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4 ギルドに報告する

「こんちは~。さっきぶりで~す」


気の抜けた声でギルドに入ると、受付の職員がこちらを不思議そうに見てきた


「どもども~。報告したい事があってね~。ちょっと個室使わせて~(襲われたからさ)」


職員に小声で話すとすぐに個室へと案内され、調書の準備をしてくれる


「さて、まずは俺のギルド証からだね。それと、こっちが件の相手のギルド証3枚」


職員に渡して確認してもらい、事の顛末を簡単に話す


「···と言う事で、返り討ちにした。ギルマスに話せば多分『またか···』って頭抱えるかも···ねぇ?」


そう軽く言いながら、入口の扉を見る


「理解ってんならやるなよ···。毎回『生け捕りにしろ』って言っているんだがなぁ···。調書作成ご苦労、この件は俺が引き受けるから受付業務に戻ってくれ」


そう言いながら額に手をあてて入って来た1人の男


適度に鍛えられた肉体に無精髭で、見た目は山賊とかに見えるが、この人がこのギルドの『ギルドマスター』だ


職員はギルマスと交代で退室して行ったので、ムトウはギルマスに続きを話す


「いや~、いきなり後ろから襲われたからね~。自己防衛でサクッとやっちゃった」


ムトウはこの街のギルマスには何度も会っている為、畏まる感じはない様子だ


ムトウも最初は律儀に捕縛していたのだが···


※正確には『街中を引きずり回して、ボロ雑巾の様になったら』冒険者ギルドに放り込んでいた


しかし、あまりにも回数が多いので、途中から『王都のギルド本部』と『お話し』をして一つ決め事をする


それが『出来れば捕縛。無理ならやむ無し』である


この決定事項はすぐに各ギルド支部に通達され、各ギルドのマスターは『頼むからうちでは何も問題起こすな』と願われていたりする




そもそもムトウ本人は『襲って来なければ何もしない』と人畜無害を公言している


まぁ、見かけが弱そうなのに『報酬は孤児院に全額寄付』といった行動をするから、周りから『金持ちのカモ』に見られるのだが···


「はぁ···だから何度も言うが、本当のランクにいてくれ···。『目立つのが嫌』だからって『D級』はないだろう?本当のランクの『特級』なら絡まれないってのに···」


そう言いながら頭を抱えるギルマスに顔をしかめる


「やだよ。特級なんて言ったら貴族や国がうるさいもん。変な奴も寄って来るじゃん」


少なくても戦闘狂·勧誘·腕試し·売名の為とかは確実に増えるだろう···


「だから平和な『D級』にしてるんじゃん。それに、『相手の実力も理解しないで絡んで来る連中』が悪いんだよ?」


冒険者ギルドに所属すると能力や貢献度等から幾つかの(ランク)分けがされていて、最低が『G級』で最高が『S級』だが、ムトウの『特級』はギルドの中でも『例外のランク』となっている


『G』は入門クラスで、街中の依頼を受けて、基礎を学ばせる


『F·E』は初心者クラスで、薬草の採取や野生動物の狩りや雑魚魔物の討伐等を受けられる様になる


『D』は初心者卒業クラスで、魔物の討伐等を主に受ける事が多くなる


『C』まで上がればベテランとして一目置かれる存在として扱われ、護衛や盗賊退治等を受ける事が主になる


『B』からは特別(指名)依頼や強制依頼(強力な魔物からの防衛等)が発生し、遠い村の魔物討伐等が主になる


『A』から貴族(士爵~子爵)と同等の権力が付いてくる為、かなり厳しい試験を合格する必要がある


『S』は国からの指名依頼等が主で、貴族(伯爵クラス)の様に給金が国から出されるが、災害級の魔物討伐等に行かされる危険が常にある


そして、『S』の中でも更に選ばれた者には『特級』が与えられる


『特級』は貴族や国の依頼を断れるのだが、あまり拒否し過ぎると国から『お叱り』が来ると言われている


『特級』は別名『人災級』と呼ばれ、『特級一人で国を滅ぼせる力がある』為、実際は『国に害がなければ何も言ないよ。だから、魔物から国を守ってね』となっている


しかし、それでも『愚者』はいるもので、私利私欲で指名依頼を出す『貴族』は一定数いるのだ


それにうんざりしたムトウは、資格を返納しようとしたが、国王に直接止められてしまい、妥協案として『D級』を隠れ蓑にしている


「まぁ、俺から手は出さないから、これからもよろしく頼むわ」


そう言って部屋を後にするムトウに対し、ギルマスは


「今度全体教育するとしよう···。そしてダメなら、好きにしてくれ」


そう告げるのであった


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