21 野営と鍋
薪を集め終えた2人は無事テントへと戻って来た
「ただいま~。今ご飯にするからね~」
ムトウが狼親子とスライムに帰還を告げる
アリスも続いて挨拶すると、子狼がアリスに近づいて周りを回る
どうやら心配していた様で、無事かどうかを確認している様だ
子狼の中ではアリスは『妹』の位置付けの様だ
アリスもしゃがんで子狼を撫でる
幼女と子狼···うん。絵になるね
ムトウは簡易竈を組んだ後、先程狩った角兎を格納庫から出して解体を始める
隣ではアリスが解体の手順を見て学習中だ
「今日はもう休んでいいよ」と言ったが、どうやら少しでも学びたい様子なので、隣で解説付きで解体している
無事解体が終わったら、次は薪の点火と料理だ
魔法で点火してもいいが、せっかくなので『ファイヤーピストン』を使って点火する事にした
竈の一部に叩きつけ、火種を作って火を移す
これならアリスにも出来るかな?
でも、危ないから一緒にやる事にしよう
暫くすると薪に火が着いて安定して来たので、串肉を出して遠火で焼き始める
竈の上には鍋を置いて湯を沸かし、『辛すぎた串肉』と野菜を入れてクタクタになるまで煮て完成だ
アリス用の鍋も一緒に作ってある
こちらは塩ベースに香辛料を少々のあまり辛くない仕様にしてある
親子狼とスライムには塊肉を出して、夕食の始まりだ
「うん。しっかり煮たから、肉も柔らかくなって味もそこまで辛くは無いな。しかし、スープは飲まない方が良さそうだ」
赤い鍋から野菜と肉だけを食べ、スープはどうしようか考える
···プルプル···ズズズ···
スライムが鍋に近寄り、触手を伸ばしてスープを吸い込む
「大丈夫?かなり香辛料が効いているけど···」
プルプル♪
スライムは『問題ない。さっきの肉の味付けに良い』と言っている様だ
スライムの体内で肉の塊とスープが混ざり、徐々に吸収されていくのがわかる
「そう言えばスライムさんは味付け肉が好みだったね」
今回出した肉には味付けをしていなかったので、鍋のスープを欲しがったのか
アリスの鍋が無事なのは味が薄かったのかな?
「スライムさんはこっちのスープは気に入らなかったみたい。ちょっと味見したらムトウさんの方へ行ったから」
アリスも鍋のスープを残していたが、スライムさんには薄味だった様だ
「あまり濃い味は体に悪い···って、スライムさんは問題ないのか」
スライムは肉とスープを吸収しながらプルプル揺れる
しかし、スープの色で赤くなっているのは大丈夫なのだろうか?
後で水を与えて、色が薄まるか見てみよう···
夕飯の片付けを終えたのでアリスはテントで就寝する
子狼も一緒だが、懐いているから大丈夫だろう
もう『飼い犬』ならぬ『飼い狼』に見えてきたな
「ソコんところどう思います?親として」
親狼さんに聞いてみたが、当然返事は無い
あっても「ウォン」とだけだ
何言ってるのか理解出来ないけど、気持ちだけは通じる気がしたムトウなのであった




