サンドラの末路-2
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母親がイイデンナ伯爵の屋敷に移ったあと、アデラとバーサはサンドラの部屋で荷物をまとめていた。表向きはイイデンナ伯爵の依頼だが、すべて王宮のディランからの指示だ。
「高価なアクセサリーはいらないのよね?」
バーサはジュエリーボックスをのぞきながら言う。
「ええ、売ってお金になるようなものは送るなって、デキールさまに言われてるわ」
アデラはサンドラの机のなかを整理しながら答える。荷物の整理だけでなく、何か重要な書類などを隠してないか、点検しておくように言われているのである。
「きっと本当のことを知ったらブチ切れるね」
「仕方ないわ、本当なら修道院送りとか、もっとひどいことに・・・」
引き出しにあった便せんの内容を見たアデラは、言葉を途切れさせる。それは、サンドラが金持ちの平民にシンデレラを嫁にやろうとして書いた、あの手紙だった。
ひどい!あんな男にシンデレラを!?
その男の悪評はアデラも聞いていた。まさにお金を持っていることだけが取り得の、40過ぎの下品な男だ。アデラは怒りに震える。
「どうしたの、アデラお姉さま?」
急に黙り込んだ姉に、バーサが心配そうに声をかける。
「なんでもないわ、早く終わらせちゃいましょう」
これをローレンス殿下に見せたらサンドラは破滅だろう。さすがに見せられないと思ったが、この先なにかあったときの保険に保管しておこうと決めた。これ以上シンデレラに害を加えるようなことがあれば、母親であろうと容赦しないつもりだ。
「うーん、お母さまの衣裳って、みんなヒラヒラの薄物ばかりね」
バーサがサンドラのドレスを手に取りながら言う。寒いところで暮らすのだからできるだけ暖かいものを送りたいのに、実用的な服がほとんどないのだ。
「そうね、仕方ないからアクセサリーを処分したお金で買って、あとから送りましょう」
サンドラの愛した高級品は、すべて売り払って男爵家の立て直しに使うことになっていたが、防寒着を送ってやるくらいは良いだろう。
「少しは反省して、大人しく田舎に引っ込んでいてくれればいいのだけど」
ため息交じりにアデラが言ったとき、ドアがノックされて大柄な男が部屋に入ってきた。
「アルバート!」
アデラの目が輝く。
「ちょっと暇ができたんで、なにか手伝えることはないかと思ってね」
鼻の頭をかきながら照れくさそうに言うアルバートは、毎日のように男爵家を訪れていた。
まだ正式には決まっていないが、ローレンスの口利きでふたりは結婚できることになったのだ。アルバートが婿入りしたあとはアスター男爵家は伯爵家となり、ヴェル伯爵家の領地だった土地を王家から賜ることになっている。
サンドラが超特急でイイデンナ伯爵と結婚させられたのは、彼女を早々に男爵家から追い出し、それらの準備を進めるためだ。サンドラを出しゃばらせないため、ディランがそう仕向けたのだった。
そしてイイデンナ伯爵が言いなりに動くのには、それなりのワケがあった。




