13 街への帰還とダンジョンの報告
片付けを終えたムトウは森を出る為に行動を開始する
「これから1度街に行くから、皆とはここでお別れだね」
親子狼とスライムにそう告げると、各々は『わかった。森の出入り付近までついて行く』と前と左右を陣取る
前は親狼で右は子狼、左後ろにスライムだ
スライムは移動速度が遅いので、少し遅れる形になるが、元々歩き難い森の中を障害物等も関係無いので、ほとんど離れない速度でついて来る
「あっ!ついでに罠の確認しよう。調査されたか確認して行けば、手間にならないからね」
方向を少し変えて罠の場所に向かい、跡地がどうなっているのかを確認すると、罠の場所は綺麗に片付けられていた
「おぉ!調査完了したんだね。罠とかも全部撤去されてるよ」
調査隊により、全ての罠の撤去と落とし穴も埋められているのを確認したので、今度こそ森の出入り口に向かう
森を出て街に戻り、先に宿の部屋を借りてギルドへ向かう
今回も前回泊まった宿だが、泊まるならこの宿にしようと決めた
ギルドの建物内に入ると職員が気づき、ギルマスの部屋へ向かう様に言ってきた
「(面倒だけど、こちらもダンジョンの報告があるからなぁ···)ギルマス~入るよ~」
返事を待たずに部屋に入ると、ギルマスが書類を片手に唸っていた
「どしたの?恐い顔がさらに恐くなってるよ?」
「おまえのせいだろうがぁ!!なんだあの罠は!!報告を受けて目眩がしたぞ!!」
ご立腹のご様子ですが···あの罠は比較的簡単で一般的なはずだよ?
「問題は落とし穴だ!!」
あ~···獲物の横取り防止の落とし穴ね
「あれは捕まえた獲物を横取りされない為の落とし穴だから、問題無いだろ~?」
何ならもっと凶悪な罠だってあるぞ?
『虎ばさみ』にかかった獲物の周りに『近くにきた奴にくくり罠』とかさ···
明らかに『落とし穴です』って感じの場所の周りに『本当の落とし穴』とかさ···
考えるだけで色々出て来るぞ?
「それで?あの罠にかかった馬鹿は何者なの?一応貴族っぽいけどさ」
「あぁ···、それなんだがな···」
こちらの質問に苦虫を口一杯にしていつまでもカミカミした様な顔をするギルマスが説明してくれた
「へ~···馬鹿にしては行動力だけはあったのね?オツムは足りてなかったけど?」
森に入るのに周囲警戒する人員を同行させないって···自殺志願者なのかな?
武力特化過ぎて、探索機能無しとかさ···素人以前の話じゃん
「それで?と〜しゅさまは何か言って来たの?」
「いや、何も言わなかったぞ。それが不気味だったがな」
問題起こした愚者の敵討ちに出た馬鹿が無残に熊に(おいしく)いただかれたのだ···
それはこちらには何の関係も無いだろ?
まぁ、何かあれば『ちゃんとあちらで逢わせてあげる』けどね
「まぁ、そう言う事だから一応気をつけてくれ」
「了解~」
ギルマスからの話は終わりだね?今度はこちらの報告だな
「次は俺の番だね。あの森でさ『ダンジョン』見つけたよ。これ、入り口の扉」
『格納庫』から銅の扉の一部を出して見せる
「·········ダンジョン?」
「これが証拠だよ。中庭で出そうか?」
この部屋で出すには大きすぎるので広い中庭がいいだろう
「···頼むわ」
「了解~。いこうか~」
2人は部屋を出て中庭に向かうのであった




