56 迅速に帰宅?
「当家の『紋章』のメダルです。お受け取りください」
出されたメダルには、剣と翼が描かれていて、領主の紋章と同じだとわかる
「···これをアリスにか?」
ムトウはメダルを指差し、クリスに問う
「はい。彼女は『特級冒険者の弟子』ですので、色々な面倒事に巻き込まれると思います。ですので、我が家が『後ろ楯』となります。もちろん無茶な要求等は一切致しません」
現領主のクリスは真剣な眼差しでムトウ達に話をする
「·········。わかった。その言葉信じよう。あとはアリスが決める事だな」
ムトウもクリスの言葉を信じる事にした様で、メダルを『受けとるかどうか』はアリスに決めさせる様だ
「···これがあると何かあるの?」
アリスはこのメダルの意味を知らないので、素直に聞いただけだが、
来賓室は微妙な空気に支配される
「お兄様···説明をしていないのですか?」
「忘れてた。てか、お兄様やめろ」
2人の間に沈黙が···
「···では、私から説明しますね。このメダルですが···」
小さく咳をして、クリスが『メダルの意味』を説明し始めた
数分後···
「と、いう事です。受け取ってもらえますか?」
一通りの説明を終えたクリスは、アリスに受け取りの有無を問う
「ありがとう。喜んで受けとります」
アリスはメダルを受け取り、魔法袋(肩掛けポーチ)にしまう
「よかった。では、お話はここまでですね。お二人はこの後の予定はありますか?よろしければお食事でもいかがですか?」
「アリスはどうする?疲れているなら帰るよ?」
ムトウがアリスの答えを待つ
これは『クリスを待っている間にクッキーを食べていたので、そんなにお腹は空いてないのでは?』と思ったからだ
「お腹いっぱいだから、帰りたい」
アリスの言葉にムトウはすぐに行動する
アリスを抱えて席を立ち、クリスに「じゃ、そゆことで!」と来賓室を出て行く
呆気にとられる館の使用人達と、「お兄様らしいですね」と笑うクリス
ムトウは領主邸を出て停留所まで行くと、アリスをおろそうとするが反応がない
よく見るとアリスは寝てしまっていた
「少なからず緊張していた様だね。このまま宿に帰ろうか···。ところで、ライちやんは何を持っているのかな?」
アリスにくっついているライちゃんを見ると、テーブルの上にあったクッキー皿が···
プルプル♪
「気に入ったから『クッキーの皿ごと持って来た』のね?」
クッキーを敷き紙で包み、ライちゃんにあげ、皿は格納庫に一旦入れておく
(後で総合ギルド経由で皿を返そう。ついでにクリスティアが好きな菓子でも添えておくか···)
帰りの菓子店に寄り、皿と一緒に包んでもらった後、店員に「領主邸へ送ってくれ」と配達料を払って宿へと戻るのであった
ちなみにムトウが領主のクリスティアを良く思っていない理由は『お兄様』と呼んで来るからで、他は割りと好印象である




