう」でもし長編完結させたとして、そもそも読まれないで埋もれるだけだろうなとか……)。


 ただそれでも、設定や謎とは別に、主役二人の強い動機を描いていた方が次話への引きになっただろうと思いました。

 特に主人公のクズハラには、巻き込まれであっても主体的な意思と方向性を示す機会が作れたら良かったと思います。

 軍人に向かない自覚があって生きることを半ば諦めている冒頭ですが、一文でもいいから家族への想いが生への執着になることについて書いても良かったかなと。ここはユズリハとの対比と共感ポイントに後々なると思います。(ホッキョクグマの母子はそういう、家族と疑似家族・共同体のイメージの挿入でもあります)


 また、他の方々の書き出しを見るに、もっと描写と説明省いてテンポ良く、話を進めていった方がいいだろうなと思いました。

 ただ異世界恋愛の短編を書くときはかなり描写と説明を削ったりしています(ヒストリカル寄りかテンプレ寄りかでこれも違いますが)が、これがうまくできているかと言えばそうでもないので、要努力です。



【本文掲載】

 提出した本文は、当記事の次ページに掲載します。



 以上です。

 ここまでお読みいただいた方がいらっしゃるか分からないですが……ありがとうございました。

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