32 洋服店
「いらっしゃいませ~♪」
再び挨拶をされるが、思考が停止した2人には届かない
唯一ライちゃんだけがプルプルふるえて反応している
「あらあら?どうしたのかしら?お客様よね?」
困り顔で話しかけて来た店員(?)にムトウがハッとしてすぐに返事をする
「あぁ、すみません。この子の着替えを新調したくて···」
固まるアリスを少し前に出す
「あら♪可愛い娘さんね♪お父さんと一緒にお買い物?いいわねぇ~好きに見てちょうだい♪サービスするわよ~」
父親では無いのだが、保護者だから否定はしなくていいか···
「ありがとう。しかし、まだ幼いのでどの服がいいのか···適当に」
「ダメよ!!そんな事言ってはダメ!!女の子は何歳でも可愛い物がわかるのよ!!さぁ、好きに見てちょうだい!!」
ムトウの言葉は途中で遮られ、アリスは店員(?)に案内されて店内の服を見て回る事になった
まぁ、悪い人ではなさそうだが···気迫が凄いな。(···一瞬『黒龍』(S+級)を幻視したぞ)
アリスは店員と一緒に服選び中
ムトウは暇なので、格納庫の整理をしていた
「これは提出素材系···こちらは食糧···換金物はこっち···あとは···」
大量の品を格納庫内で仕分けていると、店員が声をかけてきた
「ほらほら、お父さんも娘さんの服を見てあげて♪あれくらいの年頃の娘さんには、お父さんの感想は結構大事なのよ?」
試着室の前に行き、アリスが出て来るのを待つ
暫くすると、試着室の目隠しからアリスが出て来た
「おぉ!!可愛いな!!よく似合うよ」
赤をベースにしたシンプルなデザインの服だが、アリスは美少女なのでこれだけでも可愛いと思う
「素材がいいからシンプルなデザインでも映えるわぁ♪」
ムトウの隣で丸太の様に太い腕を組んで頷く店員
この服はどうやらこの店員のチョイスの様だ
しかも、この人は実は『店長』で、この店の服を自作しているらしい
「可愛い娘に可愛い服着せるのが夢で、趣味(服作り)と実益を兼ねた事がしたくてこの洋服店を開店したの」
「オーダーメイドも受け付けているから、何時でも注文可能よ」
と、本人が話してくれた
その後も色々と試着した結果、結構な数の服を買う事になり、ムトウが大きな袋を抱えて店を出る
「ありがとうございました~♪またのお越しをお待ちしてま~す♪」
洋服店から少し離れた場所でアリスの魔法袋に袋ごと入れる
「宿に着いたら何着か服を魔法袋に入れておくといい。残りは格納庫に入れておくから、何時でも出してあげるよ。それと、一応作業に向いた服も一緒に入れておこうな」
外での行動が多いので、着替えは多くあった方がいい
次は古着屋に行き、作業着にする服を買う
古着屋の店員は普通のお婆さんで、アリスに合わせてサイズ調整もしてくれた
その後は屋台巡りをしたり、保存食を買い込んだりと村全体を見て回り、夕方頃に宿へと戻る
その後は部屋で買った物の整理をしているうちに夕飯の時間となり、食堂で夕飯を食べて寝るのであった




