コケェエエエ、コッコッコッコ!!-2
毎日3回、7:00、11:00、16:00に更新します。アルファポリスさま、カクヨムさまにも投稿中。アルファポリスさまでは、数話分先行して更新しています。
サンドラがいきなりニワトリのマネをしだしたので、シンデレラとセバスは目を丸くして硬直していた。いや、驚いて固まっていたのは、サンドラ本人もだ。何とも言えない沈黙が、数分にわたって部屋を支配する。
「ど、どうなさいましたの、男爵さま?」
ようやく我に返ったシンデレラが口を開いた。普段あまり動じない彼女も、今のサンドラの奇行には動揺を隠せないでいる。
「えっ!?いえ、なんでもないわよ!」
サンドラは悪夢を振り払うようにブンブン頭を振ると、罵りの言葉を続けようと口を開く。
「そんなことより・・・コケッコー!おま、おまえにコケッ!?・・・こ、コケッ?コケッ!?コッコココ・・・??」
またニワトリが出てきてしまい、サンドラは口を閉じた。「みすぼらしいおまえには、王宮に行く資格なんかない」と言いたいのに。
どーゆーこと!?
サンドラは混乱していたが、シンデレラを思いっきり罵ってやらなければ、どうにも気分はおさまらない。フーフーと鼻息を荒くしながらシンデレラを見やれば、何やら気の毒そうな目でこちらを見つめている。その視線に、サンドラはさらに腹が立った。
「そんコケッ!ココッコッコケェー!コケッコケッコォオオ!!!」
(そんな目で見るんじゃない!私は正気だよ!!!)
「ちょっ、なに、コケ?わたコケ、コケコケ、ココッコッココ!?」
(ちょっと何よ、これ?私に変な毒でも盛ったんじゃないだろね!?)
「まった、コケコケコケケッコ、コケェエエエエ!」
(まったく人をバカにして、この役立たず!)
「はあはあはあ・・・」
サンドラは肩で息をついた。どんなに頑張ってシンデレラを罵ろうとしても、喉から出てくるのはなぜかニワトリの鳴き声だ。
「あ、あの、男爵さま、今日は少しお疲れなのでは?」
そう声をかけたシンデレラの顔には、戸惑いと心配の表情が浮かんでいた。
「クッ、コッコケコケッコ!」
(くっ、ほっときなさいよ!)
「男爵さま、どうかもうお部屋でお休みくださいませ」
セバスがようやく我を取り戻し、執事らしく気配りの効いた動きでサンドラを支える。どうやら本人も限界を感じたらしく、セバスとおとなしくドアへと向った。
しかし部屋を出る刹那、サンドラはドアのところで振り返ると、気力を振り絞ってひと声叫んだ。
「コケコッコォオオオオ!!!」
それは明け方の雄鶏があげたような、雄々しく立派なコケコッコーであった。




