ハブリーったら本気なの?-3
毎日3回、7:00、11:00、16:00に更新します。アルファポリスさま、カクヨムさまにも投稿中。アルファポリスさまでは、数話分先行して更新しています。
部屋に戻ったサンドラは、指にはまったダイヤの指輪をウットリと眺めた。今日、芝居を見に行ったあとのレストランの個室で、イイデンナ伯爵にこれを渡されたのだ。
「サンドラ、私は君に恋をしてしまった。どうか私と結婚してくれないか?」
「まあハブリー!嬉しいですけど、私はアスター男爵家の当主ですのよ?」
ダイヤの大きさに目が釘付けになりながらも、サンドラは一度は断ろうとした。いくら彼女が無責任でも、当主の座をほっぽり出して結婚するわけにはいかない。
「なに、ちゃんと考えているさ。実はアデラ嬢にちょうどお似合いの青年がいるんだけど、彼は婿入り先を探しているんだ」
「どんな方ですの?」
「家柄も良いし、人柄は私が保証する。アデラと結婚させて、男爵位を継がせればいいさ」
「そうですわねぇ」
サンドラは考えるそぶりを見せたが、そういう話なら一石二鳥だし迷う理由はない。ただ、ひとつだけ心配なことがあった。
「でもハブリー、あの土地や屋敷はシンデレラの名義ですのよ?」
「そうなのか?」と伯爵は少し考え込む。
「でもまあ、それはやりようでどうにでもなる。私に任せてもらえないか?」
「あの娘から取り上げることができますの?」
サンドラは期待に顔を輝かせた。
「うん、私は色んなツテを持ってるからね、すべて任せておきなさい」
イイデンナ伯爵は自信たっぷりにそう言うと、サンドラの手を取ってダイヤの指輪を薬指にはめた。
「私は君とどうしても結婚しなくちゃならないんだ、どうかイエスと言っておくれ」
ダイヤの輝きと伯爵の情熱的な言葉に、サンドラはニッコリとうなずいていた。
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「いよいよ私にも運が回ってきたわね!」
サンドラは部屋で踊りだしたい気分だった。平民だった自分が貴族になり、さらには伯爵夫人になるのだ。
イイデンナ伯爵家には領地があって裕福だ。また夫に先立たれたとしても心配ない。それにアデラと婿に男爵家を継がせれば、頼る相手も増えるというものだ。
頑張ったかいがあったわ!
サンドラは自分のしてきたことは正しかったのだと確信する。貴族らしく着飾り、贅沢な暮らしをしてきたからこそ、イイデンナ伯爵に選ばれたのだ。
彼も私と同じ暮らしをしてきたんだもの、きっと楽しく暮らせるわよ。
サンドラは裕福で贅沢志向の伯爵との新生活が楽しみで仕方なかった。だがその前に、アデラに婿を迎えて男爵位をゆずらないとならない。バーサも、そのうち伯爵に頼んでどこか良い家へ嫁がせよう。
だけどあの娘。あの娘はどうしてやろうかしら・・・。
あんな貧乏くさい娘がいたら、アデラは結婚しても楽しく暮らせないに違いない。いや、アレがいるから、アデラが男爵家を継ぐのを拒むのだ。
早いうちに、どこかへやらないとならないわね。
サンドラはケイトに着替えを手伝わせるために、呼び鈴を鳴らした。もう夜中なので寝ているはずだが、たったひとりの侍女兼メイドを休ませる心使いは彼女にはない。
「これから忙しくなるわ」
ベルをけたたましく鳴らしながら、サンドラは満足げに笑った。




