11 空間魔法と魔物
親子狼にあげた熊肉は仲良く消費中、その間に熊鍋を作り夕飯にした
熊肉の鍋は香草とキノコがいい仕事をしてくれたお陰で、美味しくいただいた
「ふぅ。あれだけ食べてまだ足一本の1/3も消費しないとは···残り2本は少しずつ消費するか···」
腹をさすりながら残った熊肉の事を考える
明日の朝食に一本は親子狼にあげるから、残りは1本くらいかな···
朝から熊肉は少し重いかもしれない
しかし半端に残すのも嫌なので、半端分だけは何とか消費しよう
「あ~···手をつけてない方の足肉は親子狼に全部あげてもいいかな」
頭は討伐証明として持っていこう
格納庫に入れれば、腐らないからな
本当に便利だよな···『格納庫』
空間魔法の1つである『収納空間』は『魔力量に応じて広さが変わる別空間に物を収納する魔法』だが、ある一定の魔力量を持つ者には『無限収納·状態保存』が発現する事が確認されている
それでも僅かな人数しかおらず、所持者は各国が管理·雇用しているのが現状だ
ムトウの空間魔法は『容量はそこそこで、時間はゆっくり進む』と報告しているが、実は少なくとも『無限収納·状態保存·時間操作(進行·停止)·空間内操作(解体·調合等)』を(本人のみ)確認済みである
「そう言えば、俺の魔法は未だに『進化している』んだよなぁ···」
魔法はある程度進化するが、それもあまり知られていない
魔法や剣単体で生きて行ける程この世界は優しくなく、魔物も『魔法無効や物理無効』等の種類が多岐にわたり存在している
特に厄介なのが『スライム』だ
スライムは雑食であり、何でも取り込む魔物だ
そして取り込んだ物によって進化する為、『物理無効に近いモノ』や『魔法無効に近いモノ』までいる
しかし、スライムは『両方に特化する事はなく、必ずどちらかは攻撃が通る』と言われているが、これは『スライムを捕まえて研究した者達の報告による』と言っておこう
しかし、スライムは無害な種類が多く、人々の生活をサポートもしてくれていたりもしている
例えば下水の浄化に飼われていたり、ペットとして可愛がられている
知能もそこそこある為、大きな屋敷の清掃等にも役立つ存在だ
そしてダンジョンや森のスライム達も魔物や動物の死骸等を吸収する事で独自の進化や生活圏を持っている
例えば森の中で『池かと思ったらスライムだった』とか『沼の中に同化していて補食されかけた』等の報告もあったりするので、油断はできない
現にムトウのいる池の近くにもスライムはいるが、ムトウが討伐した後のモツの残り等を吸収している為、こちらに敵意は無い
むしろ、友好的だったりする
ムトウが森に入ると、どこからか近くに現れ、ムトウの後をついて行き、おこぼれを頂戴しているのだ
ムトウもそのスライムを追い払う事はせず、好きにさせていたりするのであった
「···爪とかはスライムにあげるか」
熊の爪等、食材にならない物を一纏めにし、近くの草むらに置いておく
「たまには肉もあげようかな···」
格納庫から大量にある『肉』を出し、一緒に置いておく
「しっかり食えよ~」
そう草むらに向かい声をかけ、テントに潜り込む
自分に害がないモノには優しいムトウであった
そして、親狼は子狼にスライムの恐ろしさを教えていた
『無闇にスライムに、極力近づかない事』
『下手に近くにいると、一緒に吸収されてしまう危険がある』
『吸収している時は普段以上に気をつける様に』と、念を入れるのであった




