表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

70/78

の、呪ってやるぅうう-2

毎日3回、7:00、11:00、16:00に更新します。アルファポリスさま、カクヨムさまにも投稿中。アルファポリスさまでは、数話分先行して更新しています。

バーサは自室の衣裳部屋で震えていた。


サンドラの命令どおり、寝間着に着替えてベッドで大人しくしていたのだが、しばらくするとドアの外で声がしてきた。耳をすませてみると、ケイトと誰かが言い争っているようだ。


私を捕まえに来たんだわ!


舞踏会の夜の恐怖がよみがえってくる。バーサは添い寝していたベティをつかむと、震える足で衣裳部屋に駆け込んだ。ほかに隠れる場所が思いつかなかったのだ。


しかし、ドレスを処分したので隠れる場所は少ない。バーサは肩掛けを頭からかぶり、ハンガーにぶら下がる普段着の後ろに隠れた・・・つもりだが、実際には上半身くらいしか隠せていない。


なんでこんな目にあうの?


涙目でガタガタ震えながら、貴族なんてやっぱり嫌いだとバーサは思う。自分はシンデレラのために馬車を動かし、そのついでにちょっと舞踏会をのぞいただけなのに。


ギィイイイイイ!


誰かが衣裳部屋のドアを開けた音がする。バーサの心臓は早鐘を打った。もし捕まったら牢屋に入れられるのだろうか?牢屋はどんなところだろう?


「呪ってやるぅうう、呪ってやるぅううう!」


バーサは恐ろしさのあまり、我知らずつぶやきはじめた。身を守るにはそれしかないと思ったのだ。頭のなかでは、いろいろな呪いが浮かんでは消える。



うん?なんだろう、なにか言っているのか?


衣裳部屋もやはり薄暗かったが、ディランは目が慣れるとすぐにバーサを見つけた。寝間着の裾とスリッパをはいた足元が丸見えだったからだ。驚かさないようにそっと近づくが、令嬢が何やら言っているらしいのに気づく。


なんだって?


身をかがめて耳に手を当てたディランの耳に、今度ははっきりと聞こえた。


「呪ってやるぅううう!」


「ひっ!」


思わず小さな悲鳴をあげてしまう。すると頭からかぶった布がもぞもぞと動き、長く伸びた髪のすき間から、エメラルド色の目がこちらを見た。


「ひょ、ひょぇええええええええ!!」


ディランは腰が抜けてしまい、床に尻もちをついた。少しは気を張っていたせいなのか、気絶しなかったのは彼にしては上出来と言えよう。


あの時の幽霊!!


あの日の、忘れられないあの瞳。令嬢だと思ったソレは、どうやら幽霊だったらしい。床を這って逃げようとしたディランに、その幽霊は縋りついてくる。


「ご、ごめんなさい!ごめんなさい、ごめんなさい!!」


幽霊は腰に縋りついて何故か必死に謝ってくる。その手にはあの人形。幽霊が動くたびに、その首もグリングリンと動く。


「いやぁああ!やめてぇえええ!!」


ディランが叫び声をあげたとき、ようやくケイトが駆けつけてきた。手にした灯りで空間を照らす。


「まあ、落ち着いてくださいませ」


「これが落ち着いていられるかぁあああ!」


ずり落ちかけたメガネを直しもせず、ディランは怒りの声をあげた。


「いえ、バーサお嬢さまに申し上げたのです」


「へ?」


侍女の言葉に、ディランは腰に縋りついているモノを見た。


「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」


よくよく見れば幽霊でもなんでもない、髪がボサボサに伸びて不気味ではあるが、ただ謝り続けている小柄な令嬢であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ