ギギギィイイっとな-1
毎日3回、7:00、11:00、16:00に更新します。アルファポリスさま、カクヨムさまにも投稿中。アルファポリスさまでは、数話分先行して更新しています。
シンデレラの話を聞いたアデラは、すぐさまバーサの部屋へ駆け込んだ。
「バーサ!!」
「うわあ!」
「お姉さま、ノックしてっていつも言ってるじゃない」
「してるわよ、何度もノックしたわ」
いつもの会話に、バーサは「ごめんなさい」と頭をかく。今日は珍しく本は読んでいなかったが、ベティを手にしてぼんやりしていたのだ。その人形に目をやり、アデラは眉尻を下げる。
「元通りってわけにはいかないけど、だいぶマシになったんじゃない?」
そう言って落ち込んでいるバーサを励ました。今朝、昨夜の一部始終を聞いて笑ったり叱ったりしながら、バーサとふたりでベティを綺麗にしたのだ。頑張ったのだけれど、洗った髪はボサボサで、古いこともあってますますホラーチックな見た目になってしまった。
「うーん、首が緩くなっちゃったみないなのよ」
ベティは頭部が固い陶器でできていて、もともと首が左右に動くようになっていた。それが今はゆるゆるだ。「ほら」とバーサがベティを少し傾けて見せると、首がグリンと勝手に動いた。怖い。
「きっと落としたのがいけなかったんだわ。ゴメンね、ベティ」
バーサは悲しそうに人形の頭をなでながら謝る。こんな見た目になっても、彼女にとっては大事な友達なのだ。
「でも顔が割れなくて良かったじゃない、首なら直せるかもしれないわ」
アデラはそう言って妹を元気づけた。そして、何かを思い出したように続ける。
「そうそう!あたなに聞きたいことがあって来たのよ。お母さまに何かしなかった?」
シンデレラから話を聞いて、真っ先に思い浮かんだのがバーサの呪いだ。これまではそんなものが本当に効果を発揮するとは思っていなかったが、起こった現象のバカバカしさを考えるとバーサしかいない気がする。
「うーん、ゆうべ王宮にいるとき、シンデレラを守る呪いをかけたわ」
バーサはちょっと考えてから言った。馬車のなかで呪いをかけたことをすっかり忘れていたのだ。
「どんな!?」
「えーっと、『誰かを罵ろうとすると言葉がニワトリの鳴き声になる呪い』よ」
「・・・ウソでしょう」
アデラは額に手をあてる。ちょっと信じがたいが、この妹は呪いを成就させる力を身につけたらしい。
「どうしたの、お姉さま?」
不思議がる妹に、アデラは先ほどサンドラに起こったことを話してやった。
「ちゃんと呪いを解いてあげてよ」
話を聞いて笑い転げるバーサにアデラは言ったが、なんと呪いを解く方法は知らないらしい。
「どうするのよ!?」
「大丈夫よ、ほっといても一ヶ月くらいで自然に解けるわ。そもそも人を罵らなきゃ問題ないんだし、静かでいいじゃない」
平気な顔で言うバーサに呆れるが、ひと月くらいの間ならサンドラへの良いお灸になるかもと思い、アデラも気にしないことにした。




