わたひがぎょひゃになるひゃ!-1
毎日3回、7:00、11:00、16:00に更新します。アルファポリスさま、カクヨムさまにも投稿中。アルファポリスさまでは、数話分先行して更新しています。
アデラとサンドラが舞踏会へ出かけたあと、ケイトとバーサは用意したドレスをシンデレラの部屋に運び込んだ。シンデレラを驚かせたかったので、セバス夫妻の部屋にずっと隠していたのだ。
「まあ!これは・・・?」
花飾りと真珠で華やかな印象に変わったドレスに、シンデレラは目を丸くして驚く。
「お嬢さま方と私で、花飾りをつけてみました。アデラさまは、ドレスを着たシンデレラさまを見られないのを、とても残念がっておられましたよ」
そう説明するケイトの少し後ろでは、前髪の下からバーサが微笑んでいた。胸にはいつものようにベティを抱えている。
「すごく素敵ですわ!バーサお義姉さま、ケイト、ありがとう!」
ここまでリメイクするのに、どれほどの手間と時間がかかったのだろう?皆が自分のためを思ってしてくれたのだと思うと、シンデレラの瞳は知らぬ間に潤んでいた。こんな素敵な、家族の愛情のこもったドレスを着られる自分は、誰よりも幸せ者だ。
「これを着て、舞踏会を楽しんできますね」
シンデレラは、指先で目尻をぬぐうと微笑んだ。正直なところ、さっきまでは舞踏会に行くのを「面倒だなぁ」と思っていたのだ。でも、それではいけない。自分のために骨を折ってくれたアデラとバーサ、そしてセバスとケイト夫妻のためにも、今夜はアスター男爵家の令嬢として立派にふるまわねば。
「では、髪とメイクから先にしましょう」
ケイトがそう言ってシンデレラをドレッサーへと促したそのとき、部屋にノックの音が響いてセバスが青い顔で入室してきた。
「あなた、お嬢さまの支度の途中ですよ!」
男性のセバスがいたら支度ができないと、ケイトは夫をにらみつけた。舞踏会ともなれば支度にかなりの時間がかかるが、スタートが遅いからすでに時間は押しているのだ。
「それが・・・シンデレラお嬢さま、困ったことになりました」
怒る妻を横目で見つつ、セバスはシンデレラに頭をさげる。どうしたのかと問えば、サンドラが出がけにたくさんの用事を言いつけて行ったのだと言う。
「男爵さまのご帰宅までに、必ず済ませておくようにと」
仕事は帳簿の確認や報告書の作成などで、急いで取り掛かれば今夜中にできなくもない内容だ。しかし、御者として王宮へ行くのであれば不可能である。
「そんなもの、ただの嫌がらせでしょう!?無視してしまいなさいって!」
「帳簿なんか見たって何にも分からないくせに」と、ケイトはカンカンに怒っている。ドレスの件もあるし、サンドラの最近の行動はとうてい許せないと彼女は思っていたのだ。
「落ち着きなさい。おまえの言うとおりだとしても、ご命令はご命令だ」
当主であるサンドラの命令に逆らえば、クビにされて夫婦ともに追い出されてしまうかもしれない。そうしたら、シンデレラたちのことを誰が守るのだろう?今のような状態で男爵家を去ることなど、決してできはしないとセバスは考えていた。
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