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アデラ、限界が来る

毎日3回、7:00、11:00、16:00に更新します。アルファポリスさま、カクヨムさまにも投稿中。アルファポリスさまでは、数話分先行して更新しています。

それからの数日、アデラは気もそぞろな日々を送った。


どうしよう・・・どうしよう・・・。


サンドラ自身の結婚はひとまず置いておくとしても、アデラの婿取りは誰に相談したところでどうにもできない。貴族である以上、当主の決めたことには逆らえないのだ。


「アデラお義姉さま、どうしましたの?」


執務室で一緒に帳簿整理をしていたシンデレラが、ぼんやりとするアデラに声をかける。


「ごめんなさい、ちょっと考え事してただけ」


「少し休みましょうか?」


その言葉に「大丈夫よ」と返す。そして少し迷うようにしてから、思い切ったようにシンデレラに聞く。


「ねえシンデレラ、このまえ言っていたラリーさまと結婚したいと思う?」


その言葉にシンデレラは頬を赤く染める。


「ええっと、そうなったら素敵だなとは思いますが、まだそんなことを考える段階でもないと言うか」


「もしも、もしもその方と結婚できるとして、男爵家はどうするつもり?その方は婿入りしてくださるかしら?」


以前はアデラに男爵家を継げと言っていたシンデレラだが、好きな人ができた今はどう思っているのだろう?彼女が嫁に行くつもりなら、自分が婿取りの話を受け入れたほうが都合がいいハズだ。


「彼とはまだ2回会っただけですわ。どこの誰かも分からないですし、答えようもないです」


シンデレラは困ったような顔でそう答える。


「んんんもうっ!あなたに男爵家を継ぐ気があるかどうかってことよ!!!」


焦れたアデラが机をバンと叩いたので、シンデレラは驚いて目を見張った。


「本当にどうしましたの?お義姉さま、何か悩んで」


「悩んでるわよ!!」


心配するシンデレラにかぶせるように、アデラは叫んだ。


「好きな人とはどうしたって結婚できないし、母親は勝手なことばかりするし、妹たちは先のことを全然考えていないし!!」


気丈なアデラの瞳から、涙がポロポロとこぼれ落ちた。初めて見るその涙に、シンデレラは慌てて姉のもとに駆け寄りその背をさする。


「ごめんなさい、怒るつもりじゃなかったの。ごめんなさい」


そう言って泣き続けるアデラに、シンデレラはそっと寄り添い続けた。しばらくして気持ちが落ち着いたアデラは、シンデレラにすべてを打ち明けてしまう。


「まあ、アデラお姉さま!私こそ甘えてばかりで、お姉さまひとりに大変な思いをさせていたんですね。本当にごめんなさい」


シンデレラはアデラを抱きしめる。何か希望の持てることを言ってあげたかったが、考えを巡らせても良い案が浮かばない。「ふう」と小さなため息をつくと、舞踏会でのアデラとアルバートの姿が浮かんだ。


アデラお姉さまとアルバートさまを結婚させて、男爵家を継いでもらうにはどうしたらいいかしら?


それにはこの家の財政の立て直しが必須だ。そもそもサンドラは、アデラにこの家を継がせたあとの財政はどうするつもりなのだろうか?


いえ、きっと何も考えてないんでしょうね。


サンドラは財政のことなど心配したことがないのだ。婿さえ来れば何とかなるとでも思っているのだろう。あるいはイイデンナ伯爵のお金をアテにしているのか。そうならば、彼が紹介してくれる婿を断れない。


男爵さまがいなくなれば家計は楽になる。家屋敷を売って小さな屋敷に移れば、やって行けないことはないわね。


アデラもアルバートも、身の丈にあわない贅沢をするような人ではない。屋敷と土地は自分の財産だが、アデラとバーサの3人で分ければいいのだ。


だけど、アルバートが当主になった家にいつまでも居座るわけには行かない。アデラが言うように、自分もきちんと先のことを考えなければ。そう決心したシンデレラの脳裏を、ラリーの面影がかすめる。


ラリーさまは、会いに来てくださらないのかしら?


あの舞踏会からそろそろ一ヶ月が経とうとしている。自分を心配してくれた真剣な眼差しを思いだし、シンデレラはそろそろと首を横に振った。


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