今度こそプロポーズだ!-1
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シンデレラの居所はすぐに知れた。案内役にと連れ出したセバスが白状したのだ。
「お嬢さまは心の清い優しいお方です!ど、どうか、ご無体なことはなさらないでください」
必死に訴える老執事に、ローレンスは優しく言葉をかけた。
「心配するな、私は彼女をこの惨状から救いに来たのだ」
決して悪いようにはしないと誓う王子の言葉にセバスは縋った。今のままではいつかサンドラにひどい目にあわされると、ずっと心配していたのだ。
「シンデレラお嬢さまは森におられます」
森に入っていくローレンス一行を見送り、セバスは深々と頭を下げた。
美しき乙女の歌声
空に広がりて大地を清めん・・・
屋敷から続いている森の小道をたどっていくと、美しい歌声が聞こえてきた。その声に導かれるようにして、ローレンスは切り株に座るシンデレラのもとにたどり着く。
初めて会ったときのように、彼女の周りには多くの動物たちが集まっていた。意識してよく見れば、森の緑はモリモリと伸びていて、生命力にあふれている。ローレンスは騎士たちに少し下がるように命じた。
「やあ、今日はウグイスは捕まえないのかい?」
「ラリーさま!」
振り向いたシンデレラの瞳が、想い人の姿を映して喜びで輝く。だがローレンスのからかいの言葉に、すぐに顔を赤らめてうつむいた。
「狩りはしないことになりましたの、家の皆が反対するものですから」
「そうか、先ほどあなたの家族に会ってきたよ」
「もしかして王宮からの使者というのは、ラリーさまだったのですか?」
シンデレラはサンドラに、「王宮の使者が来たから森へお行き!」と追いやられていたのだ。王宮の使者を務めるくらいだから、やはり彼は地位のある人なのだろう。
「うーん、そうだな。シンデレラ嬢、まずはこれをあなたに返そう」
ローレンスは質問には答えず、絹の布でつつんだガラスの靴をシンデレラに差し出した。シンデレラは立ち上がってそれを受け取る。
「ありがとうございます!これは母の形見なんです」
傷ひとつついていない靴に、シンデレラはホッと胸をなでおろした。
「ヴェル伯爵家の家宝なのだろう?」
「ご存じだったのですね」
「ああ、あなたの血筋のことも、この家での扱いも知っている。先ほども男爵とアデラという姉に会ってきたが、ひどいものだな!」
ローレンスの腹立たし気なようすに、シンデレラは慌てる。
「いえ、ラリーさま。この前から何か誤解があるようなのですが」
シンデレラはあらためて話した。自分は虐げられてなどはおらず、全部自分の決断でやっていること。サンドラはともかく、アデラとバーサとは仲が良く、協力して生活していること。舞踏会に着て行ったドレスのことや、引きこもりのバーサが勇気を出して御者をしてくれたことも話した。




