15 出会い
次は鍛治ギルドだね
冒険者ギルドを出て、次の目的地『鍛治ギルド』に向かうが、冒険者ギルドで予想外に時間がかかったので小腹が空いた
(途中の屋台で何か買い食いするかな)
途中で串焼きの屋台に寄り、肉串と海鮮串を購入して歩きながら食べる
「海鮮串は塩とハーブか。少しハーブが強いけど、あの値段ならいいかな···」
海鮮串は日替わりで、今日は白身魚と貝だった
「次の肉串はどうかな?···うぇ···辛すぎて素材の味がわからん」
『香辛料たっぷりの肉串』と看板にはあったが、香辛料が多すぎだ
しかも筋張っていて肉串としては最悪だ
「これは後でなんとかしよう」
残りの肉串は『格納庫』に入れておく
途中で果物のジュースを購入して口の中をリセットし、口直しに『自家製干しイカ』を軽く炙っておいた物を口に放り込む
「噛めば噛むほど味が出る。我ながらいい出来だな」
干しイカを噛りながら歩いていると、小さな子供が路地裏からこちらを見ている事に気がついた
どうやらお腹を空かせている様だ
「あの子供は孤児院の子供じゃない?路地裏の子か?」
この街に孤児院は有るが、人が多すぎて入れない子供もいる
そんな子供達は路地裏でいつ死ぬかも知れない生活をしている
「(見ちゃったからには放置はできないよね···)そこの子、これを食べな~」
『格納庫』から『お粥』を出して子供に差し出す
子供は最初は警戒していたが、空腹には耐えられず『お粥』を食べ始める
「よしよし、急がずに食べるのはいい事だ。ゆっくり食べな~」
子供の横に座り、子供を『鑑定』する
アスカ
女(人間)5才
状態:空腹·栄養不足
ジョブ:未解放(聖魔ケンシ)
???:???
両親は冒険者だったが、数日前に帰らずの人となった為に孤児院に行くが、満員で入れずに路地裏で生活を始めたばかりの女の子
「(孤児院に入れずにいた子か···俺の寄付でも足りないとは···どれだけ孤児が多いんだよ)」
少し怒りの感情が漏れた様で、アスカの動きが止まる
「(俺の感情を察知した?)ゴメンね。ちょっと考え事してたら、感情が漏れたっぽい。おかわりいる?よしよし。た~んとお食べ?」
お代わりを出してあげてアスカの今後をどうするか考える
「(1度手を差し伸べたからには最後まで面倒見ないとね···。それに···この子はいいジョブを持っているし···)とりあえずそれを食べ終えたら、俺の『師匠』のところに行かない?小さな牧場みたいな所だから、衣食住には困らないよ?」
アスカに聞くと小さく「行く」と返事をしてきた
「それなら今から寝床の整理をしようか?···えっ?『何もない』?なら、今日は宿に泊まって明日の朝から向かおう。···そういや名前言ってなかったね」
アスカに手を差し出してムトウは笑顔で告げる
「俺の名は『ムトウ』だよ。ジョブは一応『剣士』をやってる」
「アスカ。5才···ジョブはまだ···」
ジョブの解放は人によって様々で、早ければ2·3才で解放する
遅くても12才には『教会』で確認して、自分にあった仕事を探すのだ
「アスカか。よろしくね」
「···よろしく」
ムトウはアスカは手をつなぎ、宿へと向かう
宿へ着いたムトウは『当初の目的地の鍛治ギルドに行く』事を忘れていた事に気がつくが
「急ぎの用事でもないからいいか」
と、そのまま宿でアスカの世話をするのであった




