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16 出発前の宿

夜、宿の部屋でアスカと対面していた


まずは1つ1つ確認をしながら話を進めていこう


「アスカ。明日の朝から徒歩で師匠の所へ行くけど、旅の道中は君の訓練も同時進行して行くよ」


「わかった。その前に1ついい?」


コクリと頷くアスカが返事をする


「なんだい?答えられる事は教えてあげるよ?」


「私の名前を考えて欲しいの。新しい生活をするなら、名前から変えたいの」


この子は本当に5才か?


「···解った。では···『アスカ』改め『アリス』でどうかな?元の『アとスは残してアリス』だ」


全く別の名前にしても本人が反応出来ない時もあるだろうから、『アスカ』に似た『アリス』と名前を変えてみた


「ありがとう。今から私は『アリス』ね」


一応鑑定もして見たが、ちゃんと名前がアリスに変更されていた


「それでは改めて、よろしくね?アリス」


「うん。よろしくムトウさん」


アリスの頭を撫でつつ微笑むムトウ


アリスも嫌がらずに嬉しそうに撫でられている


(娘をもつ親とはこんな気持ちなのだろうか?)


そんな事を思いながら魔力をアリスに注いでいく


これはアリスのジョブを解放する手助けの行動だ


注がれた魔力に反応してジョブが解放される事は、過去の研究によって証明済みだ


特にアリスの『聖魔ケンシ』は『魔力を使って戦闘するスタイル』なので、魔力による解放が適当なのだ


アリスには事前に解放方法の説明もしてある為、素直に注がれた魔力を自分の魔力と反応させる練習をしている


(このまま上手くいけば数日中には解放されるだろうな)




暫く魔力を注ぐと、ムトウの腹が鳴った


ぐぅぅ···ぎゅるぎゅるぎゅる···


一般的に『魔力を大量に使うと空腹になりやすい』と言われているが、それは『最大容量の8割以上』を消費しないとならないとされている


ムトウの最大容量は一般的の最大容量より遥かに多い為、滅多に空腹状態になる事はなかった


つまり、アリスに注いだ魔力量はかなりの量であり、ムトウは空腹状態になった様だ


(アリスの最大容量は一般より多いんだな···。まぁ、ジョブがジョブだからな···)


アリスのジョブについてはまた今度話をしよう


とりあえず今は腹を満たそう


「腹へったな。夕飯は何がいい?少しなら固形物を食べられるくらいにはなったよね」


アリスには明日の夜までは様子見として『お粥を主食にする』事を伝えてある


まずは胃が消化しないと意味が無いからね


「何でもいい。ムトウさんが選んで」


まぁ、そうなるよな···


「お粥に麦を少量足して、柔らかいもの···野菜と魚かな?」


悩みながら備え付けの台所で料理を始める


麦と米をじっくりコトコト煮込んでいるうちに野菜と魚の調理をする


その姿を後ろで見つめるアリスは、今は亡き両親の姿を思い出して泣きそうになるが、新たな自分になる為に我慢する


しかし、ムトウは途中で調理を止め、優しくアリスを抱きしめる


「辛かった我慢しないでいいぞ?全部吐き出せ。しっかり前に進む為にな」


そう言い背中を優しく撫でると、アスカは泣き出した


今までの事を吐き出して、新たに『アリス』として生きる為に···


そして泣き疲れて眠ってしまったアスカをベッドに寝かせる


「お休みアスカ···。次に目が覚めたら君は『アリス』になる。それまで、ゆっくりと眠るといい」


そう告げたムトウは寝室を出て、作りかけの料理を『格納庫』にしまう


そして新たに決心するのであった


『俺はアリスを無事に師匠の所まで連れて行く』




しかし、師匠への連絡を何もしていないムトウは、これから向かう師匠から『説教を受ける事をまだ知らない』のであった



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