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コケェエエエ、コッコッコッコ!!-1

毎日3回、7:00、11:00、16:00に更新します。アルファポリスさま、カクヨムさまにも投稿中。アルファポリスさまでは、数話分先行して更新しています。

翌日の午後、お昼過ぎまで寝ていたサンドラは、セバスに申しつけてシンデレラを居間に呼び出した。その表情は機嫌が悪いようにも、良いようにも見える。本人はなんとか苦い表情を作ろうとしているのだが、口元がニヤニヤと緩んでしまうのだ。


あの娘、とうとう尻尾を出したわね!


そう、王宮の庭でイイデンナ伯爵とイチャイチャしていたサンドラは、泥まみれで走っていくバーサを目撃してしまったのである。御者の姿をしていても、さすがに我が子は分かる。そしてすぐにピンときた。シンデレラが来てるのね、と。


そのときは伯爵と「いいところ」だったし、彼の前で騒ぐわけにもいかないので、そのまま楽しい夜を過ごして舞踏会から帰宅した。本当は昨夜のうちにシンデレラを叩き起こして糾弾したかったのだが、セバスが必死にとめるので勘弁してやったのだ。自分も疲れて眠かったし。


今は昼までぐっすり寝て体調は万全、舌の滑りも絶好調だ。今日こそあの娘に土下座させ、泣いて許しを乞う姿を見ることができる。「楽しみだわ」とニヤニヤしていると、ドアをノックする音が響いた。


「お入り!」


サンドラは笑いを引っ込め、渋面をつくって返事をする。


「失礼します。お呼びでしょうか、男爵さま」


入ってきたシンデレラは、そう言って頭を下げる。サンドラはメイド姿の彼女を上から下までジロジロと眺めた。舞踏会の翌日なのに早起きしてメイドの真似事とは、自分に対する嫌味としか思えない。


「ええ、おまえに聞きたいことがあってねぇ・・・」


サンドラは意地の悪い笑顔を浮かべてそう言うと、室内に立たせたままのシンデレラに向かって、扇の先をビシィイイっとつきつけた。


「おまえ、ゆうべは王宮の舞踏会に行っただろう!」


「・・・」


「しらばっくれても無駄よ、私はちゃんと見たんだから!!」


黙ったままのシンデレラに、サンドラはドヤ顔で言いつのる。実際に見たのはバーサだけだが、それは黙っていた。シンデレラだってあの場にいたに決まっているのだ。


しかし、青い顔で震え出すだろうと思ったシンデレラは、予想に反して涼しい顔だ。サンドラは部屋の片隅にひかえるセバスにチラと目をやった。おおかたこの老執事がバレていることを事前に教えたのだろう。


だけど、どんな言い訳をしようと、今日は許しませんからね。


さて、どんな罰を与えてやろうかと考えるサンドラの耳に、シンデレラの凛とした声が届く。


「はい、参りました」


「ウソおっしゃい!・・・え!?」


糾弾してやろうと構えていたサンドラは、あっさりと認めたシンデレラに拍子抜けする。


「私はゆうべ王宮の舞踏会に参りましたが、それがどうかなさいましたか?」


落ち着いた態度で言葉を返すシンデレラに、サンドラはちょっと鼻白む。


「だ、だっておまえ、おまえにそんな資格はないんだよ」


その言葉に、「どうしてですの?」とシンデレラは首をかしげる。


「王宮からの招待状には、私の名前も招待者として入っていたはずです。なのに理由もなしに欠席するわけにはいきませんわ」


「だけど、当主の私が行くなって言ったでしょうが!?」


「いいえ、私はそのようなご命令は聞いていませんが」


シンデレラは首をかしげる。サンドラは招待があったことをシンデレラに隠そうと黙っていたので、舞踏会に行ってはダメとは言っていないのである。行けないようにコソコソ妨害しただけだ。


「くっ、この!」


そのことに思い至ったサンドラは、扇を両手できつくにぎりしめ、ギリギリと歯ぎしりをする。「このクソ生意気な小娘が!」と怒鳴りつけてやろうと、ソファから立ち上がった。


「こっ、こっ・・・コッ・・・コケェエエエエ!コッコッコッコォオオ!!」


しかし実際にサンドラの口から飛び出したのは、見事なニワトリの鳴きマネだった。


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