表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/78

サンドラの末路-1

毎日3回、7:00、11:00、16:00に更新します。アルファポリスさま、カクヨムさまにも投稿中。アルファポリスさまでは、数話分先行して更新しています。

結婚式から数日のあいだは、サンドラはイイデンナ伯爵邸で贅沢で楽しいときを過ごした。衣類や化粧品などの必要なものは、家からすでに送られてきている。伯爵が気をきかせ手配していたのだ。「さすがはハブリー」と、サンドラはご満悦である。


「ハブリー、私ドレスを何枚か作りたいわ。リッチ・ダモンネのお店から人を呼んでくださる?」


朝食の席でサンドラはねだった。今度こそリッチ・ダモンネの新作ドレスを好きなだけ手に入れられると信じて。


「うーん、それはまた今度にしよう」


サンドラの予想に反して、伯爵はちょっと顔をしかめる。そして香りもお値段も高い紅茶を口に運ぶと、こんなことを言い出した。


「もうすぐ寒くなるから、今のうちにあなたを領地に連れて行きたいと思っているんだ」


イイデンナ伯爵領は高い山々が連なる北部にあり、冬は雪も降ってかなり寒い。しかも王都から馬車で2週間はかかる距離にあるのだ。


「領地に行くんですの?」


伯爵はめったに領地に帰らないと聞いていたので、サンドラは意外に思った。そんな彼女に、彼は優しい笑顔を向ける。


「領地邸の使用人や領民たちに、伯爵夫人を紹介しないといけないからね」


それもそうかとサンドラは思う。そして「伯爵夫人」「奥様」とかしずかれる自分を想像してウットリとした。ずいぶんと田舎らしいが、伯爵家が代々治める土地なのだから屋敷はきっと立派だろう。


お城かも知れないわね!


サンドラは素敵なお城にいる自分を夢見る。リッチ・ダモンネのドレスのことなど、もうすっかり忘れていた。


「では、いつ出発しますの?」


「2、3日うちには。私は寒いのは苦手でね」


「そんなに早く?なら男爵家に帰って準備してこないと」


あちらで伯爵夫人らしく振舞うには、流行のドレスや豪華なアクセサリーが必須だ。サンドラは頭のなかで持ち物リストを作り始めた。


「心配ないよサンドラ、それはもう使用人たちに指示してある」


それでは持って行きたいものが入っていない可能性がある。「でも」と抗議しかけたサンドラに、伯爵はたたみかけた。


「あなたは伯爵夫人なのだ、雑事はみな使用人にやらせればいいんだよ。そんなことよりも、今日は新しくできたレストランに行こう!」


「え、ええ、そうですわね」


なにやら性急な伯爵に少し不安を覚えたサンドラだったが、お出かけと聞けば頭はドレスや髪型のことでいっぱいになる。贅沢や楽しいことをすれば不安は解消できる、長年そうやって生きてきたのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ