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できる側近は野獣対策も抜かりない-1

毎日3回、7:00、11:00、16:00に更新します。アルファポリスさま、カクヨムさまにも投稿中。アルファポリスさまでは、数話分先行して更新しています。

「ああ、彼女に会うのが待ちきれない!」


舞踏会が始まる少し前、キラッキラに着飾ったローレンス王子は、落ち着きなく室内を歩きまわっていた。王子が登場するのは舞踏会が始まってしばらくしてからだが、それまで待ちきれないとソワソワし通しなのである。そんな王子にディランは声をかける。


「殿下、まだ時間がありますので、どうかお座りください」


ディランも王子の側近として舞踏会に参加するので、いつもより華やかな服装に身を包んでいる。


「すみれ色のドレスを着た彼女は、さぞかし美しいだろうな」


ディランに言われてようやくソファに腰を下ろしたローレンスは、そう言ってうっとりと目を細める。自分が見立てたドレスを着た彼女を思い浮かべているのだろう。ディランは「ええ」と同意しつつも、ちょっと心配そうに続けた。


「継母や連れ子の姉たちに妨害されてなければいいのですが」


身元は分かっているので、今日会えなくても接触する手はある。しかし、心のなかに乙女が住むローレンスは、シンデレラとの「運命の再会」を望んでいるのだ。結婚話を盛り上げるにも、そのほうが望ましいだろう。


「うむ、そこは心配だな」


ディランから報告を受けて、ローレンスはシンデレラの素性や置かれている状況について知っていた。継母に虐められ、使用人の扱いを受けているとは何とも腹立たしいが、王子と言えど他家の内情にそうそう口出しするわけにもいかない。


「早く私の妃として救い出してやらねば」


「ですが殿下、今夜いきなりプロポーズするのはやめて下さいよ」


「そ、それくらい分かっている!」


ローレンスは否定するが、少々疑わしい。王族の婚約にはそれなりの手順があるし、勝手なことはやめていただきたいのだが。それに、今のところはローレンスからの一方的な好意でしかない。通りすがりの王子にいきなりプロポーズされても、相手は困惑するだけだろう。


「ああ、彼女とのダンスが楽しみだなあ」


ディランの疑わしげな顔から視線をそらし、ローレンスはごまかすように話題を変えた。


「そのことですが殿下、最初のダンスはタカビー公爵令嬢、その次はエラッソー侯爵令嬢とお願いします」


「なにっ!?それではいつもの舞踏会と変わらないじゃないか!」


ローレンスは激しく抗議する。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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