の、呪ってやるぅうう-1
毎日3回、7:00、11:00、16:00に更新します。アルファポリスさま、カクヨムさまにも投稿中。アルファポリスさまでは、数話分先行して更新しています。
一方のディランだが、こちらはバーサを探す担当だ。サンドラが病気で寝込んでいると言っていたので、一応は令嬢の部屋から探すことにする。しかし、年かさの侍女がドアの前に張り付いて、それを拒んでいた。
「お嬢さまはふせっておられるのです。その部屋に男性が入るなど、とんでもない」
ケイトは騎士たちにも臆することなく言ってのけた。彼女は居間でのやり取りを聞いていないので、ディランたちがバーサを捕まえに来た役人だと思っているのである。
「これはローレンス殿下のご命令だぞ」
「どんな罰を受けようとも、私はここをどきません!」
ディランは小さく舌打ちした。使用人とは言え、年取った女性に乱暴を働くわけにもいかない。ここは説得するしかなさそうだ。彼はメガネをくいっとあげた。
「いいかい?私たちはバーサ嬢の安否を確認しに来たのだ。彼女がこの家で虐待されていないか、心配してるんだよ」
「虐待?」
思っても見なかった言葉に、ケイトは首をかしげる。では、この人たちはバーサを捕えに来たのではないのか。
「ああ、調べてもバーサ嬢のことは何ひとつ分からなかった。社交にも出ていないし、ウワサもないし、この家に医師が出入りしている形跡もない」
「それはまあ、あの、その通りなのですが・・・」
ケイトは言葉を濁した。引きこもっているのは本人の意志だが、サンドラがほったらかしにしているのもどうかと思っていたからだ。
「あの、バーサお嬢さまをどうされるおつもりなのでしょうか?」
「だから安否を確認して、助けが必要なら力になる!」
「助け、ですか」
ケイトは思う、この家の令嬢たちには助けが必要だと。そして、ドアの前から退いた。
「では、どうぞお入りください。ただバーサお嬢さまはそのう・・・繊細な方なので、あなたさまと私だけで入るのはどうでしょう?」
「承知した」
危険なこともあるまいと、騎士たちには部屋の前での待機を命じる。ケイトがドアを開けたので、ディランは薄暗い部屋へと踏み込んだ。
なんだここは!!これが令嬢の部屋か!?
床のあちこちに本が積みあがっており、それを避けなければベッドに近づけない。なにより厚いカーテンが閉まっていて暗い。気のせいか、部屋の空気もドンヨリしているようだ。
「バーサお嬢さま、王宮の使者の方がお見えなのですが」
ケイトがベッドに向かって声をかけるが、何の反応もない。ケイトが確認すると、そこはもぬけの殻だった。
「あら、いらっしゃいません!」
バーサはもともと病気ではないが、先ほど病気のふりをして寝ていろとサンドラにきつく言われていたので、おとなしくベッドにいると思ったのだが。
「いないって、どういうことだ!?」
「人がたくさん来たので、怖がって隠れているのかもしれません」
猫かよ!!
いったいバーサというのはどんな令嬢なのか。謎だらけでつかみどころのない令嬢に、ディランは苛立つ。
本当に猫のように、家具のすき間にでも隠れているのかもしれないぞ。
自分の思いつきに「まさかな」とは思いつつ、ディランは心を静めて気配を探った。
「あそこか!」
ディランはある空間に続くドアを振り返った。




