61 肉串と野菜スープ
宿に戻って来たので早速料理をしよう
取り出したのは『キングミノタウロス』の肉塊だ
赤身肉だがとても柔らかく、煮ても焼いても固くならないのだ
しかも、味付けを一切しなくてもとても美味で、美食家達は常にこの肉を探している程の希少種だ
ムトウは基本的には大量にある食材以外は売りに出さないので、他の冒険者等に討伐されると、必ずオークションに出されるのだ
ちなみにこの肉が2㎏もあれば、国の一等地に城が建つ程の値段で取引されるらしい
そんな肉の塊を適当な厚さにスライスして串に刺し、軽く塩胡椒と香草を振りかけて炭火で焼く···
部屋中をいい匂いが支配する
もうこれだけでご馳走なのだが、ムトウは次の料理に取りかかる
次に取り出したのは『一夜草』と呼ばれる珍しい薬草だ
これは冬に生える薬草で、その薬草は一夜だけ華を咲かせるのだが、その華を咲かせる前に摘まれた物だ
この一夜草は『華が咲くと効能が失くなりすぐに枯れてしまう』ので、採取は難しく『雑草』と見分けるのが困難な薬草である
しかし、華を咲かせる前に摘まれた物は『霊薬』の材料にも使われる程の効能があり、そのまま食べても効果はある薬草である
この一夜草は熱を通すと独特の旨味が出て、スープの出汁にすれば、どんな毒物でも解毒し、最上級の味になるのだ
ちなみに『乾燥させると旨味が増す』が、摂取し過ぎると『中毒』になり、『他の味を感じなくなる』ので注意が必要である
ムトウは鍋に一夜草·キノコ·野菜·ミノタウロスの肉を入れて煮込む
そしてパンを軽く焼いていると、肉串が焼き上がり、野菜スープもあと少しで完成となる
アリスは買ってきた物を整理して、料理が出来上がるのを待つ
ライちゃんは待ちきれないのか、ムトウの足元でポンポン跳ねていた
スープができたので、テーブルの上に鍋を移動し、『エルダートレント』の輪切りを置いて、鍋敷きの代わりにする
『エルダートレント』
『古代樹』と呼ばれるその樹体は火に強く、鋼鉄の様に硬い特徴を持つ
超高温で熱すると軟らかくなる為、武器の材料に使われる事が多い
鍋敷きに熱々鍋を置き深皿にスープをよそう
そしてパンと串肉を出せば『アリスの合格祝い』(食事編)の出来上がりだ
ちなみにパンも『幻の小麦』のみで作られた物で、1つでA級の成功報酬の値段はする物だ
「さぁ!遠慮せずに食べてね?足りなかったらいくらでも作るからね」
席に着いたムトウはアリスに食事を促し、自身も食事を開始する
ライちゃんもムトウ達が食べ始めるまで待っているので、かなり賢いスライムだ
「このお肉美味しい。スープも、パンも美味しい」
笑顔で食べるアリスを見てほっこりするムトウ
うんうん。しっかり食べて、すくすく育つといい
スープを飲み、パンに肉を挟んで食べる
うまい。ライにもそうしたい?
ライちゃんにも肉サンドを渡してスープのお代わりをよそう
こうしてムトウ達は美味しい食事を楽しむのであった




